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海坂藩旅歩き

児玉さんが藤沢作品との出合いや文学観について語りました

藤沢文学の魅力新た 児玉清さんら招き寒海忌

鶴岡市出身の作家・藤沢周平さんをしのぶ「寒梅忌」が1月18日、市中央公民館で開かれ、追悼式や藤沢さんの教員時代の思い出話で故人の人柄を振り返りました。また、俳優でクイズ番組の司会者としても有名な児玉清さんが記念講演し、自らの人生と藤沢作品の関わりについて語りました。

寒梅忌は、鶴岡藤沢周平文学愛好会(萬年慶一代表)が藤沢さんの命日の1月26日に合わせ、2000年から毎年1月に開いているものです。

追悼式では、ステージに掲げられた笑顔の藤沢さんの写真に黙とう。藤沢さんの旧湯田川中学校教員時代の同僚・三浦武弥さん(鶴岡市)と児玉さんの2人が献花し、藤沢さんの授業を聞いたという武田彦恵さん(同)が藤沢さん作の俳句「花合歓や畦を溢るゝ雨後の水」「軒を出て狗寒月に照らされる」の二句を詠みました。

続いて、藤沢さんの教員時代の同僚と教え子合わせて4人を交えた座談会が行われました。同愛好会顧問の松田静子さんが司会を務め、同僚だった三浦さんと渡邊としさん(鶴岡市)、教え子の武田さんと大瀧澄子さん(同)が参加し、「小菅(藤沢さんの本名)先生が台本を書いた放送劇が行われた時、生徒全員にそれぞれひと役が与えられた。とても思いやりのある先生だった」などと思い出を語りました。

児玉さんは「海坂藩はわが心のふるさと、そして原点」と題して講演。この中で児玉さんは俳優の道を目指した人生を振り返りながら「伸び悩んでいたころ出合ったのが藤沢さんの作品『暗殺の年輪』だった。周囲から冷笑を受ける主人公を自分の身に重ね、心に渦巻いていたものが主人公と一緒に走り出したような気持ちになった。それまでいろいろな小説を読んできたが、まったく違う世界が開けた。それほど藤沢さんの小説が人の心の機微に細やかだったのだと思う」と振り返りました。

また、児玉さんは「現在の日本は文学を読まない人が多い。文学は人生を変えてしまうほど激しい力を持ち、心を養うもの。虚構がどれだけ社会の実の面を暴き出すか、人の心の動きを知ることができるのか、分からないまま政治や経済に携わる人が増えた結果、現在の社会のような状況になってしまった」と本離れが進む現状に警鐘を鳴らしました。

サイト掲載日/2009年02月03日
海坂かわら版
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