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こんにちは元気だのー 医療:最近の話題

ちょっと気になる診療科

呼吸・心臓リハビリテーション(心臓血管外科)

金 哲樹 (県立日本海病院心臓血管外科医師)

金哲樹医師の写真

今回は、呼吸・心臓リハビリテーションについて紹介したいと思います。

呼吸リハビリテーションとは肺気腫などの慢性呼吸器疾患や、肺切除術後で呼吸機能が低下した患者さんなどに対して行われるもので、内容は排痰法(痰を出す)や呼吸法訓練・呼吸筋トレーニング・胸郭運動訓練などからなります。新たな呼吸器疾患を予防し、残された呼吸機能を維持・改善させ、その後の経過を良くさせる事を目的としたものです。

それに対し心臓リハビリテーションは心筋梗塞の治療後や慢性心疾患による低心機能・心臓手術後の患者さんを対象としたもので、状態にあった運動の設定・病気についての教育や食事指導などによる新たな心臓病発生の予防などからなります。治療後の経過を改善し、その後の新たな心臓疾患(特に狭心症)の発生を予防します。

次に現在当院で行っているリハビリテーションの内容について紹介します。

本来はいずれのリハビリテーションももっと対象となる疾患・患者さんは多いのですが、人手(特に理学療法士)や機材がまだまだ足りないため、本院では呼吸リハビリテーションは肺手術後の患者さんが対象で、心臓リハビリテーションは心臓手術後の患者さんが対象となっています。

呼吸リハビリテーションは、肺手術の翌日から開始し約1週間のプログラムで行っております。肺手術の後は、傷による呼吸筋の傷害や肺を切除したことにより換気量の低下が生じます。また傷そのものの痛みのためベッドからあまり起きられなかったり、たまった痰をちゃんと出せなかったりなどで容易に肺炎を合併します。そこで必要なのがしっかりとした痛みのコントロールと、痰を出す訓練や呼吸の訓練です。痛み止めでしっかり手術の傷の痛みを減らし、ベッドからの離床・訓練した排痰法にて痰がたまって肺炎になるのを予防し、胸郭運動・呼吸訓練にて残された呼吸機能を有効に使い、術後の経過をよりよいものにしていきます。

それに対して心臓リハビリテーションは術翌日から開始し約2週間のプログラムで行っています。はじめの1週間は呼吸リハビリテーションと同じように痛みのコントロール・ベッドからの離床・排痰による肺炎の予防などが中心ですが、術後1週間たったあたりから歩行によって心臓に負荷をかける訓練となります。2週間のプログラムが終わるころには200メートルほどの歩行と階段昇降を1日に3回行える程度になります。これにより術後の心機能改善や筋肉の質の改善・不整脈の発生を予防し、術後の経過をよりよいものとし、患者さんに退院生活への自信をつけてもらいます。そして、心臓病に対するさまざまな治療はありますが、新たな心臓疾患の発生を予防するのは現在のところこのリハビリテーションがもっとも効果があるといわれています。

本来はどちらのリハビリテーションも、もっと対象となる疾患や患者さんの幅は広く、また(特に心臓リハビリテーションで)退院後も外来リハビリテーションなども行いながら長期にわたって実施するものです。しかしながら先ほども述べたように、現在の当院では理学療法士・看護師などの人員やリハビリテーション用の機材が足りず、まだ十分に行えていません。今後十分に体制を整えて、より多くの患者さんにリハビリテーションを行っていけるようにしたいと思います。

2008年3月25日 up

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