2023年(令和5年) 6月7日(水)付紙面より
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▽酒田市飛島でボランティアによる海岸清掃▽同市松原小の児童が東両羽公園を清掃▽鶴岡市湯野浜で「素足で歩ける砂浜に」を目指して清掃活動―など、5月下旬、庄内各地で清掃活動が行われた。「ごみゼロの日」(5月30日)、さらに6月5日の「世界環境デー」と「環境月間」を前にしての取り組みだ。
世界環境デーと環境月間は1972年、ストックホルムで「国連人間環境会議」が開かれたことを記念して定められた。人間の行為で自然環境が損なわれることにストップをかけようという啓発と、具体的な活動を世界中で展開することを目的にしている。
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世界環境デー、同月間は毎年異なったテーマを掲げている。今年のテーマは「プラスチック汚染の解決策」。人が生きていくために利便性を求めるのは自然の事と言えるが、必要以上の物を求めることが結果として環境悪化を招いている。4月、札幌市で開かれた先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は、プラごみの新たな海洋汚染を2040年までにゼロにする目標で一致している。
高度経済成長期以降「消費は美徳」という言葉が使われ、「大量生産・大量消費・大量廃棄」を助長したが、今は「環境保護」が叫ばれる時代になった。言い換えれば、限りある資源を大切に使うことが環境を守ることにつながる。国内では「循環型社会形成推進基本法」と「資源有効利用推進法」が設けられている。そこで掲げる目標は「廃棄物を出さない」「再利用する」「再資源化する」。安易に捨てられるごみも、分別収集すれば貴重な資源になることに目を向けたい。
山形県は「ごみゼロやまがた県民運動」を展開している。20年度の家庭から出る1人1日当たりのごみ排出量901グラムは、少ない方から全国18位(最も少ない京都府785グラム)。県は100グラム(キャベツの葉2枚、きゅうり1本相当)のごみ減量目標を掲げている。「たかが!」と考えそうだが、その生産には多くの手間ひまと資源が費やされている。環境への配慮を考えれば積み重ねは大きい。
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県の分別徹底とリサイクル推進の呼び掛けは(1)雑誌・新聞・段ボール・雑紙の適切な分別(2)食品トレー・ペットボトルの店頭回収(3)テイクアウト容器の分別(4)衣類も捨てない―など。捨てられようとしている物に、新たな命を吹き込もうということになる。決して難しい話ではない。
環境保護が叫ばれているのは、自然界が長い年月でつくり出してきた豊かな環境を、わずか100年余の人間の営みで破壊してはならないからだ。環境を壊すのは容易だが、再生するのは難しいことに思いを寄せたい。環境を守ることは、物を粗末にしない、一人一人の小さな心掛けの積み重ねに懸かっている。