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医療最前線 こんにちは元気だのー 癌と生活習慣病を中心に

生活習慣病と認知症

菊池 謙次 (山形県立日本海病院 神経内科医長)

菊池謙次(県立日本海病院神経内科医長)

「認知症」という言葉は、いわゆる「痴呆」のことですが、平成16年12月24日付の厚生労働省からの通達で「認知症」と言うようになっています。

認知症とは,いったん正常に発達した知能が後天的原因により低下し,それとともに感情障害あるいは人格障害を伴う病態とされます。よって単なる老化現象から生じる物忘れとは別です。しかし、認知症は高齢化社会に伴い増加の一途をたどっており社会問題化しているのも事実です。認知症自体、突然発症する病態からゆっくり進んでいく病態までさまざまです。それらは認知症の背景に潜む病態によって違います。

認知症の原因となる代表的な病態として、アルツハイマー病に代表される痴呆性神経変性疾患と脳血管障害に伴う脳卒中があります。これら2つで認知症全体の半分以上を占めますが、残念ながらいまだ根本的治療法がなく、後遺症として残るのも現状です。そうは言っても、進行を遅らせよう、後遺症を少なくしようと取り組んでいます。さらに、治療法のある病気が背景に潜んでいる可能性を念頭において日常診療にあたっております。もちろん緊急を要する病気を優先しながらであり、必要な検査を速やかに施行していくことも重要となってきます。

さて、治療法がないとはいえ、ある程度予防できる病態はあります。生活習慣病に伴い生じ得る多くの脳血管障害です。特に脳梗塞において、動脈硬化は最大の危険因子となります。脳血管障害の予防は、危険因子を減らすことでもあり、そのために生活習慣を改善することが大事になります。

危険因子には、高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満などの疾病から、喫煙・運動不足・過度のストレスなどがあげられます。周知の通り、健康的な食生活、適度な運動や気分転換を心掛けることが第一です。さらに健康診断を受け、必要であれば二次検診を受けることで早期発見に努め、きちんと治療を受けることが大事です。近くに開業されておられる先生をかかりつけ医として持つことはとても大事だとも思います。

平成16年簡易生命表によると、日本の平均寿命は男78.64年、女85.59年であり、世界一なのはご存じの通りです。中でも4大死因(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、肺炎)の中で、悪性新生物以外の3つを予防することは平均寿命を延ばす方向に働いています。医療制度の発展もさることながら、生活習慣病の改善効果は確実に私たちを長生きさせてくれると考えられます。

認知症から話がそれてしまったようですが、心身ともに健康で長生きが一番ですよね。ある程度予防できると考えられる認知症も多いのです。そのために、一人一人ができることとして、日ごろから危険因子を改善していくことが大事だと思います。

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