2024年(令和6年) 8月1日(木)付紙面より
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7月25日朝から翌26日未明にかけ庄内地方を襲った大雨災害で、八幡地域、西荒瀬地区を中心に甚大な被害が出た酒田市は30日、罹災(りさい)証明書発行に向けた住宅被害認定調査を開始した。市税務課によると、対象は約4500戸で、1カ月程度での完了を目指す方針。一方、道路が決壊し通行止めとなっていた同市大蕨の国道344号の迂回(うかい)路が同日までに完成するなど、復旧の足音が聞こえ始めた。行方不明になっている北青沢集落に住む相蘇外百子さん(86)の捜索は31日朝、範囲を広げて再開した。
調査は、災害で被害を受けた住家の被害認定を迅速、的確に実施できるように内閣府が公表している「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」に基づき、▽全壊▽大規模半壊▽中規模半壊▽半壊▽準半壊▽一部損壊―の6項目に分類するもの。
初日の調査箇所は日向川の氾濫で泥水が家屋に流れ込んだ同市穂積のうち上市神、尻地。同課職員が3人ずつ分かれ、住民から状況を聴いたり、泥の高さをメジャーで計るなどした。
田中洋志税務課長は「被害の大きい箇所を優先し調査するが、数がまだつかめていない。一日も早く罹災証明を出せるよう、他自治体からの応援派遣を含め体制を整えたい」と話した。
酒田市は30日現在、西荒瀬、一條、大沢、日向、松嶺、内郷の各コミセンを避難所として開設。105人が身を寄せているという。断水は八幡・平田地域で続いており、上下水道部が給水対応に当たっている。大沢地区のうち大蕨・北青沢集落では停電も続く。
2024年(令和6年) 8月1日(木)付紙面より
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第106回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、兵庫県・阪神甲子園球場)への出場を決めた鶴岡東高校野球部の壮行式が30日、鶴岡市の同校で行われた。小林優星主将(3年)が「一戦でも多く勝ち進む」と決意を述べ、甲子園での活躍を誓った。
壮行式は同校中央体育館で行われ、夏休み中にもかかわらず多くの生徒が集まった。来賓や教員など合わせて約650人が見守る中、ベンチ入りのメンバー20人を先頭に選手たちが入場すると大きな拍手が起こった。
初めに齋藤哲校長が「2年ぶり8回目の甲子園出場おめでとう。これまで支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを胸に、県民の期待に応えられるよう部員106人全員野球の神髄を聖地で発揮してもらいたい」とあいさつ。生徒会長の佐々木琉麻さん(17)=3年=が「鶴岡東らしい力強いプレーに深い感動と胸の高鳴りを覚えた。甲子園では己と仲間を最後まで信じ、一ミリたりとも後悔のないよう全力で楽しんできて」と激励した。
これを受けて佐藤俊監督が「甲子園では3年生34人と笑顔で写真を撮ることが個人的な目標だった。選手たちが聖地で大活躍してくれるよう自分も精いっぱい頑張る」、小林主将が「県大会は苦しい試合でも皆さんの応援が力となり優勝することができた。甲子園でも全員野球で一戦でも多く勝ち進めるよう頑張る」と謝辞や決意を述べた。
最後にチアダンス部と吹奏楽部によるデモンストレーションが繰り広げられ、間近に迫った甲子園での戦いへの激励とした。
2024年(令和6年) 8月1日(木)付紙面より
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鶴岡市立加茂水族館魚匠ダイニング沖海月は、庄内産の紅花を使った「北前船べにばな御膳」の提供を始めた。紅花寿司や紅花葛(くず)切りといった紅花料理が楽しめる。
紅花は内陸が有名だが庄内でも栽培されている。酒田市東大町三丁目の加藤富子さん(77)は60歳の定年を機に白鷹町で紅花栽培を学んだ。品種は高品質として珍重されている「最上紅」。春に種を植え、例年7月初めの開花期に収穫する。加藤さんには「庄内にも紅花を根付かせたい」という強い思いがあり、後継者育成にも力を入れている。
庄内の食材をアピールしている沖海月の須田剛史料理長(48)が、かねてから庄内産の紅花に着目。無農薬で作っている加藤さんをはじめ、在来野菜「外内島きゅうり」を生産している鶴岡市伊勢横内の阿部正一さん(73)の紅花を食材に御膳を考案した。内容は紅花寿司のほかにハモと夏野菜の天ぷら、マダイのお造り、茶わん蒸し、酒田名物のむき蕎麦など計10品。天ぷらには紅花の花びらを入れて揚げた。デザートの「紅花葛切り」は夏にぴったり。単品で紅花の花びらをアクセントにしただし巻き卵「紅玉焼き」(税込み800円)も考えた。
