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こんにちは元気だのー 医療:最近の話題

ちょっと気になる診療科

エッ? 神経科や心療内科と違う?(神経内科)

鈴木 義広 (県立日本海病院神経内科医長)

鈴木義広医師の写真

神経内科というと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。「神経が病んでいる」というと、心の状態が悪いことをさすことが多く、ノイローゼは日本語では神経症と言います。したがって皆さんの中には、「私の心は大丈夫だから神経内科なんて縁がないわ」とか、逆に自分はストレスでイライラして眠れないのは神経内科にかかるべきか、などと思う方がいるでしょう。しかしちょっと待ってください。神経科とか心療内科というのはわかるけど、神経内科ってどう違うの?と思いませんか。医療関係者の間ですら、その違いがわかっていないことがよくあります。

神経科は精神科と同一であり、心の病を扱う科です。精神科というと聞こえが悪いことから神経科という看板を掲げるようになったのです。また実際内臓は悪くないのに精神的なストレスが原因で体調不良をきたした場合は心療内科で扱うことになります。神経科と心療内科は同じ医師のこともよくあります。一方、神経内科は心の病を対象とする科ではありません。脳からはじまり、せき髄、末しょうの神経、そして筋肉に至るまでの本来の「神経」を内科的に診断、治療するのが神経内科です。

私たちが物を見たり聞いたり、話をしたり物を食べたり、物を触ったり持ったり歩いたりするのはすべて神経の働きがなければできません。もし神経の一部に傷がついたり神経細胞が失われたりすると、手足がしびれたりふるえたり、うまく動かなくなったり、物が二重に見えたり、物を飲み込めなくなったり、ボケたりします。このような症状が生じたら、その原因をつきとめ治療法を考えていくのが神経内科の役割です。

例えば右手がしびれた方が受診したとします。ここで他の内科と異なるところは、例えばお腹が痛いといえば、胃カメラやお腹のCTなどの検査を行うと原因がわかることが多いのですが、右手がしびれるからといって右手のレントゲン写真を撮ってもまず異常は見つかりません。しびれの原因はいろいろ考えられます。脳卒中をはじめとする脳の病気なのか、せき椎(手の場合は特に頚椎)の変形やヘルニアなのか、はたまた肘や手首で末しょう神経が障害されたものか、など考える必要があります。これを一気に検査してしまうのはまず無理です。そこで神経内科医の出番です。

まずは患者さんからよくお話を聞くことが第一です。しびれはいつから始まったのか、しびれの場所は広がってきたのかずっと同じか、握る力はあるのか、何か飲んでいる薬はないか、どのような仕事をしているのか、などあらゆる情報をもとに、病気の原因を推察するのです。

次に診察です。目玉や顔の動き、しゃべり方に異常はないか、手足の麻痺(まひ)やふるえ、触った感覚の異常はないか、ハンマーで手足をたたいて反射の異常はないか、などを丹念に診察することで、どこの神経の障害か、おおよその見当はつきます。それから初めてCTやMRI、神経伝導速度検査、血液検査などの検査を行って診断を明らかにしていくという手順があります。もちろん脳卒中が疑われれば治療を急ぐ必要があるので早めに検査を行います。

神経内科で扱う症状の対象は、頭痛、めまい、しびれ、ふるえ、脱力、物忘れ、言葉の異常などです。主な病気としては脳卒中(特に脳梗塞)、片頭痛、髄膜炎、アルツハイマー病などのほか、神経難病とされているパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症、多発性硬化症などがあります。神経の病気は治るのが難しいものもたくさんありますが、医学の進歩によりかなり治療法が確立されてきた病気もあります。次回はその一端について紹介します。

2008年2月19日 up

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