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2025年(令和7年) 3月15日(土)付紙面より

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絵本が秘める存在感は大きい

 絵本とは「絵を中心にして簡単な文を付けた本。主に、子供向けの本をいう」と、辞典に出ている。しかし、絵本が持つ力は大きい。鶴岡市の「読書で元気なまちをつくろう市民の集い」で講演した作家の柳田邦男さんは「大人こそ絵本を読もう」と呼び掛けている。たかが絵本と軽く見てはいけないことになる。

 鶴岡商工会議所青年部が今年も、鶴岡市立図書館に幼児の背丈ほどある絵本を含む7冊の絵本を寄贈した。寄贈は今回で50回目。大型絵本の寄贈は10年ほど前から始め、子どもに人気のようだ。幼い頃から本好きになれば、大人になっても本に触れる生活スタイルが続くのではないか。

◇      ◇

 絵本とは別の話。鶴岡市朝日地域の旧大網小田麦俣分校を活用した「たにしの楽校」は、童謡詩人・金子みすゞの作品を展示している。先頃、同楽校をテーマにした紙芝居が作られたという。紙芝居は絵を1枚ずつめくって物語の展開を語り聞かせる。このとき、子どもたちは「次はどんな絵が、どんな物語が」と想像を巡らす。絵本もそれと同じではないだろうか。

 最近は子どもの生活スタイルの変化からか、日の出や夕日を見た事のない子どもが増えていると言われる。外に出掛けることが少なくなったせいか、そうした光景を見ても感動しない子どもが増えているとの指摘もある。目まぐるしく動く動画やアニメに興味を持ち、アニメのキャラクターの話し言葉も、倍速のような早口になって、せわしなくなった。映像の流れを追いかけていては、物事を自分なりに想像することの大切さが損なわれる気がしてならない。

 全国学校図書館協議会などが実施している「読書感想画中央コンクール」は、今年で36回になる。感想文と違って、本を読みながら作品が描く物語と情景を想像して絵にする。読み進むうちに自分自身が作品の中に溶け込み、作品の世界を疑似体験しているからこそ、作品を1枚の絵に凝縮して表現できるのではないだろうか。

◇      ◇

 鶴岡商工会議所青年部が寄贈した大型絵本には、縦116センチ、横21センチという大判サイズもある。普段は手に持つサイズの本を見ている子どもたちにとって、自分の背丈ほどもある絵本の大きさに驚き、強い印象が心に残ることだろう。それが、本好きにつながるだろうことを信じたい。

 言葉は使ったり話さないでいると、言葉の表現力が衰えると言われる。絵本には、分かりやすく優しい言葉が詰まっている。短い文章で物事をしっかり説明しているため「珠玉」の日本語でつづられていることで、辞典の説明以上の力を、絵本は秘めているのではないか。温かい心を育むためにも、寄贈された絵本だけでなく、多くの絵本に触れる機会を持ちたい。ただぼーっとして見ているだけでも、何かしら心に響くものが、絵本にはあるかもしれない。

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