2025年(令和7年) 3月14日(金)付紙面より
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昨夏の豪雨災害で護岸損壊といった被害が出た酒田市八幡地域を流れる荒瀬川(延長15・9キロ)の改良復旧に係る「二級河川日向川水系河川整備計画」の策定に向けた住民公聴会が12日、市八幡タウンセンターで開かれた。管理者の県が同計画の素案を示し、住民から意見・要望を聴取。今後、パブリックコメントを実施するなどし2025年度中の策定を図る。
日向川の支流・荒瀬川は流域面積93・7平方キロメートルの2級河川。昨年7月25日からの豪雨の際、流域では24時間雨量が約400ミリに達して流下能力を大幅に上回ったことから溢水(いっすい)・越水が発生し、流域では護岸損壊のほか、河岸浸食、橋梁(きょうりょう)の被災、流木による流水疎外・土砂堆積など甚大な被害が相次いだ。
河川法に基づき策定される河川整備計画は時代の要請に合わせて見直され今回、昨年と同規模の洪水が発生した際の被害防止を図るため原形復旧だけでなく、改良復旧を実施する。
県が示した素案によると、荒瀬川全域を対象に流下能力の向上に向け河道掘削(河床掘削・河道拡幅)や築堤など実施する。水際部では現在の良好な河川環境を可能な限り復元することで魚類の生育環境について配慮するほか、荒瀬川頭首工は改築と合わせて魚道を整備し、多様な動植物の生育環境の保全・復元に努めるとしている。
公聴会には八幡地域住民を中心に約30人が参加。上流部における流水を一時貯留する遊水池の積極的設置、河道蛇行の十分な是正、地域気象観測システム(アメダス)の増設といった要望が出された。参加者の一人、齋藤新一さん氏(75)=北青沢=は「工事の早期完成で住民に安心を」と話した。
県は今後、広く県民から意見を募るパブリックコメント、学識経験者からの意見聴取を実施した上で計画の原案を作成。関係機関との協議を経て国土交通省東北地方整備局長に申請する。鷹濱潤・県庄内総合支庁河川砂防課長は冒頭のあいさつで「貴重な意見を聞き地域の安全・安心の確保に努めていきたい」と述べた。