2024年(令和6年) 5月12日(日)付紙面より
ツイート
酒田港(酒田市)と他の国内3港を結ぶ「内航フィーダー航路」が開設され10日、第1船の寄港に合わせて同港高砂埠頭(ふとう)国際ターミナルで記念式典が開かれた。初の内航航路開設となった酒田港は現在、韓国、中国を結ぶ外航定期コンテナ船が週2便運航。これに加え、博多(福岡市)、門司(北九州市)、新潟(新潟市)を結ぶコンテナ船が週1便寄港する。
フィーダー航路は、主要港を結ぶ基幹航路に対して支線的役割を担うもの。就航したのは、鈴与海運(静岡市清水区、鈴木英二郎社長)が運航するコンテナ船「みわ」(749総トン)で、最大積載能力は199TEU(20フィートコンテナ換算)。同社は昨年12月、門司、博多両港と新潟港を結ぶ航路を開設しており今回、酒田港が追加された形。
金曜に酒田を出港した後、土曜に新潟、翌週火曜に門司、同水曜に博多に到着する。門司、博多両港でコンテナ積み替えにより、共同事業者・コスコシッピングラインズジャパン(東京都千代田区、周社長)の外航航路を活用して東南アジア、中国など海外への輸送も可能になる。
トラック運転手などの時間外労働時間に上限を設けた、いわゆる「物流の2024年問題」、脱炭素輸送に向けた陸送から海運へのモーダルシフトなど踏まえ、荷主にとって安定輸送に向けた選択肢が増える。
この日は関係者80人が出席し、高砂埠頭CFS上屋内地で午前11時から記念式典。吉村美栄子県知事のあいさつを岡崎正彦県産業労働部長が代読、矢口明子酒田市長は「航路開設に伴う産業振興、経済発展で、市民が豊かに安心して生活できることを祈念する」と述べた。
藤原弘道国土交通省酒田港湾事務所長が「酒田港の新たな時代の幕開け。経済活動の好循環が生まれることに期待する」と祝辞。記念品贈呈に続き鈴木社長が「国内輸送の選択肢として活用してもらいたい。酒田港発展の一助になれば」と話し、出席者代表がテープカットした。
県によると、この日の第1船では東北エプソン(酒田市、齋藤学社長)向けコンテナなどが到着したという。県産業労働部の伊藤秀敏貿易振興主幹は「酒田港のメリットを企業に周知するなどして利用拡大を図っていきたい」と話し、集荷増に向け県は、市や同事務所など関係団体と組織する“プロスパーポートさかた”ポートセールス協議会で新たな助成制度を設立する方針。
2024年(令和6年) 5月12日(日)付紙面より
ツイート
鶴岡市の慶應義塾大先端生命科学研究所(荒川和晴所長)の高校生「研究助手」「特別研究生」の任用式・入学式が10日、同市覚岸寺の鶴岡メタボロームキャンパスで行われた。本年度は過去最多となる33人の庄内地域の高校の1―3年生が選ばれた。最先端の研究環境を生かしてバイオサイエンス分野の研究に携わり、未来の科学者を目指す。
研究助手任用は、先端研に隣接する鶴岡中央高の生徒を対象に2009年度に始まった。放課後に研究所に通って研究プロジェクトに従事し、アルバイト代も支払われる。本年度は1―3年生19人を採用。農産物や食品の新品種・加工品開発、がん関連などの研究プロジェクトに携わる。
特別研究生受け入れは11年度にスタートした。世界的な研究者を目指すという意欲を持った生徒が対象で、平日の放課後や夏休みなどに研究所に出入りし、スタッフの指導で研究に取り組んでもらう。本年度の研究生は致道館4人、鶴岡工業1人、羽黒3人、鶴岡東1人、酒田東4人、酒田南1人の1―2年生計14人。
任用・入学式には生徒と保護者、スタッフ、来賓の阿部真一鶴岡市副市長、各高校の校長らが出席。荒川所長が式辞で「今日から皆さんは慶應義塾大の一員。自分たちこそがこれからの世界をつくるという気概を持ち、積極的に本気で取り組んでほしい」と激励し、研究助手に任用証、特別研究生に受け入れ証を手渡した。
生徒を代表し研究生2年目の酒田東高2年の後藤心さんが「明確な目標を持って研究に向き合い、これまで以上に精進したい」と決意を述べ、鶴岡中央高時代に研究助手を務め、慶應大大学院を修了し、現在、先端研発ベンチャーのヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(鶴岡市)に勤め、同大学院博士課程に在籍する松田りらさん(30)が後輩たちにエールを送った。
特別研究生に採用された致道館高1年の佐藤遼大さんは「将来、研究者になる夢があり、こんないい機会はないと思って応募した。ヒトの目の構造や機能の根幹を探る研究に挑戦してみたい」と意欲を見せていた。
2024年(令和6年) 5月12日(日)付紙面より
ツイート
