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医療最前線 こんにちは元気だのー 癌と生活習慣病を中心に

緑内障について

高橋 栄二 (山形県立日本海病院 眼科医長)

高橋栄二(県立日本海病院眼科医長)

緑内障とは、視神経乳頭の異常と特徴的な視野の変化の両方あるいはどちらかがあり、眼圧(眼の圧力)を十分に下げることで視神経障害の改善あるいは進行を防止できる可能性のある病気と定義されています。

見える範囲(視野)が狭くなる症状が最も一般的ですが、初期は視野障害があっても全く自覚しないことがほとんどです。多くの場合、病気の進行は緩やかなので、かなり進行するまで症状に気付かないこともあります。視野障害が進行した場合は、視力が低下し、場合によっては失明することさえありえます。急激に眼圧が上昇した場合は眼痛・充血・目のかすみのほか、頭痛や吐き気を自覚することもあります。 緑内障には大きく次の3つに分けられます。

1.原発開放隅角緑内障

眼の中の水の排出部の機能低下のため、眼圧が上昇し、視神経がその圧力に負けて障害されるタイプの緑内障です。このうち、眼圧がいわゆる正常範囲にありながら視神経が障害されるタイプの緑内障を「正常眼圧緑内障」といいます。

2.原発閉塞隅角緑内障

隅角と呼ばれる眼の中の水の排出路が狭くなり、排出が極度に障害されるために眼圧が上昇するタイプの緑内障です。急激な眼圧上昇を来たすこともあり、これを一般に「急性緑内障発作」と呼びます。

3.続発緑内障

ステロイド薬の使用や、眼や全身に何らかの病気があり、それが原因で眼圧が上昇するために起こる緑内障です。

緑内障は、眼圧をコントロールできれば、その進行を防止したり、遅らせたりすることができる可能性のある病気です。ただし、ひとたび障害されてしまった視神経は、残念ながら回復することはありません。また、難治性で進行を止められない緑内障もあります。しかし、早期に緑内障を発見できれば、失明に至る危険性は低くなります。治療方法としては、薬物療法・レーザー治療・手術があります。

現在では、さまざまな薬効を持った点眼薬が発売されており、緑内障のタイプ・重症度・眼圧の高さなどに応じて処方されます。1種類の目薬だけで効果が少ないと判断された場合は、複数の目薬を組み合わせて処方されます。また、眼圧を下げる飲み薬もありますが、全身の副作用が強く出ることがあり、内服できない場合もあります。

レーザー治療には主に2つの方法があります。ひとつは、虹彩(いわゆる茶目)に孔を開けて、眼内の水の流れを変えるというもので、多くの閉塞隅角緑内障がこの方法によって治療可能です。虹彩に孔を開けるときにレーザーを使用します(手術で孔を開ける場合もあります)。もうひとつは、線維柱帯に照射することで房水の排出を促進するためのレーザー治療です。

薬物療法やレーザー治療が功を奏さなかった場合に手術が選択されます。大まかには、眼内の水を眼外に染み出すように細工をする手術と、線維柱帯を切開して水の排出をたやすくしてやる手術の2つがあります。緑内障の手術方法は年々改良が進み、治療成績もかなり改善されてきました。

緑内障は我が国における失明原因の上位を占めており、最近行われた大規模な調査では、40歳以上の人口のうち緑内障患者は5.0%と言われています。

以前は「緑内障=失明」と思われていました。極めて難治性の緑内障が存在することも事実ですが、一般に、緑内障は早期発見・早期治療ができれば失明を回避できる可能性のある病気です。

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