2025年(令和7年) 2月6日(木)付紙面より
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酒田市升田の名瀑「玉簾(たますだれ)の滝」の氷瀑姿や棚田の雪原トレッキングを楽しむ「日向街道氷瀑トレッキング」が2日、同市八幡地域で開かれた。玉簾の滝は昨年7月下旬に発生した記録的大雨の影響で落ち口が数メートル下がったが、岸壁につららがつながった神秘的な姿を見せた。
ボランティアガイド組織「鳥海やわたインタープリター協会」(信夫効次会長)が毎年主催する冬の人気ツアー。今年は庄内一円から30―80代の男女32人が参加した。
この日は朝から好天に恵まれ、積雪約1・5メートルの中、升田地区の産直「ららら」の駐車場からまだ大雨の爪痕が残る御嶽(みたけ)神社の参道を抜けると、奥につららに囲まれた玉簾の滝が。一部が凍った冬にしか見られない滝の姿に、参加者たちは感嘆の声を上げしきりにシャッターを切っていた。
その後、かんじきやスノーシューを装着し、旧日向小学校を活用した「日向里(にっこり)かふぇ」の裏から冬季閉鎖している農道へ。積雪約1メートルの農道上には、長期間車が通らないためウサギ、イタチ、リスなど野生動物の足跡が多く残されており、参加者たちは同協会員から「カモシカは偶蹄目で爪先が割れているので、足跡をよく見ると進んだ方向が分かる」などの解説を聞きながら、足跡探しを楽しんでいた。
大台の棚田で雪原歩行の後、ゴールの御滝(みたき)神社に到着。参加者たちは大雨の影響で社殿が全壊した「不動の滝」に向かい、思い思いに手を合わせていた。
市内から初めて参加したという60代女性は「かんじきを履いたのも初めて。沈まないか半信半疑だったが歩くと楽しかった。長年酒田に住んでいたが初めて見る景色がたくさんあり感動した。道中で災害の爪痕を見て、改めて被害の大きさを実感した」と話した。
2025年(令和7年) 2月6日(木)付紙面より
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酒田市の泉小学校(新舘啓一校長、児童280人)の4年生が4日、鹿児島県の離島・硫黄島にある三島硫黄島学園児童らとオンラインで交流した。
泉小と同学園はジャンベ(アフリカ太鼓)に親しんでいる縁などから、両校と交流がある在ギニア日本国大使館の加藤隆一特命全権大使の仲立ちで昨年2月にオンラインで初めて交流した。
この日は泉小4年生40人と同学園4―6年生9人、島に住むジャンベ奏者のセク・ケイタさんら島民、加藤大使ら計約30人が参加した。
最初に両校の児童たちがじゃんけんゲームやジャンベと和太鼓を使ってリズム交換するなど楽しく交流。引き続き、児童たちが準備したお互いの地域の「CM」を披露。同学園が島の歴史や周囲の生き物などの動画を発表。泉小児童らは3、4人のグループに分かれ「鳥海山」「酒田まつり」「飛島」「酒田大火」などを寸劇で紹介するなど、それぞれの地域について理解を深めた。
参加した泉小の涌井涼君(10)は「前回よりも親近感を持つことができ、心がつながった。お互いのことを深く知ることができてよかった」と喜んでいた。
2025年(令和7年) 2月6日(木)付紙面より
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科学技術の発展をけん引する人材育成に向け、小中学生を対象に酒田市の東北公益文科大学(神田直弥学長)が展開する教育プログラム「ジュニアドクター鳥海塾」で、第2段階に“進級”した児童・生徒による成果発表が1日、学内で行われ、15人がこれまでの活動で築き上げた自らの研究についてポスターを用いて報告した。
鳥海塾は、科学技術イノベーションをけん引する傑出した人材の育成に向け、意欲と能力のある小中学生を発掘し、その能力を伸ばすことを目的とした科学技術振興機構(JST)の支援制度「ジュニアドクター育成塾」に公益大が応募した「鳥海山の頂から世界を目指せ!地域の未来を情報技術で切り拓(ひら)くジュニアドクター鳥海塾(科目名・ジュニアドクター鳥海塾)」が選定されたことを受け、2021年度から続くプログラム。本年度で4期目。
塾には「進級制度」があり、今回は1―3期生の中から神田学長、広瀬雄二教授、山本裕樹教授、植田和憲准教授の指導を受け活動を継続した小学6年―高校2年の計15人が、これまで取り組んできた研究をそれぞれ発表した。
