2024年(令和6年) 11月2日(土)付紙面より
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山形大学は31日、現行の地域教育文化学部を改組し、教員養成に特化した「教育学部」を21年ぶりに復活させる構想を発表した。2026年4月の設置を目指す。学校教員の採用難が続く中、教員養成の取り組みを強化し、なり手不足の解消や教育現場が抱えるさまざまな課題に対応できる教員人材の輩出を目指す。
新たな教育学部は、現在の地域教育文化学部と同数の入学定員165人を予定し、「学校教育教員養成課程」(定員120人)と「地域教育共創課程」(仮称、定員45人)を設ける。教員養成課程には小中高校の教員を目指す3つのコース、共創課程には臨床心理やスポーツや食を学ぶ2つのコースを置く。データサイエンスなどを活用して地域課題を解決する人材を育てるため、理数系の教員養成にも力を入れるという。
山形大には1949(昭和24)年の開学当初から教育学部があったが、県内高校生の県外への進学の増加などを踏まえ、隣県の宮城教育大、福島大との教員養成課程の再編・統合協議を経て、教員養成特化の学部を2004年度に廃止するとともに、05年度に地域教育文化学部が設置された。
山形市の同大小白川キャンパスで記者会見した玉手英利学長は「学力をはじめ、いじめや不登校など児童生徒指導上の課題に対応できる資質や能力を持った教員を養成する機能を高度化し、地域創生や次世代形成、多文化共生という本学の使命を果たしていきたい」と語った。来春に文部科学省に新学部設置を届け出、夏頃に募集要項を公表する予定。
吉村美栄子知事は31日の定例記者会見で、「大変喜ばしい動きだと受け止めている。県内に教員として定着し、人材育成に取り組んでもらいたい」と期待した。
2024年(令和6年) 11月2日(土)付紙面より
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「鳥海山・飛島ジオパーク」の再認定に向けた現地調査が1日までの3日間、酒田、遊佐両市町はじめ鳥海山を取り巻く山形、秋田両県の4市町で行われた。日本ジオパーク委員会(JGC)の調査員2人がジオパークの見どころ「ジオサイト」を視察したほか、関係者からの聞き取り調査も実施。今回の現地調査を踏まえ、再認定の可否は来年1月に発表される予定。
酒田と遊佐、秋田県にかほ、由利本荘の4市町による鳥海山・飛島ジオパークは2016年秋、JGCの認定を受けた。同ジオパーク推進協議会(事務局・にかほ市)と4市町は「日本海と大地をめぐる水と命の循環」をテーマに、水と命の循環を観察することができる貴重な自然環境を形成する、この地域の豊かな自然・文化を次世代につなぐことを目的に、これまでさまざまな活動を展開してきた。
認定を継続するには4年ごとにJGCによる再審査を受ける必要がある。今回は2回目の再認定に向けた調査で、訪れたのはJGC委員長の中田節也さん(東京大学名誉教授)、糸魚川ジオパーク協議会の香取拓馬さん(フォッサマグナミュージアム学芸員)の2人。初日はいずれもにかほ市の蚶満寺や九十九島など視察した。
2日目の31日に遊佐町入りし、午前は海底湧水が目を引く釜磯海岸を調査。昼食を挟み午後からは鳥海山・飛島ジオパークガイドの会認定ガイドの伊藤みふゆさん(同町)のアテンドで、ジオサイトとなっている牛渡川と丸池様を見て回った。
伊藤さんは牛渡川について「流れる水は全て鳥海山の湧水。全長約4キロで、水温は年間を通し11―12度と安定している。バイカモの白い花を見ることができるほか、貴重な淡水魚・カジカも生息する」と。丸池様に関して「正式名は『丸池神社』で、池そのものがご神体。以前は入り口に鳥居もあった」などと解説。2人は「ものすごく水がきれいですね」と話し、案内に聴き入っていた。
最終日の1日は酒田市の取り組みを聞き取り調査したほか、今年7月の記録的大雨で甚大な被害に遭った同市大沢地区を視察。4市町の首長らと意見交換した。
2024年(令和6年) 11月2日(土)付紙面より
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鶴岡市の加茂水産高校恒例の「水納め」が1日、学校近くの加茂レインボービーチで行われた。1年生から3年生合わせて44人が参加。水温17度の海に入り「水高魂」を見せた。
海へ感謝の気持ちを伝えようと加茂水産が創立した1946(昭和21)年から続く伝統行事。例年5月1日に「水開き」を行い、航海実習やスキューバダイビング、船舶免許取得に向けた実技が安全にできるよう願っている。
