2008年(平成20年) 7月16日(水)付紙面より
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漁船の燃料となるA重油の価格暴騰を受け、全国漁業協同組合連合会など漁業関係団体は15日、全国一斉に休漁した。東京・日比谷公園で「漁業経営危機突破全国漁民大会」を開催、参加者がデモ行進し国に高騰分の補てんといった対策を講じるよう求めた。県漁業協同組合(酒田市、五十嵐安哉組合長)も全国運動に同調、所属する漁船約780隻が一斉に休漁したほか、五十嵐組合長ら28人が上京し同大会に参加した。
県漁協によると、2004年4月に1リットル当たり42円70銭だった販売価格は、今年5月に91円80銭まで高騰。県漁協では同6月、毎月11日に行ってきた価格改定を10日間延長し据え置くなど対策を講じてきたが、同21日からは初めて100円を突破し102円80銭となった。今月11日の改定では、さらに11円値上がり。現在は113円80銭で取り引きされている。
窮状を知ってもらおうと6月18、19の両日、集魚灯を照らすため、ほかの漁に比べて燃料を多く使用するイカ釣り漁に携わっている小型漁船が一斉休漁。県内関係では21隻が足並みをそろえた。
先月28日に行われた県漁協通常総代会で、当局が「燃油価格暴騰対策に関する特別決議」を提案、原案通り可決されたことを受け全国運動への同調が決定。さらに同日、県漁協は対策本部を設置した。
普段は漁師や市場関係者などでにぎわう酒田市の酒田港も15日午前、漁船が係留されたまま並び、行き交う人もほとんどなく閑散とした雰囲気となった。
同日、刺し網漁を休んだ同市東栄町、漁師、堀和彦さん(62)は「今は出漁しただけ赤字。物価は上がっているのに、魚価は下がる一方。魚価は上がったら上がったで消費者の魚離れが進むおそれもある。痛しかゆしの状態」と話し、「1日くらいの休漁ではほとんど影響はないだろう。やるなら10日も続けてやらないと」と怒りをあらわにしていた。
一斉休漁し酒田港に停泊している漁船=15日午前