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荘内日報ニュース


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2022年(令和4年) 12月10日(土)付紙面より

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酒田港拠点にスルメイカ追う「山形船団」に支援の輪広がる

 北朝鮮による相次ぐミサイル発射、昨今の燃油高騰などで厳しい操業を強いられている、酒田市の酒田港を拠点にスルメイカを追う中型イカ釣り船団「山形県船友漁撈長会(山形船団)」に対し、応援・支援の輪が広がっている。市が展開中のガバメントクラウドファンディング(GCF)「山形いか釣り船団応援プロジェクト」には9日午前の段階で400万円余が寄せられ、100万円に設定した目標金額を大幅に超える。市は「募集は今月末まで。多くの支援をお願いしたい」と話している。

 150トン前後の中型船で組織する山形船団は、6月から年末にかけ日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海中央部「大和堆」や北海道沖「武蔵堆」を中心に、島根県沖からオホーツク海まで幅広く操業。同船団以外を含めスルメイカの水揚げ量は酒田港全体の7―8割を占めている。

 山形船団が水揚げする冷凍スルメイカは、釣り上げてすぐに急速冷凍しているため鮮度が良く、使いやすいよう1匹ずつ凍結しているのが特徴。市は「酒田船凍いか」として商標登録し、「いかのまち酒田」を全国に向け発信している。市農林水産課によると、「船凍いか」の酒田港への水揚げ量は昨年度、795トンにおよび、金額は5億2700万円という。

 イカ釣り船が水揚げする港は母港とは限らず、イカの保管状況、漁場から港までの距離(消費燃料)、港でのイカの取引価格、補給する燃料価格などを総合的に勘案し、最も有利な港に揚げる。寄港した港では水揚げが増えることで加工業も潤うほか、補給する燃料や船員の宿泊、船に積む食料の購入など経済的な波及効果が大きいため、全国各地の港がさまざまな優遇策を講じて、より多くの寄港を働き掛けている。

 山形船団を含め酒田港に寄港するイカ釣り船の支援に向け、市は自治体がインターネットで寄付金を募るGCFを活用し、▽屋外風呂設備の設置▽レンタカー借り上げ▽荷揚げ時の作業軽減を図るための設備改修▽「酒田船凍いか」を収納する段ボール箱購入費用の補助▽酒田産米贈呈―などの事業を行っている。

 「酒田市の水揚げを支えているスルメイカ漁業を応援したい!」と銘打った今回のGCFは10月3日にスタート。100万円を目標金額としたが、早々に突破。9日午前現在で213人が計415万4000円を寄付している。日本のEEZ内にある主要漁場・大和堆では近年、外国船の違法操業が相次ぎ深刻な打撃を与えている。それに加え、北朝鮮によるミサイル発射や昨今の燃油高騰、緊張が続くロシア海域での操業不可などで、その環境は厳しさが増す一方。市では、そんな情勢の中にもかかわらず、頑張っている船員にエールを送りたいという人が増えているとみている。

 今回のGCFは、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で扱っている。返礼品は寄付金額によって異なるものの、▽酒田港船凍いかづくしセット▽船内急速冷凍するめいか▽若潮丸船上いか沖漬け―といった関連商品とともに、地酒、地元産米、平田牧場三元豚、西洋梨などを用意している。募集は31日(土)まで。

3年ぶりに行われた出航式で、盛大な見送りを受けるイカ釣り船。支援の輪が広がっている=今年6月、酒田港袖岡埠頭
3年ぶりに行われた出航式で、盛大な見送りを受けるイカ釣り船。支援の輪が広がっている=今年6月、酒田港袖岡埠頭


2022年(令和4年) 12月10日(土)付紙面より

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“大黒様も困り顔”ハタハタ不漁で高値

 庄内地方は9日、ハタハタを大黒様にお供えする「大黒様のお歳夜(としや)」を迎えた。ところが庄内浜産のハタハタは不漁が続いており、販売価格も数年前とは比べ物にならない値段になっている。鶴岡市内の鮮魚店では同日、ハタハタを焼くいつもの光景が見られたが、店では「地物が全く入ってこず、県外産で何とか注文に対応している。仕入れ値も上がっており、もうけはない」と大変な状況だ。

