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睡眠時無呼吸症候群

窪田 俊憲 (山形県立日本海病院 耳鼻咽喉科医師)

窪田俊憲(山形県立日本海病院 耳鼻咽喉科医師)

「睡眠時無呼吸症候群」。近年マスコミでも頻回に取り上げられるようになり、病気の名前は聞いたことがあると思います。その中でもいくつかの種類があるのですが、今回は最も多い閉塞型睡眠時無呼吸症候群について説明いたします。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何らかの原因で空気の通り道が閉塞することにより、無呼吸や低喚気が生じることをいいます。扁桃腺の腫大やあごが小さいことや肥満でのどに脂肪が付くことなどで口の中が狭くなること、また仰向けになると舌がのどに落ち込むことなどが閉塞の原因として考えられます。特に肥満の方は半数が閉塞型睡眠時無呼吸症候群であるといわれており、肥満が高度になればなるほど無呼吸の重症度も重くなります。中でも内臓型肥満の方が睡眠時無呼吸になりやすく、最近急に体重が増加した方は要注意です。

では、閉塞型睡眠時無呼吸症候群であるとどのような症状がでるのでしょうか。睡眠中の症状としてはいびきが90%以上に出現し、夜間頻尿や繰り返す覚醒などが症状として認められます。昼間の症状としては

  • 過度な眠気
  • 集中力の低下
  • 起床時の頭痛
  • 性格の変化

などがみられ、居眠り運転の原因となったり、仕事の効率低下につながります。また、睡眠中の無呼吸は、体内に必要な酸素不足につながり、それを補うため心臓に負担がかかります。その結果、高血圧や不整脈が合併し、狭心症や心筋梗塞などの危険性も高くなり、さらに脳卒中の危険性も2~10倍と高くなります。

診断基準は、前述したような症状が認められ、かつ睡眠1時間あたり10秒以上の無呼吸や低換気が5回以上認めた場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。しかし、睡眠中にどのくらい無呼吸が生じているか、本人はもちろん家族でもなかなか分かりません。検査の方法としては、鼻や口の息の流れ、いびきの音、体内の酸素濃度、体位、脳波などを睡眠中に測定するセンサーをつけて寝てもらい睡眠の状態を計測します。在宅で検査できる簡易なものや入院して詳しく調べるものがあります。

睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、早急に無呼吸の状態を改善しなければなりません。治療方法としては、鼻にマスクをつけて就眠し睡眠中は圧力をかけて空気を送り込む方法、下あごが前方に突出するように作成したマウスピースをつけて舌がのどに落ち込まないようにする方法、手術的に喉の空間を広げる方法があります。前者2つの方法は無呼吸の症状を改善しますが装置をはずすと元に戻ってしまうため、根本的な治療ではありません。また、手術治療も術後の体重減少がうまくいかないと効果がなくなります。閉塞型睡眠時無呼吸症候群の多くの方は肥満であることから、どの治療にも共通して言えることはダイエットが一番重要だということです。しかし、過度なダイエットによりリバウンドすると、ダイエット前より無呼吸の症状が悪化するので注意が必要です。

日中眠気がひどく、いびきや無呼吸を指摘されており、最近急に体重が増えたまたは肥満である方は閉塞型睡眠時無呼吸症候群である疑いがあります。

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