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医療最前線 こんにちは元気だのー 癌と生活習慣病を中心に

胆石症

名木野 匡 (山形県立日本海病院 内科・消化器科医師)

名木野 匡(県立日本海病院内科・消化器科医師)

「胆石で手術した」「胆石で病院に通っている」そんな話を皆さんは耳にしたことはありませんか? 同じ「胆石」でも、手術や内視鏡治療が必要になる方もいれば、経過観察になる方もいらっしゃいます。この違いはいったい何なのでしょうか?

今回は意外に身近な病気である「胆石症」についてお話しさせていただきます。

胆石症は現在、増加の一途をたどり10人に1人は「胆石」を持っているといわれています。原因としてはさまざま挙げられますが、主なものとして、高脂肪食など食生活の欧米化や細菌感染などの関与が指摘されています。一概に「胆石」と言ってもその種類は多彩で、コレステロール結石やビリルビン結石、その他のカルシウム結石などがあり、しかもそれらが組み合わさってできているのが一般的です。その中でも特に頻度の高いコレステロール結石に関して、欧米では、女性(female)、色白(fair)、肥満(fat)、40歳代(forty)、多産(fertile)の「5F」と言われる人たちに起こりやすいと言われています。また、同一家庭内にしばしば胆石患者の多発を見ることがあるとも言われています。

胆石はただ存在するだけで悪さを働くことは通常ありません。しかし、胆「石」ですので、ころころ転がって管に詰まってしまったり、細菌が付着して感染を起こしてしまったりすることがあり、臨床的にはそれらが問題となります。典型的な症状としては食後や夜間に突然出現する痛みで、一般に上腹部の痛み、黄疸、発熱の3つが胆石症の三徴とされています。

このような「胆石症」ですが、胆石が存在する場所の違いで、1.胆嚢結石症、2.胆管結石症の2つに大きく分類されます。

1の胆嚢結石症とは胆汁をためる胆嚢の中に石ができる病気です。胆嚢結石症は基本的に良性の病気ですが、症状の有無で治療方針が分かれます。

検診や人間ドックなどで偶然見つかる無症状の胆嚢結石症については、その後も無症状で経過する可能性が高いことから、1年に1回の定期的な超音波検査で経過観察可能です。しかし、腹痛や発熱など症状が現れてきてしまった場合、現在の治療ガイドラインでは、治療法として基本的に外科手術が勧められています。ただ、年齢や症状の程度など全身状態を考え、内科的に治療を進めるケースも少なくありません。

2の胆管結石症とは胆汁が流れる管である胆管に石ができる病気です。位置的な問題で、胆管の方が胆嚢より細菌が入りこみやすく、急性閉塞性化膿性胆管炎といって命をも奪ってしまう病気になり得ますので、治療はできるだけ早くした方が賢明です。胆嚢結石症とは違い、こちらはERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)と呼ばれる内視鏡を使った検査を選択し、治療を進めることが多いのが現状です。

いかがですか? 一般に「胆石」といっても胆石がある場所や症状によってそれぞれ治療が異なり、悪くすれば命を脅かす危険すらある、ということをお分かりいただけたでしょうか?

食後に決まっておなかの右上付近がキリキリ痛むなど少しでも、あれ、おかしいな、と思ったら、一人で思い悩まずに、早めに医療機関を受診し相談されることをお勧めします。

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