2024年(令和6年) 8月3日(土)付紙面より
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7月25日朝から翌26日未明にかけ庄内地方を襲った大雨の影響で路面の一部が陥没し、全面通行止めとなっている日本海沿岸東北自動車道遊佐菅里インターチェンジ(IC)―遊佐鳥海IC間について、国土交通省酒田河川国道事務所は1日、復旧作業が順調に進めば、来週末の規制解除を見込んでいると発表した。
同事務所によると、陥没箇所が見つかったのは先月25日午前10時45分ごろ。同区間下り車線で長さ約30メートル、幅約5メートルにわたって陥没したという。大雨の影響で側溝の許容量を超えたため雨が道路にあふれ出し、路面を支える土砂が流出したのが原因とみられ、同11時から全面通行止めを実施している。
同事務所は天候を見ながら被害状況を調査し、土のう設置、ブルーシートによる養生、導水管による排水処理など応急措置を施した上で先月30日、復旧工事に着手。舗装版や標識、側溝など破損施設の撤去を進め今後、本線の盛り土・舗装など応急復旧に取り掛かるという。
東北電力ネットワークは1日、大雨の影響で先月25日から続いていた本県の停電に関し全て復旧したと発表した。同社によると、庄内地域では三川町を除く4市町で発生。1日午後2時55分、最後まで停電が続いていた酒田市上青沢、北青沢の一部計214戸が復旧したという。被害が大きかった同市では、八幡・松山両地域を中心に最大3563戸が停電した。
酒田市によると、断水は依然八幡地域で続いており、上下水道部で給水対応に当たっている。
2024年(令和6年) 8月3日(土)付紙面より
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手のひらサイズのかわいい動物たちと、動物たちを取り巻くこだわりの家や家具を集めたシルバニアファミリーの企画展「シルバニア村のおいしい時間」が酒田市美術館で開かれ、親子連れをはじめ多くの来館者の目を楽しませている。
「シルバニアファミリー」は1985年、女の子向けおもちゃとして玩具会社「EPOCH(エポック)」(本社・東京都)が発売したドールハウスシリーズ。家や人形、家具、店舗など、かわいらしさと細部にこだわったデザインが人気を呼び、年齢や性別を超えて世界70カ国以上の国と地域で愛されている。今回は調理器具や食器、食べ物のデザインに込められたこだわりに着目し、「にぎやか赤ちゃんパン屋さん」を中心に市美術館が企画、県内初開催した。
館内や中庭に多くのフォトスポットがあり、全展示物が撮影可能。87年に発売した最初のお店屋さんシリーズ商品「村のベーカリー」のほか、ワゴン、デリバリー、ビュッフェなどのシーンで登場する多彩なミニチュア料理やドールハウス作家とのコラボ作品が並んでいる。
また、動物たちが暮らすシルバニア村を再現した約7・3平方メートルの巨大ジオラマ、初期に発売した人形や物干しざお、二層式洗濯機から、近年のドラム式洗濯機、ハンディークリーナーのミニチュア作品もあり、時代で変化した商品に親子連れの来館者たちは懐かしそうに見入っていた。
展示は9月8日(日)まで。
2024年(令和6年) 8月3日(土)付紙面より
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今年も、間もなく広島(6日)と長崎(9日)の被爆地は、79回目の「原爆の日」を迎える。日本は世界で唯一の原子爆弾の被爆国。世界のどこの国であっても再び原爆の被害などあってはならないのは言うまでもない。しかしウクライナに侵攻するロシアは、核使用をちらつかせて威嚇している。どんな事があっても許してはならない。
原爆は一瞬にして多くの命を奪うだけでなく、今も被爆の後遺症で苦しんでいる人がいる。非人道的な核兵器廃絶の声を世界に届けなければならないが、国内では戦争があったこと、原爆が投下されたことも知らない世代が増えている。何かにつけて語り継いで後世に伝え、核廃絶を世界に訴えていきたい。
