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医療最前線 こんにちは元気だのー 癌と生活習慣病を中心に

白内障の症状と治療

高橋 栄二 (山形県立日本海病院 眼科医長)

高橋栄二(県立日本海病院眼科医長)

白内障とは

人の目は、よくカメラにたとえられますが、カメラのレンズに相当するのが水晶体です。水晶体は直径9ミリ、厚さ4ミリの凸レンズの形をしていて、膜(嚢)に包まれています。正常な水晶体は透明ですがさまざまな原因で水晶体の中身のタンパク質が変性して、濁ってくることを「白内障」と言います。

白内障はさまざまな原因で起こりますが、最も多いのは加齢によるものであり、これを「加齢性白内障」と呼んでいます。加齢性白内障は一種の老化現象ですから、高年齢の人ほど多く発症します。

その他アトピー性皮膚炎や糖尿病などの合併症による白内障や先天的な白内障、外傷による白内障などがあります。 白内障では目の中の水晶体が濁ることにより、視力が低下します。水晶体の濁り方は一人一人違うため、症状はさまざまです。

症状としては、「目がかすむ」「まぶしさ」「視力が下がる」「暗いところで見えにくい」などがあります。

白内障の治療

点眼薬や内服薬により、白内障の進行を遅らせます。これらの薬剤は、水晶体が濁るスピードを遅くするもので、症状を改善や視力を回復させることはできません。近年これらの薬の効果に対しては疑問視されています。

日常生活に不自由を感じる場合は手術を行います。手術では水晶体の濁りを除去し人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入します。

手術の時期については、手後れにならない限りいつ手術を行っても構いません。初期の白内障では視力障害はほとんど生じません。ゆっくりと年齢とともに進行しますので、その人の日常生活に不自由を覚えるようになったころ手術を行うのがいいと思います。

稀に白内障の経過中に白内障による緑内障や眼内炎を発症することがあります。この場合は積極的に手術を行います。

現在、主に白内障の手術は濁った水晶体を超音波で砕いて取り出し(超音波水晶体乳化吸引術)、人工のレンズ(眼内レンズ)を入れるという方法で行われています。白内障が進行して、核が固くなっている場合は、水晶体の核を丸ごと取り出すこともあります(水晶体嚢外摘出術)。

手術時間は白内障の程度や手術方法によりますが10~40分ぐらいで終わることが多いです。医院によっては日帰り手術も行われています。

手術は安全性が高いものですが、もちろん100%安全というものではありません。傷口からの細菌感染・眼圧上昇による緑内障発症・駆逐性出血と呼ばれる眼内の出血などの合併症が起こることもあります。

手術を行わない場合は最終的には失明に至ります。手術の普及が進んでいない発展途上国においては中途失明の原因の1位とされています。

白内障の手術後、数カ月~数年して、また「まぶしくなる」「目がかすむ」ことがあります。これは、「後発白内障」といわれるもので、手術の際に残しておいた水晶体の後嚢が濁ってくるために起こります。

後発白内障は手術の必要がなく、レーザーを使って簡単に濁りを取ることができます。視力はすぐに回復し、入院の必要もありません。

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