2011年(平成23年) 3月23日(水)付紙面より
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東日本大震災の影響でガソリンなどの供給不足が続く中、鶴岡市の市街地などでは自宅の物置などに眠っていた自転車を利用する人が増えている。通勤や普段の買い物などは自転車で済ませ、少しでも燃料を節約しようというもの。経済産業省は20日に「関東地方のガソリンなどの供給不足は、今週後半ごろにほぼ解消する」と見通しを示したが、庄内での安定供給はまだ不透明。いましばらく辛抱の時期が続きそうだ。
鶴岡市の住宅街に店を構える自転車販売店では、震災以降の今月半ばごろから自転車の修理が増えた。パンク修理が最も多く、ライトやベルがないもの、ブレーキが利かないものなどがあった。同店は「『並ばないとガソリンが詰められない。通勤はしばらく自転車にする』という人がほとんど。しまい込んでいた自転車を出してきたようだ」と話した。
また、同市みどり町の太田輪業は「実家が鶴岡で、仙台に勤めている人が折り畳み式の自転車を購入していった。被災地は燃料不足がこっちよりひどく、自転車が売り切れているらしい。地元鶴岡では配達などの業務用、通勤用に電動自転車を買い求める人が増えている」と話す。
その一方で「震災後、折り畳み式自転車、電動自転車とも入荷がない。もともと需要が少なかったこともあり在庫がなく、『欲しい』というお客さんに断るのがつらい。早く流通が回復してほしい」と語った。
鶴岡市街地のある自転車・オートバイ販売店は「パンクや空気詰めなど自転車の修理は例年より2、3割ほど多い。『(自転車の)レンタルはやっていないか』という問い合わせもあり、大勢がガソリンの節約のため自転車に目を向けていると思う」と話す一方で、「燃料が安定供給されるようになれば元通り、車がメーンになるのでは。便利な車に慣れすぎているので、なかなか自転車社会という訳には…」と話していた。