◇ ◇
原爆投下で広島と長崎を合わせて約21万人が犠牲になった。被爆による後遺症と、母親の胎内で被爆して生まれて後遺症に苦しんだ人もいる。世代を超えて苦しまなければならないところに、原子爆弾の恐ろしさがある。もう一つの被爆がある。1954年3月、静岡県焼津港のマグロ漁船・第五福竜丸が、米国のビキニ環礁での水爆実験場付近で操業していて、「死の灰」と呼ぶ放射性物質を浴び、1人が半年後に死亡、多くの乗組員が後遺症で苦しんだ。
映画『ゴジラ』の第1作が公開されたのは、ビキニ環礁の水爆実験から8カ月後の54年11月。架空の怪獣のゴジラが、水爆実験で太古からの眠りを妨げられたことを怒り、人間社会に仕返しにやって来る。ゴジラに水爆のような破壊力を持たせることで、核の恐怖を伝えようとした。鶴岡市朝日地域出身の本多猪四郎監督が、自身の戦争体験から「人間は自分たちが作った水爆で、自らが滅びようとしている」と「反核・反戦」を訴える作品だった。
原子力は平和利用もされている。しかし、原子力による事故の怖さは、福島第1原発事故で思い知らされた。平和利用でさえ、時に恐怖におびえなければならない原子力である。争いの凶器となる核兵器開発など許されるはずがない。核がないことの平和を世界に発信する。核被爆国としての使命ではないか。
◇ ◇
原子力規制庁は、福井県の敦賀原子力発電所2号機を「原発の規制基準に適合しているとは認められない」と判断した。再稼働を認めないとの結論は、同原発の真下を走る断層が将来動く可能性を否定することが困難であるため。原発事業者が科学的に活断層を調査したとしても、数百年、数千年単位で動く断層の活動を予知するのは難しいという判断のようだ。
原子力はさまざまな面で社会を支えている事は確かだが、あくまでも平和利用であり、安全であることが大前提。戦争で核兵器を使用すると威嚇すること自体が非人道的だ。大惨事につながる核の使用など、絶対許してはならない。
2024年(令和6年) 8月3日(土)付紙面より
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庄内地域をエリアに肥料や飼料を含めた地域内循環型農村経済圏「庄内スマート・テロワール構想」の実現を目指している山形大農学部は30日、日本中央競馬会畜産振興事業の採択を受け、同構想で商品化している「スマテロ豚肉加工品」の品質向上に取り組むと発表した。3年間で約6500万円の助成を受け、県農業総合研究センター養豚研究所(酒田市浜中)と共同で、ハムやベーコンなど加工向けに特化した豚肉生産技術の開発を進める。
同日にあった農学部の記者懇談会で、浦川修司教授と同研究所の五十嵐宏行開発研究専門員が説明した。
国内では現在、発育の早いランドレース種と大ヨークシャー種の交配による子に、肉質の良いデュロック種を掛け合わせた三元交雑豚の生産が一般的となっている。加工向けに特化した豚肉生産の技術開発では、デュロック種の代わりにランドレース種か大ヨークシャー種を交配し、ハムやベーコン向けの部位が多くなる交雑種の作出を進め、食味評価などに取り組む。
肥育日数の延長による出荷体重も一般的な115キロから130キロ超まで増やす計画で、肥育期間延長に伴う飼料の確保など飼養管理技術の確立を探る。餌については、スマート・テロワール構想で取り組んでいる地域産の子実トウモロコシや大豆、小麦(ふすま)などに加え、酒どころの地域特性を生かし、タンパク質が豊富な酒かすの活用も研究する。肥料は畜産由来の堆肥に加え、地域内のメーカーの協力を得て、とんこつスープの残さの活用も検討する。さらに、こうした地域内資源の飼料や肥料を活用した場合の温室効果ガス排出抑制など環境負荷の低減効果も検証する。