この日は、日本海沖合でイカ漁とカニかご漁の実習をしている水産科海洋技術系2年生を除く生徒がレインボービーチに集合。水着姿になり、海に入って約20メートル区画を一泳ぎした。砂浜に上がった生徒は熱い麦茶を飲んだり、たき火で暖をとった。
阿部祐磨(ゆうま)さん(1年)=鶴岡二中出身=は「思ったより冷たくなかった。逆にちょうどいい感じ。来年も海に出て、いろんな実習を頑張りたい」と笑顔を見せた。
2024年(令和6年) 11月2日(土)付紙面より
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3日は「文化の日」。そして9日までは「読書週間」。ところが文化庁の2023年度「国語に関する世論調査」で、月に1冊も本を読まない人が、初めて5割を超えて6割になったという。スマートフォンなどの普及が大きな要因のようだ。そして全国では書店が減少している。
出版文化の危機的な現状に、経済産業省は「多様な情報に触れることができる街の書店は、創造性が生まれる場」として、今春「書店振興プロジェクトチーム」を立ち上げた。漫画も含む書籍がもたらす経済効果が大きく、書店の活性化のため、どうしたら書店に足を運んでもらえるかというパブリックコメントも実施した。文化は地域の活性化につながるともいわれる。
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本を読まなくてもスマホなどから情報を得ることができる。通販で本を買うこともできるが、書店の棚を見ているうち、探していた本とは異なるいい本と偶然出合うことがある。書店があることの素晴らしさなのに、街から書店が減ってきているのは残念だ。文化の日だから本を読もうというのではない。普段から本を手にしてページをめくる習慣を身につけたい。
小紙に「致道館の日」にちなむ「児童・生徒論語作文」が載っている。鶴岡市立朝暘三小3年、目七夏南さんは「き本を大切に」のタイトルで、「漢字はき本の漢字を組み合わせて難しい漢字ができている。き本の漢字を考え、何回も練習して、だんだん書けるようになった」などと書いている。人は毎日何かを学び、体験し、その積み重ねで成長している。目七さんのように、基本を大事にしながら学ぶ。読書から学ぶことも同じことだと言えるのではないか。
幼い頃に本を読まなかったため、大きくなってからも文章を読むことが苦手になる傾向があるという。活字を追うのは面倒だが、その面倒さに負けまいとすることで集中力が養われるはずだ。ネットで得られる知識も大事だが“受け身の姿勢”ではなく、本にある場面を想像しながらさまざまな世界に触れる。いわば“攻めの姿勢”こそ大切さだと思われる。
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人が学習によって社会から習得した生活の仕方全般の総称が「文化」というから、人は毎日文化に囲まれて生活している。ただ、漠然と受け身の情報だけに頼っていたのでは、物事の真実を見極める力が育たない。情報があふれている時代だからこそ、思考力の基本となる読書に触れたい。
街の書店の閉店が続いている。電子書籍などに押されている影響もある。全国の書店数はこの20年余で半減したと伝えられている。大都市圏の、大学がある街でも書店が閉じているという。「立ち読み」の中から偶然の1冊を見つける機会も失われてしまう。時代の流れというだけでは片付けられない気がする。
2024年(令和6年) 11月2日(土)付紙面より
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日本郵便が発行する2025年用年賀はがきの販売が1日、全国一斉に始まった。鶴岡市山王町の鶴岡郵便局(藤井泰局長)でも初日から市民が訪れ、来年の干支(えと)・巳(み)年に届ける年賀はがきを購入していた。
全国の総発行枚数は前年比約25%減の10億7000万枚。無地(85円)をはじめ、干支にちなんだ「宝袋と蛇」や「東北の銘産と祭り」の絵入り、来年開催の大阪・関西万博のキャラクター入りの寄付金付き(90円)など8種類を発行。抽選で当たる「お年玉賞品」は1等(現金30万円など)、2等(ふるさと小包など)、3等(お年玉切手シート)のほか、今回は特別賞として大阪・関西万博寄付金付き年賀はがきを対象に、10万本に3本の確率で当たる同万博のペアチケットも用意されている。
鶴岡郵便局で30枚購入した市内の70代女性は「毎年初日に購入して、筆で書いて送っています。筆文字が喜ばれているので、相手の喜ぶ顔を思い描きながらまた筆を持ちます」と話していた。同郵便局は販売初日、先着30人に紅白餅をプレゼントした。