提供を前に加藤さんや阿部さんら関係者を招いた試食会が沖海月で開かれた。会食した加藤さんは「とても上品。紅花が喜んでいるかのよう。歴史がある最上紅を今後も絶やさぬようにしたい」と笑顔を見せた。須田料理長は「生産者の頑張りを御膳に込めたかった。(沖海月に来た)県外のお客さんに『庄内の紅花』をPRしたい」と話した。
「北前船べにばな御膳」は税込み2130円。「紅花葛切り」をセットにすると同2500円。「紅玉巻き」はテイクアウトでもOK。御膳とともにしばらくの間、提供する。
2024年(令和6年) 8月1日(木)付紙面より
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戊辰戦争の庄内藩と薩摩藩の戦いを縁に、鶴岡市の温海地域と交流を続けている鹿児島県曽於市の子どもたちが29日に来鶴し、8月1日までの3泊4日の日程で温海地域の子どもたちや住民と触れ合いながら、戊辰戦争の歴史や鶴岡市について理解を深めている。
戊辰戦争で新政府軍に従軍した旧大隈町(現曽於市)の「岩川私領五番隊」が、温海地域の関川で旧幕府軍の庄内藩と激戦を繰り広げた歴史を縁に、1996年に交流が始まった。関川のある旧温海町と旧大隅町は99年9月に「遠くても近い付き合い」を誓う「民間交流近所盟約」、2001年には「友好都市姉妹盟約」を締結。青少年交流、特産品販売、旧福栄小(現あつみ小)と曽於市立笠木小との姉妹校盟約締結など絆を強めている。
青少年交流事業による曽於市からの来鶴は、2年連続で、旧大隅町時代を含め6回目。今回は小学6年から高校2年までの11人と引率の2人が訪れ、30日には関川地区で戊辰戦争の戦場跡や今も民家に残る刀傷などを見学し、隣の越沢地区で特産の越沢三角そばのそば打ち体験、鼠ケ関小6年生8人との交流会を行った。
「まやのやかた」で自分たちが打ったそばを味わった後、交流会では互いの地域の特産品や伝統行事などの魅力を紹介。曽於市と鶴岡市の歴史や文化、特徴などを題材にした「○×クイズ」では、双方の子どもたちがチームを組んで相談しながら回答し、正答を競い合ってにぎやかに盛り上がり、互いの友情を深め合った。母親に勧められて交流事業に参加した曽於市立末吉小6年の川本桜衣(るい)さんは「飛行機に乗ったり、友達をつくったりするのが楽しみで参加した。○×クイズで鼠ケ関小の人と一緒に楽しく交流できてうれしかった」と話した。「とってもおいしかったから、おじいちゃんとおばあちゃんにお土産」と越沢三角そばの乾麺を買い求める子どもも多かった。
一行は1日までの滞在中、あつみ温泉の旅館に宿泊しながら、薩摩藩の西郷南洲(隆盛)翁ゆかりの松ケ岡開墾場、南洲神社(酒田市)、庄内藩校致道館、加茂水族館などを巡り、羽黒山石段登りと精進料理の食事、鼠ケ関でのシーカヤックなどを体験する。
2024年(令和6年) 8月1日(木)付紙面より
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鶴岡市立荘内病院(鈴木聡院長)で31日、「オープンホスピタル」が行われた。高校生たちが聴診器を耳にして生体人形の心音や呼吸音を聴診したり、静脈注射を体験したりと実際の医療器具や技術に触れた。
将来の医師や薬剤師の確保に向け、医療の道を志す高校生から地域における中核病院の役割を知ってもらい、進路選択の一助としてもらうとともに、荘内病院で働く多職種への理解促進を図るもの。2011年に初めて開催し、コロナ禍での中止を挟み今回で12回目となった。
今回は鶴岡市や周辺の市町から1、2年生計10人が参加。開会式の後、4グループに分かれて「気管内挿管」「心音・呼吸音の聴診」「静脈注射模擬穿刺(せんし)」「超音波診断」の各診断処置を体験した。若い世代同士で話しやすいよう、同病院の20代の研修医が中心となって指導した。
このうち気管内挿管体験は、各用具の使途目的や使い方について説明を受けた後、高校生たちが実際にデモ用マネキンを使って挿管に挑戦。喉頭部を映す小型液晶が付いた喉頭鏡で気道を広げ、酸素を送り込むチューブを差し込むなど一連の手順を行った。
薬剤師コースに参加した致道館高1年の相澤怜奈さん(15)は「今まで触れたことのない分野を学ぶことができ、貴重な体験ができた。今後、進路の選択肢の一つとして考えていきたい」と話していた。
その後、高校生たちは医師志望と薬剤師志望に分かれ、消化器内視鏡検査や注射薬調製などを体験。手術センターやヘリポートを見学した後、午後からは手術の模擬体験や模擬患者の面談・服薬指導の見学などを行った。