地域内循環を目指す庄内スマート・テロワール構想では、2017年からハム、ベーコン、ソーセージの豚肉加工品の商品化が進められ、今年3月までに約15万パックを提供してきた。同構想プロジェクトの統括責任者でもある浦川教授は「精肉生産中心の国内で、加工向け豚肉生産を目的とした研究は珍しいテーマ。養豚経営の安定化にもつなげる循環型農村経済圏のモデルを庄内地域で構築して全国に広げ、わが国の食料自給率を上げていきたい」と話していた。
2024年(令和6年) 8月3日(土)付紙面より
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今月11日(日)に開催される「しょうない氣龍祭」の呼び物「飛龍」と「姫龍」が庄内町役場前に展示され、祭り気分を盛り上げている。
氣龍祭は、2019年に終了した夏宵まつりに代わり企画された夏祭り。祭りのメインとなるのは同町深川地区に古くから伝わる「金沼飛龍伝説」をモチーフに制作・改修された「飛龍」と「姫龍」。飛龍は全長40メートルで、頭部が高さ3・5メートル、長さ4・6メートル、幅2・9メートル。姫龍は全長30メートルで、頭部が高さ1・5メートル、長さ2メートル、幅1メートル。全国からの寄付で制作・改修された。飛龍の改修は色が従来の緑色から黒と金に塗り直され、新規作製の姫龍は白とピンクに仕上げられた。2体ともバッテリーに接続すると目と口内が白や赤に点灯し夜の祭りで映える設計となっている。
庁舎東側のA棟とB棟入り口前のスペースには、先月7日から飛龍と姫龍の頭部が展示され、庁舎を訪れた町民らが足を止めて見入っていた。展示は11日まで。
当日は午後5時から、県道44号線の「和心」前の交差点から鶴岡信用金庫余目支店前の間約500メートル区間を通行止めにし、飛龍と姫龍の舞やダンスパフォーマンスなどが繰り広げられる。
2024年(令和6年) 8月3日(土)付紙面より
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鶴岡市の国際交流員として3年にわたり活動してきた米国オハイオ州出身のクランプ・アレクシスさん(30)が2日、市国際交流大使の委嘱を受けた。アレクシスさんは今月中に米国へ帰国するが、今後も自身のSNSなどを活用して鶴岡市の魅力や情報を発信する。
アレクシスさんは幼少時から日本の文化に興味を持ち、大学4年時の2018年に関西外国語大へ1年間留学。19年8月から2年間、三川町のALT(外国語指導助手)として町内の小中学校で英語教育に携わった。
21年8月に鶴岡市国際交流員となり、市国際化推進プラン策定協力など多文化共生推進事業をはじめ、中学生の夏休み異文化理解事業やニューブランズウィック市関係者の来鶴時の通訳など国際交流・国際理解関連事業、鶴岡市の食文化紹介など食文化創造都市推進事業に従事した。
国際交流大使の委嘱状交付式は鶴岡市役所で行われ、皆川治市長がアレクシスさんへ委嘱状と記念のキビソのストールを手渡した。アレクシスさんは丸3年にわたる国際交流員の活動について「最初の仕事は21年のパラリンピックでドイツのボッチャ選手団が鶴岡市で事前合宿した時。本当は別の人が通訳をするはずだったが、事情で自分に回ってきた。緊張し過ぎてどんなことを話したか覚えていない」と笑った。
また、庄内在住の間に出羽三山は全て制覇。特に羽黒山は観光関連や友人の案内などで年に数回登ることもあり、「あの石段は三山の中で一番きついと思う」と振り返った。羽黒山頂の斎館などで提供される精進料理もよく食べたという。
アレクシスさんは「庄内は食べ物がおいしい。納豆汁や孟宗汁、笹巻き、とち餅、ひな菓子といろいろ食べたが一番は決められない。『つるおかおうち御膳』を入手したので、米国で鶴岡が懐かしくなったら郷土料理を作りたい。自然の多さや優しい人柄も魅力」と語り、「米国でも日本に興味を持つ人は多い。初の日本旅行は東京や関西を選びがちだが、東北の食べ物のおいしさや優しい人柄を伝え、鶴岡市への旅行をおすすめしたい」と話していた。