この日は指導教授や所属校の教諭、保護者など約40人の見学者が集まり、塾生たちは「バーチャルショップを利用した地域活性化、売上向上のための研究」「二次災害の可能性を減少させる防災マップの構築」など個性や意欲あふれる研究を発表。このうち高橋祥馬さん(遊佐中2年)は、ブラックホールによって引き起こされる重力レンズ効果を再現するためのシミュレーションgifアニメをプログラミングで作成。重力レンズ効果によって空間がねじ曲がった画像を示し「重力レンズ方程式からプログラムを作り、画像を出力することができた」と発表し、聞いていた大人たちを驚かせた。
神田学長は「教諭や教育委員からの質問に的確に答えていた姿もあり、充実した発表だった。今回で卒業する人も研究を続ける人も、さらなる研究、挑戦に向けて頑張ってほしい。鳥海塾の活動は残り1年だが、今後も皆さんの意欲や能力を引き出す方法を大学として模索していけたら」と総括した。
2025年(令和7年) 2月6日(木)付紙面より
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酒田市の酒田第六中学校(田中学校長、生徒341人)でこのほど、3年生が考案した「酒田の活性化策」を披露する提言発表会が開かれ、市職員らに生徒目線の酒田の魅力や改善点などについて伝えた。
同校3年生は、思考と対話によるコミュニケーション能力や発信力向上を目的に「酒田の魅力を再発見し、市長に提言しよう」を総合学習のテーマに設定。昨年6月から同市のまちづくりの指針となる市総合計画を学び、市職員による出前講座を聴くなど、3―5人ずつ31グループに分かれて20時間かけて調査や提言アイデアの取りまとめなどを行った。
先月下旬に同校で行われた発表会には3年生120人や教職員、市職員など参加。「酒田の食文化・食生活」「観光」「防災」「人口減少対策」「地球温暖化対策」など大きく8つのジャンルに分かれて、それぞれが自ら考案した市への「提言」を発表した。このうち、酒田市のホームページを見やすくしようと呼び掛けたグループは、文字が細かく見づらい点を指摘。「文字を大きくし、イラストを簡略化してできるだけ見やすくしては。文字の拡大や音声読み上げの欄を大きくするとより分かりやすい」などと提言した。参加した生徒の一人は「酒田の良さや魅力、問題点を発見したり、見直すことができた」と感想を語った。
2025年(令和7年) 2月6日(木)付紙面より
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慶應義塾大先端生命科学研究所などの研究グループは、抗がん剤によって細胞に含まれるタンパク質「SLFN11(シュラーフェンイレブン)」が機能すると、がん細胞の一部の働きを低下させ、死滅させる仕組みを解明した。がん化学療法では薬剤の効果を事前に予測することは難しいとされているが、SLFN11をバイオマーカー(生物学的指標)とすることで、治療効果が予測しやすく、高めることが期待できる。研究成果が5日、米国の学術誌モレキュラー・セルに論文掲載された。
研究では、SLFN11の細胞内での働きを検証した結果、SLFN11が機能を発揮すると、がん細胞内の合成が低下し、がん細胞の死滅を抑制するタンパク質の劇的な減少が死滅を導く経路を明らかにした。
抗がん剤による化学療法では効果に個人差があるものの、臨床研究では卵巣がんや肺がん、胃がん、食道がん、乳がんなど多くのがん種ではSLFN11が多く発現すると、化学療法の効果が高いことが分かっている。SLFN11は病理検査で簡便に比較的安価に行うことができ、化学療法の薬剤効果を予測する「バイオマーカー」として期待できるという。
論文の共責任著者で慶應大特任准教授でもある村井純子愛媛大准教授は「SLFN11を活用したがん治療が確立されれば、より多くの患者にとって最適な治療法を提供できるようになる。医療関係者にアピールし、臨床データの蓄積が進むことを期待している」と話した。
今回の共同研究には、先端研の北島正二朗特任講師ら研究者のほか、先端研の研究助手に採用された当時の鶴岡中央高生も参加した。村井准教授と北島特任講師の研究室でデータ整理や細胞組織培養などに携わった、ともに鶴岡市立荘内看護専門学校1年の鈴木真理さん(18)と齋藤羽雪(はゆき)さん(19)は、研究成果の発表について「どんな成果につながるのか当時はよく分からなかったが、発表論文に助手として役立つことができたと思い、とてもうれしい」と話した。