 鶴岡市内の量販店によると、底引き網解禁の9月以降、庄内浜南部ではハタハタの水揚げ量がかなり厳しい状況で、北部は漁獲が多少出ているものの例年より少ないという。さらにしけで出港できない状況が追い打ちをかけている。9日のお歳夜に合わせ秋田や青森産のハタハタを仕入れており、1尾(約120グラム)当たりの単価は500?600円弱と昨年より若干安く販売している。担当者は「例年ならこの時期まで地物は300?400ケースと水揚げされているが、今年は150と半分程度。秋田も例年の半数と同じような状況と聞いている」と話した。

 一方、江戸時代末期から続く鶴岡市本町一丁目の老舗「三浦佐五兵衛鮮魚店」は同日、午前7時に火入れを開始。7代目店主の理さん(52)と母の弘子さん(82)が交代しながら、仕入れたばかりのハタハタを炭火でじっくり焼いた。

 理さんは「地物が全然入ってこないため秋田や青森から仕入れた。今週に入って酒田方面で水揚げがあったと聞いたが、値段が高騰しているためか鶴岡まで入ってこないようだ」と困惑した表情を見せた。

 同店は生と焼きでの販売用に、合わせて80匹を仕入れ午前中に60匹を焼くという。理さんは「昨年より仕入れ量が減ったのに、価格は3割ほど高くなってしまった。1尾(約160グラム)当たり500円だが、それでももうけはない。いつも買ってもらっているお客さんにも『家族3人で6尾』を『3人で3尾』にしてもらっている。数年前に比べたら考えられない状況」と話していた。

鮮魚店でハタハタを焼く“いつもの光景”が見られたが、昨年から続く不漁が店、客の両方に影響を与えている=9日午前、鶴岡市の三浦佐五兵衛鮮魚店
鮮魚店でハタハタを焼く“いつもの光景”が見られたが、昨年から続く不漁が店、客の両方に影響を与えている=9日午前、鶴岡市の三浦佐五兵衛鮮魚店


2022年(令和4年) 12月10日(土)付紙面より

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ひと 蔵人として珍しい酒ディプロマに 日本酒・焼酎のソムリエ認定

佐藤拓也(さとう・たくや)さん

 日本ソムリエ協会(田崎真也会長)が認定する「日本酒・焼酎のソムリエ」である2022年度「SAKE DIPLOMA(酒ディプロマ)」に認定された。庄内でこの資格を持つのは数人で、飲食・酒販関係者が多く、蔵元関係者で取得するのは珍しいという。

 佐藤さんは庄内町の鯉川酒造・佐藤一良社長の次男。大学卒業後、岩手県盛岡市と山形市の酒蔵などにそれぞれ2年ずつ勤務。昨年5月、鯉川酒造に入社した。現在は経理業務のほか、蔵人として酒造りにも参加している。

 酒ディプロマは2017年から行われている同協会が認定するソムリエ資格の一つ。毎年約2500人前後が受験し、合格率は約4割という難度の高い資格。知識を求められる筆記の1次試験と、日本酒や焼酎のテイスティング、酒米の特徴やお酒に合う料理に関する論述が行われる2次試験を経て認定される。

 佐藤さんは「本格的に蔵人として参加するようになり、ゆくゆくは社長の後に蔵を継いでいくとなった際、伝統だけでなく、何か新しいことをしたいと思った」と酒ディプロマへの挑戦を決めた。受験は21年に引き続き2回目。最初の受験では2次試験をパスできなかったが、2年目の今年はたくさんの銘柄の日本酒を持つ蔵人に助力を仰ぎ、「テイスティングはとにかく数を飲んだ」という。

 そのかいあって今年10月中旬、仙台市で行われた2次試験では6種類のテイスティングで甘味や酸味、香りなど微妙な差を感じ取り見事合格。11月末に認定書を手にした。「かなり難しかった。うれしいのはもちろんだが、ほっとしたのが正直なところ」と振り返る。
 佐藤さんは「今回学んだことを生かし、鯉川酒造のお酒の説明やお酒に合う料理などを上手に説明していきたい」と希望を語った。

   ◇   ◇

 東京農大応用生物学部醸造科学科卒。料理が趣味で家の食事に一品加えることもある。「創業から約300年の歴史ある蔵元を守っていける人になりたい」と話す。28歳。

佐藤拓也さん
佐藤拓也さん



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