
控えめなデザインの中に感じる和の美しさ―。鶴岡市出身で京都を拠点に創作活動に取り組んでいる陶芸作家、渡邉英里子さん(28)の作品はそんな印象を与える。日本の伝統文化を色濃く残す街で刺激を受けながら、個性的な作品づくりに挑戦している。
渡邉さんの旧姓は山田。朝暘第六小、鶴岡一中を経て鶴岡北高に進学。高校卒業後、「ものづくりの仕事に就きたい」と旧羽黒町の松岡窯陶芸教室に就職。2年間陶芸の基礎を学んだ後、もっと知識を深めたいと二十歳で京都へ移住した。
京都には何のつてもなかったが、アルバイト先の陶器店で陶工職人を紹介され、「押しかけ同然」(渡邉さん)で弟子入り。ろくろ成形を教わった後、職人の育成を目的にした府立陶工高等技術専門校に入学。1年かけて伝統的な京焼・清水焼の絵付けを学んだ。
同専門校修了後の23歳ごろから本格的に創作活動をスタートし、グループ展に参加するなどしてきた。昨年12月にものづくりを通して知り合ったご主人と結婚。現在は京焼の絵付けの仕事をしながら、オリジナル作品を制作している。
普段使いに彩りを与えてくれそうな器は、白地に墨で菊紋や小鳥などを描いたモダンな図柄が印象的。「京都の華やかな文化にあこがれていたのに、私がつくるのは東北の藍染や裂織(さきおり)のようだと言われます」と笑う。
実家を離れてしばらく経つが、京都は古里の鶴岡に似た雰囲気もあって住みやすいと話す渡邉さん。「若くて才能のある人がたくさんいて刺激になる。京都で陶芸を続けながら、いつか地元で作品展を開けたら」と話してくれた。
渡邉さんの作品は、地元では鶴岡市川尻の洋菓子店「いづみや」で常設展示・販売。また、京都を拠点にギャラリーなどを運営している「ノキロアートネット」(http://www.nokiro-art-net.com/)でも通信販売している。
(2007年3月掲載)