2024年(令和6年) 5月5日(日)付紙面より
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環境省の特定外来生物に指定されている植物「オオカワヂシャ」が鶴岡市内の内川で分布を広げていることが分かった。繁殖力が強く、在来種の生態系に与える影響が大きい。南庄内で植物全般の植生を調べているフロラ山形と鶴岡自然調査会の会員が確認した。メンバーは「駆除が必要」と指摘し、鶴岡市の担当課と市議会議員に現状を報告した。
オオカワヂシャはヨーロッパからアジア北部が原産。アメリカ、アフリカ、オーストラリアに分布する。ゴマノハグサ科で、成長した高さは約1メートル。川の岸辺や水田、湿地に育つ。東北では7月ごろに鮮やかな青紫色の花を咲かせる。多くの種子を持ち、風に乗ったり動物の体に付いて勢力を広げる。
環境省の「日本の外来種対策」によると、国内では1867年に神奈川県内で採取されたが、侵入した時期は不明。現在は本州(関東や中部地方)で野生化している。
特に問題なのが準絶滅危惧種に指定されている在来種「カワヂシャ」とオオカワヂシャが交雑することだ。発芽能力のある種子を生み出し、在来種の遺伝的かく乱が生じている。
鶴岡でオオカワヂシャが確認されたのは4年前。内川で水草を調査していたフロラ山形と同会の会員が見つけた。現在は櫛引地域から日枝地域にかけた内川沿い約3キロ区間内に自生している。内川に入り込んだ経緯や要因は分かっていない。
フロラ山形の会員は「オオカワヂシャは水中でも芽を出して育つ。これが『厄介者』といわれる要因。早めの対策が必要」と話している。
2024年(令和6年) 5月5日(日)付紙面より
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「こどもの日」にちなんだ“赤ちゃん力士”による「泣き相撲」が4日、鶴岡市の荘内神社(石原純一宮司)で行われ、元気な泣き声に健やかな成長を願う家族の明るい笑顔が広がった。
大きな泣き声の赤ちゃんに軍配が上がる泣き相撲。赤ちゃんの泣き声で邪気を払い、子どもたちの健やかな成長を祈願しようと、同神社が2015年に始めた。2歳ぐらいまでの幼児が対象で、9回目の今年も庄内一円をはじめ内陸地方や大型連休で帰省中の子どもたちが参加した。5日と合わせ約170人の申し込みがあり、新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行してから初の泣き相撲ということもあり、関東圏からの参加が目立ったという。
拝殿で祈祷(きとう)を受けた後、こいのぼりなどが飾られた参集殿で東西に分かれて、行司役の石原宮司の「はっけよい」の合図で対戦。取組のたびに繰り広げられる赤ちゃんたちのいろんな表情に会場は明るい笑いと拍手に包まれた。元気な泣き声に軍配が上がった三川町横山の兼子依采(いと)ちゃん(1)の両親・晃さん(30)と朝海さん(29)は「いっぱい泣いてくれました。人とのつながりを大切にして自分のペースで成長してくれれば」と話していた。
2024年(令和6年) 5月5日(日)付紙面より
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庄内町で小中学生のソフトテニス指導などに取り組んでいるNPO法人「KSクラブ」(大津幸造理事長)は先月27日、能登半島地震で被害を受けた石川県七尾市の七尾中学校ソフトテニス部に競技用ボール20ダースを寄贈した。
KSクラブでは、以前から石川県内の中学校とソフトテニスを通じて交流があり、今回は大会運営の残金やソフトテニス大会で行った募金活動を原資に、少しでも元気を出してもらえればと「がんばろう!石川」のメッセージがプリントされた試合球を贈ることにした。
山形、新潟、富山、石川、愛知などから選手約200人が参加し、先月27日に富山県高岡市で開かれた「東西交流中学生ソフトテニス大会」の際、KSクラブを代表して五十嵐蒼羽選手=鶴岡二中3年=が、七尾中ソフトテニス部員にボールを手渡した。七尾中の生徒や部活動指導員は「いまだに復興が進まず、自宅が被害を受けて避難所生活をしている部員もいる」など話していたという。大津理事長は「被災者の話を聞き、KSクラブの生徒たちも不自由なくソフトテニスができることに感謝しているようだ。今後も被災地のために支援活動を続けていきたい」と話していた。
2024年(令和6年) 5月5日(日)付紙面より
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鶴岡市山五十川の河内神社の春祭典が3日、同地区で行われた。地域に伝わる県指定無形民俗文化財の「山戸能」と「山五十川歌舞伎」が同神社境内の山五十川古典芸能伝承館で奉納上演され、大勢の見物客がステージ上で繰り広げられる伝統芸能を楽しんだ。
山戸能は能楽が伝えられた平安時代に始まったとされ、1964年に県の文化財指定を受けた。また、山五十川歌舞伎は300年ほど前の江戸中期、神楽に関連した村芝居として始まったとされ、86年に県の文化財指定を受けた。一つの地域に能と歌舞伎が伝えられているのは全国でも珍しく、現在は山五十川古典芸能保存会が継承と後継者育成に取り組んでいる。
能の上演は大小の鼓と太鼓で舞台を清める「座揃囃子」で始まり、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「式三番」、漁夫の前で天女が美しい舞を披露する番能「羽衣」と続き、観客を幽玄の世界に引き込んだ。例年行われているあつみ小学校の児童による「恋慕の舞」は感染症の流行に配慮して今回は中止した。
続く歌舞伎の演目は、仮名手本忠臣蔵・大序「鶴ケ岡社頭兜改めの場」。鎌倉に鶴ケ岡八幡宮が造営され、足利直義が将軍尊氏の名代として新田義貞の遺品の兜(かぶと)を奉納しようとする中、高師直と桃井若狭之介安近のいさかいを巡る話で、せりふを決めた役者が見えを切ると観客が拍手と声援を送った。
会場では地元住民がにぎやかに酒を酌み交わし、大勢のアマチュアカメラマンが各演目を撮影。県外から鑑賞に訪れた人もおり、それぞれ連休終盤のイベントを思い思いに過ごしていた。