2022年(令和4年) 12月17日(土)付紙面より
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“挑戦者”として熱い思い語る
地域の創造的起業家を育成する「鶴岡イノベーションプログラム」(TRIP)の開講式・キックオフが15日、鶴岡市の庄内産業振興センターマリカ市民ホールで行われた。鶴岡発の革新的な事業の創造を目指す老若男女が集まり、チームによる新事業共創に向けて熱い思いを語り合った。
同プログラムは、野村総合研究所(本社・東京都千代田区)が開発。2012年9月に同社が「2030年研究室」を設立すると同時に、全国のさまざまな領域からイノベーター(革新者)100人を抽出しネットワーク化を図り、この100人と協力して地域に創造的起業家(=新たな革新者)を育成・増殖させるためのプログラムを開発した。
15年7月の北海道十勝地方(19市町村)で実施した「十勝イノベーションプログラム」(TIP)を皮切りに、これまで全国4地域でプログラムを展開し650人超の起業人材を輩出。140超の新事業構想が生まれ、25超の新会社が創設された。東北地域では鶴岡市が初。
鶴岡市や庄内地域産業振興センター、鶴岡商工会議所、出羽商工会、荘内銀行、山形銀行、鶴岡工業高等専門学校など産学官金の各分野で実行委員会(会長・松田正彦荘内銀行頭取)を組織しプログラムを主催した。
開講式には地元企業の従業員や個人事業者、教員など鶴岡市在住者を中心に約20人が参加。初めに松田会長が「今春、荘内銀行の頭取となり二十数年ぶりに鶴岡へ戻ってきた時、良くも悪くも変わらないと感じた。伝統文化を重んじることは大切だが、『何をするか、何をやりたいか』がこれからは大事な時代となる。庄内の未来のため皆さんがやってみたいことが形になれば」とあいさつした。
続いて“挑戦者”と呼称された参加者たちが自己紹介を経て、3、4人ずつのグループで共通点探しの交流ワークに臨んだ。15分の制限時間内で、メンバー間の共通点をできるだけ見いだすもの。あるグループは11個の共通点を見つけ、「最も面白かった共通点は、全員が海外旅行を経験しており幼虫を食べたことがあった」と発表。会場は和やかな笑いに包まれていた。
プログラムは今後、最低2人以上のチームで事業構想を進める。来年夏まで全16回のセッションを重ね、先達の革新者との交流や自己探求、アイデア創出などを経て事業創発につなげる。
2022年(令和4年) 12月17日(土)付紙面より
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県内全域の河川で淡水魚の生息調査をしているNPO法人「鶴岡淡水魚 夢童(ゆめわらべ)の会」の岡部夏雄代表理事(80)=鶴岡市砂田町=が、環境省のレッドリストに載っている赤川の希少な魚などを紹介した「昭和・平成・令和 赤川写真集」を出版した。
岡部さんは赤川漁業協同組合員としてサクラマスやアユ、カジカなどを捕ってきた。1992年から県の魚に制定されたサクラマスの捕獲調査を行い、94年には藤島地域で水路工事に伴うヤリタナゴの保護活動に参加した。
写真集はA4判107ページ。赤川河口から大鳥川、梵字川との合流付近まで約32キロをたどる風景写真や「ウケクチウグイ」「ホトケドジョウ」「スミウキゴリ」といった、今では希少となった魚も紹介している。このほか内川、大山川、青龍寺川などに住む魚もまとめた。
中でも注目されるのがニホンウナギ。透き通った体でシラスウナギともいわれ昼は石垣や穴の中に潜み夜になると動き出す生態についても解説している。現在赤川では15年以上目撃されていない。
岡部さんは「子どものころからずっと慣れ親しんだ赤川に恩返しをするような気持ちで、活動の集大成となる写真集を出版した。これまで私と関わった人全員に見てほしい。赤川に興味のある人はもちろん、たくさんの人に手に取ってもらえればうれしい」と話していた。
「赤川写真集」は鶴岡市城南町のぶっくすプロほんの森で販売している。300冊限定で、価格は1冊1100円(税込み)。