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荘内日報ニュース


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2021年(令和3年) 6月17日(木)付紙面より

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庄内産小麦の生産・消費拡大へ 庄内スマート・テロワール 構築協議会のほ場見学会 生育状況確認 連携強める

 庄内産小麦の見学会が15日、鶴岡市羽黒町手向の月山高原のほ場で行われた。山形大農学部が中心になって庄内自給圏の確立を目指す「庄内スマート・テロワール構築協議会」(会長・村山秀樹農学部長)が主催したもので、県内で小麦を扱う飲食店やパン店など実需者が生産者と共に生育状況を確認、生産・消費の拡大に向け連携していく決意を新たにした。

 スマート・テロワール(スマテロ)は、地域の風土を生かし、地域で完結する循環型の経済圏を目指すもの。山大農学部は鶴岡市と共に2019年6月、庄内スマート・テロワール推進協議会(今年5月に現名称に改称)を設立し、穀物生産と畜産の耕畜連携を推進。特に小麦は重点作物に位置付け、17年秋から鶴岡市内の農家の協力で、準強力粉の県奨励品種「ゆきちから」を作付け。昨季は約4ヘクタールで約15トンを収穫し、地元の実需者がラーメンやうどんなどに加工、販売している。

 今季はいずれも月山高原で、叶野幸喜さん(41)=同市東堀越、小麦生産6季目、作付け約3ヘクタール、石井光明さん(42)=同市添川、同2季目、同約0・9ヘクタール=の2個人のほか、新たに農業法人「いずみ農産」(同市羽黒町大口、齋藤渡社長)が約10ヘクタールの計約14ヘクタールで作付け。昨年9月下旬ごろに播種(はしゅ)し、今月下旬ごろ、30―40トンの収穫を見込む。

 この日は山形市や長井市、鶴岡市、酒田市など県内各地の飲食店やラーメン店、パン店、製麺業者ら約50人が参加。高原に青々と広がる石井さんのほ場を見学した。

 生産者のうち、関連会社で稲作の大規模経営で実績のあるいずみ農産の齋藤一志会長(64)は「新型コロナの影響もあって、米余り、米価下落が深刻化し、その対策で小麦を始めた。飼料用穀物は高くなっているので、スマテロは有意義。もっとゲタ(直接支払交付金)を高くすればみんな作るようになる。来季は平場(転作田)を含め20ヘクタールに増やしたい」と話した。

 実需者のうち、県内でラーメン店5店舗を経営する花鳥風月(酒田市)は、昨年7月から庄内産ゆきちからの自家製麺を地元のスーパーにも卸している。佐藤勇太社長(38)は「県内には優れた食材が多いが、小麦はなかった。これでオール山形産、庄内産をうたえる。生産者との良い循環ができつつあるのでは」、今月末から庄内産ゆきちからを使ったうどんの乾麺を限定販売するすがわら製麺(鶴岡市)の菅原成規社長(61)は「うどんは中力粉なので、ゆきちからは30%ほどしか使えない。しかし風味が良く、おいしくなるので、今後も使いたい」と話した。

 山大農学部の中坪あゆみ助教によると、庄内を含む日本海側は昔から小麦生産の空白地帯だった。その理由は▽播種の9月下旬ごろからしぐれる▽標高が高いと雪が5月初旬ごろまで残る▽収穫が6月下旬と梅雨と重なる―の3つ。しかし、中坪助教は「最近は梅雨入りが遅くなる傾向があり、可能性は高まっている。米余りの中、米のトップランナーのいずみ農産が参戦してくれたのはうれしい。小麦によって庄内農業に新たな可能性が広がる」と話した。

月山高原牧場で庄内産小麦を見学、中央左は石井さん、同右は中坪さん
月山高原牧場で庄内産小麦を見学、中央左は石井さん、同右は中坪さん


2021年(令和3年) 6月17日(木)付紙面より

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月山筍 一年通しておいしく提供 出羽三山精進料理プロジェクト 旬を瓶詰め

 一年を通して食べられるようにしようと、出羽三山精進料理プロジェクト(土岐彰代表)のメンバーが16日、鶴岡市羽黒町の手向地区地域活動センターで月山筍の瓶詰め加工を行った。

 初夏の山菜として親しまれている月山筍だが、新型コロナの影響で2シーズン続けて需要が落ち込んだ。地元の山菜組合でも採ることを見合わせ、山の荒廃が心配されている。さらに月山筍のシーズンと宿坊(手向地区)の忙しい時期がずれていることから「料理に出してお客さんに喜んでもらおうと思ってもできない」という事情も抱えていた。こうした状況を踏まえプロジェクトでは、鶴岡市の助成(約50万円)を受けて瓶詰め加工に取り組むことにした。

 作業は▽月山筍を洗う▽根元の固い部分を削る▽皮をむく▽さらに洗って20本ずつ瓶に詰める▽煮沸する(約1時間)―という手順。この日、プロジェクトのメンバー10人が集まり、前日に採った天然の月山筍77キロの加工作業を分担して進めた。

 仕上げた瓶詰めは1年以上、保存できるという。販売はせずに手向地区の旅館や宿坊、飲食店など11団体で構成するプロジェクトのメンバーの間で、月山筍と油揚げ、シイタケで作る精進料理「みそ煮」にして宿泊客らに振る舞う。

 土岐代表は「月山筍は精進料理の代表格。天然物を通年食べられる状態にして、出羽三山に訪れたお客さんに提供することが課題だった。採ることによって山が荒れないよう維持管理にもつながる。今後、洋食店などとコラボし、月山筍の新しい食べ方も提案していきたい」と話していた。

瓶詰めした月山筍
瓶詰めした月山筍

天然の月山筍を加工するプロジェクトメンバー
天然の月山筍を加工するプロジェクトメンバー



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