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医療最前線 こんにちは元気だのー 癌と生活習慣病を中心に

動脈硬化症

鈴木 義広 (山形県立日本海病院神経内科医長)

鈴木 義広(県立日本海病院神経内科医長)

動脈硬化と聞くとコワイ、というイメージを持つ方は多いかと思います。しかし動脈硬化自体は特別な病気ではありません。健康な人でも年齢とともに動脈の壁は弾力性を失い硬くなっていきます。そして血管は内膜、中膜、外膜の三層構造をしていますが、内膜などにコレステロールやカルシウムがたまると血管の内腔(血液が流れているところ)が狭くなってしまいます。動脈硬化は40歳以上になるとほとんど例外なくみられますが、進行すると心筋梗塞などの心臓病や脳卒中につながるからコワイのです。動脈硬化により何らかの症状が出現した場合が動脈硬化症です。

動脈硬化はそのタイプから3種類にわけられます。(1)大動脈や脳動脈、冠動脈(心筋を養う動脈)などの太い動脈の内膜にコレステロールなどがついて粥状にドロドロとなり次第に厚くなって内腔を狭くしてしまうもの、(2)高血圧により脳や腎臓の細い動脈がつまったり血管の壁全体が破れて出血したりするもの、(3)中膜にカルシウムがたまって硬くなり血管壁が破れてしまうもので、大動脈や頚動脈、足の動脈におこりやすいものです。最も多くかつ危険なのが(1)で、「アテローム動脈硬化」とよばれ、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。

動脈硬化があっても内腔が30%以下くらいまで狭くならないと症状としてはありません。症状が出てからでは遅いこともあります。では動脈硬化の診断はどうすればよいのでしょう。高血圧や高脂血症、糖尿病があれば動脈硬化が進行するという予測はできますが、動脈硬化の実際の判定にはさまざまな検査を組み合わせて行います。両腕と両足首で測った血圧の比(API)をみるほか、脈派伝播速度検査(PWV)、眼底検査、心電図など、さらに最近特に勧められているのが頚動脈エコー(超音波)検査です。心臓から頭の方へ向かう動脈を超音波を利用してみるもので、動脈の壁の厚さや内腔の狭窄の有無がわかり動脈硬化の判定が容易にできます。当院でもこの検査は積極的に行っております。

動脈硬化の進行をいかにして抑えるか、が重要ですがこれは前回の「生活習慣病」で述べた通り、バランスのとれた腹八分目の食生活、禁煙、過度の飲酒注意、適度な運動をすること、ストレスをできるだけ避けること、太っている方はやせること、といった生活習慣の見直しにより可能です。残念ながら動脈硬化が進んでしまった場合でも、狭くなった血管を避けて血行を改善するためバイパスを作るという外科的手術、カテーテルという細い管を血管に入れて風船をふくらませたりステントという器具を入れて血管の狭窄を防ぐ方法、また抗血小板薬などの内服治療により心筋梗塞、脳梗塞などの予防はできます。心筋梗塞については次回から心臓の専門家に詳しく教えていただくことにしましょう。

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