鶴岡市藤島地域で開催中の「第33回ふじの花まつり」が11日、主会期を迎えた。主会場の東田川文化記念館ではふじの花盆栽展が開かれ、夏を思わせる青空の下でフジの花が甘い香りを漂わせた。近くの藤島歴史公園Hisu花では出店やキッチンカーが並び大勢の家族連れでにぎわった。
ふじの花まつりは地域住民や関係団体が実行委員会を組織し毎年この時期に開催している。今年の主会期は11、12日で、東田川文化記念館の敷地内では同地域の愛好者が育てたフジの盆栽21点が展示された。以前は藤島体育館などを利用しており、屋外展示は今回が初。紫の花を咲かせた盆栽が並び、来場者の目を楽しませた。東田川文化記念館のギャラリー藤では「ふじの花芸術文化展」、明治ホールでは「藤の花写真展」が開かれている。
Hisu花では物産販売や和太鼓演奏などのイベントが行われ、大勢の家族連れが休日を楽しんだ。地元の庄内農業高校も出店で名物の「庄農うどん」や花きなどを販売。庄農うどんは販売開始から1時間足らずで完売するなど相変わらずの人気を見せた。
実家が鶴岡市で娘と一緒に宮城県から足を運んだ30代女性は「花はきれいで甘い香りがする。娘もブランコに乗ったり走り回ったりと楽しそう」と話していた。まつりは今月31日まで。Hisu花や藤島体育館では同20日まで藤棚のライトアップが行われる。
2024年(令和6年) 5月12日(日)付紙面より
ツイート
鶴岡市の羽黒高校(加藤和司校長)の2年生がプレステージ・インターナショナル山形BPOパーク(酒田市)と連携して取り組む「デュアルシステム」(実践型学習)授業が9日、同校でスタートした。「アランマーレのホーム戦を盛り上げよう」をテーマに、来年2月末まで生徒たちがアイデアを出し合うとともに、企画創出やプレゼンテーションなどビジネススキルの取得を目指す。
デュアルシステムは学校と企業が一緒になって生徒を育成する教育プログラム。地元企業への就職促進、即戦力となる人材育成を図ろうと、同社が2018年から地元高校とタッグを組みプログラムを展開し、実践的なビジネス体験の場を提供している。
羽黒高との連携は昨年度から始まり、今年3月に鶴岡市小真木原総合体育館で行われた「Vカップ」では、同校の生徒がアランマーレ×羽黒高オリジナルTシャツの販売やホーム試合のMCなどでホームゲームを盛り上げた。
本年度は羽黒高キャリアデザインコースの2年生13人が選択式の探求授業「プロジェクトスタディ」でデュアルシステムに参加。初回のこの日はプレステージ・コアソリューション山形BPOパーク鶴岡ブランチ(鶴岡市錦町)アドミニマネージャーの宮守徳一さんが同校を訪れ、生徒たちに会社概要や事業を紹介した。
緊張をほぐすためのアイスブレイクでは、会話や筆談を禁止として制限時間内に誕生日の早い順で一列に並ぶゲームが行われた。生徒たちは指を使って誕生日の日にちを伝えるなど四苦八苦し、正確な順番とならない結果に。これについて宮守さんは「正しい情報を伝えること、確認作業の大切さを覚えてほしい」とビジネススキルの一端を説明した。
デュアルシステムの授業は毎週木曜日に行われ、年末予定の成果発表会まで生徒たちがアランマーレのホーム戦を盛り上げるためのさまざまなアイデアを創出するという。
2024年(令和6年) 5月12日(日)付紙面より
ツイート
酒田市の南平田小学校(木村克範校長)4年生32人が10日、地域特産の「平田赤ねぎ」の定植を学校菜園で体験した。
同校では、山形大学農学部の「やまがた在来作物マイスター」に認定され、県内外の青少年に農業体験の機会を提供している冨樫文雄さん(82)=同市砂越、農業=の協力で2006年から毎年、4年生の総合学習として平田赤ねぎの定植に取り組んでいる。より多くの人に平田赤ねぎのおいしさを知ってもらおうと、2018年からは収穫後、児童自ら売り子になって市役所内で販売している。
この日は青空の下、冨樫さんから「赤ねぎは他のネギと違い、畝を立てず土に埋めても成長する特徴がある」「土に埋まった部分が赤くなるので、深さ10センチほどの穴に、苗の根が底に付くように植えて」などの指導を受けた後、児童たちは地元農家の人たちからも教わりながら、長さ約30センチの赤ねぎの苗を次々に植えていた。
伊藤沙也加さん(9)と後藤陽凪(ひな)さん(9)は「赤ねぎを植えたのは初めて。食べたこともないので育つのが楽しみ。みそ汁にして食べてみたい」と話した。
冨樫さんは「作物は人が気にかけないとうまく育たない。毎日、少しでいいから畑を見に来て雑草を取ってあげたり、見守ることを約束して」と児童らに呼び掛けた。冨樫さんは地域の農産物を誇りにしてほしいと毎年、観察や収穫などの活動終了後、児童らに「子ども赤ねぎ大使」の認定証を送っている。