2025年(令和7年) 2月19日(水)付紙面より
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庄内地域のクロマツ林で「松くい虫」(マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウの総称)による被害が広がり、2024年は鶴岡、酒田、遊佐3市町の国有林・民有林計10万4399立方メートル(材積換算、暫定値)に及び、過去最悪を更新したことが分かった。「感染源」となる被害木を全て伐倒できなかったことに加え、春から夏にかけての高温による樹勢の衰えが主因。今後、伐倒駆除、消毒液散布といった既存の対策に加え、保全を行うエリア、広葉樹への樹種転換を進めるエリアに区分して林の特性に合わせた管理を行う「ゾーニング」に取り組み、被害の軽減を図っていく。
17日に遊佐町議場で開かれた庄内海岸松くい虫対策強化プロジェクト会議(議長・松永裕美町長)で、庄内森林管理署と県が示した。
松枯れの原因となるのは体長1ミリほどのマツノザイセンチュウ。この虫を媒介するのがマツノマダラカミキリで、松から松へと飛び回って樹皮を食べる。この際にセンチュウが木の中に入り込むことで木が衰弱し枯れてしまうという。
県が実施した24年の民有林調査は計7万5732立方メートル(前年3万9535立方メートル)、庄内森林管理署による国有林調査では計2万8667立方メートル(同1万7826立方メートル)でそれぞれ被害が確認された。市町別にみると、鶴岡市1万938立方メートル(同7471立方メートル)、酒田市7万3097立方メートル(同3万6296立方メートル)、遊佐町2万365立方メートル(同1万3594立方メートル)。
この日の会合には庄内森林管理署と県、3市町、森林組合、自然保護団体、関係する3JAから計約30人が出席。被害対策の「選択と集中」を図るため導入する「ゾーニング」は、保全を最優先とし防風・防砂機能の維持を図る「重点エリア」、広葉樹への樹種転換を進めることで地域の森林機能の維持を図る「準重点エリア」にクロマツ林を区分することで庄内海岸林の多様化を進め、将来にわたって持続可能な管理につなげる。意見交換では国に対して支援を求める声が多く出された。
議長を務める松永町長は「さまざまな困難を打ち破ってきた先人に習い、この危機を乗り越えるため知恵を出し合い、地域が一体となって全力で防除対策に取り組んでいきたい」と述べた。