2007年(平成19年) 4月13日(金)付紙面より
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東北公益文科大の小松隆二学長(68)が公益活動の実践に生きた庄内人の偉業や功績をまとめた「公益の種を蒔(ま)いた人々―『公益の故郷・庄内』の偉人たち」(東北出版企画)が刊行された。明治期を中心とした時代に、人々の生活向上や地域の発展に尽くした11人の偉人の足跡を詳しく紹介するとともに、砂防林整備や教育、農業など分野ごとに庄内地域の公益の歴史と人々の功績を解説している。
小松学長は「公益のすすめ」「公益とまちづくり文化」「大学地域論」など著書多数。今回の「公益の種―」は、公益の先駆者たちにスポットを当てるなど「人」を切り口に公益を分かりやすく解説した。
小松学長は「地元でもあまり知られていない先人も掘り起こした。より多くの人から地元の偉人たちのことを知ってもらい、庄内に誇りを持ってもらえれば」と執筆への思いを語る。
刊行本は第1部が「東北から響く公益の足音」と題し、公益の先駆者11人を紹介。自ら失明の不安と闘いながら日本で初めて点字音譜を実用化させた佐藤國蔵、子守り教育など先進的教育に取り組んだ余目の教育者・齋藤七郎、女子高等学校を立ち上げるなど女子教育の向上に尽くした伊藤鶴代、北海道開拓の先駆者として広く道民から愛されている松本十郎、海岸のクロマツ砂防林の植林事業など多くの公益活動で「公益の祖」と呼ばれている本間光丘など、それぞれの偉業を詳しく紹介している。
第2部は「東北から拓く公益の道」と題し、砂防林整備や教育、社会福祉、農業、経済・経営の分野ごとに、庄内における公益の足跡と、かかわった大勢の人たちの功績を分かりやすくまとめた。
小松学長は「地元の子供たちにも偉人たちについて知ってもらいたい」と語り、今回の刊行本を基に、公益大のスタッフや地元小学校教諭らと共同で小学生向けの続編の出版にも意欲をみせる。
四六判。325ページ。1000円。県内の主な書店で扱っている。
「地域の人たちに感謝の気持ちを込め書き下ろした」と刊行本への思いを語る小松学長