2011年(平成23年) 10月25日(火)付紙面より
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密集市街地で増える空き家や空き地の活用に向けた「まちあるきワークショップ」が23日、鶴岡市神明町で行われ、町内会の住民や不動産業者、大学の関係者らが町内を歩きながら、より良い町に向けた課題や将来像を探った。
鶴岡市建築課によると、市内では人口減少や高齢化に伴い、密集市街地で空き家が増加。高度経済成長期のように行政主導で大規模な再開発を行うことは難しい上、景観や治安面で問題視する声が強まり、改善が急務となっているという。
市はこのため9月、市内の不動産業者や市町内会連合会などに呼び掛けて「鶴岡ランドバンク研究会」(会長・阿部俊夫県宅地建物取引業協会鶴岡支部副支部長)を結成。同市のまちづくりアドバイザー的存在である饗庭伸首都大学東京准教授の指導の下、神明町をモデルに、住民が主体的にまちづくりを進めながら空き家などの活用方策を探っていくことにした。
神明町をモデルにした理由は、市内でも特に道が狭く、空き家や空き地が多く、高齢化も顕著なためという。
ワークショップは、同研究会と市が実施。神明町の西、南、天神町の3つの町内会や県宅建協会鶴岡支部、饗庭准教授や研究室の学生、市の関係者ら約20人が参加した。
参加者は2班に分かれて町内を歩きながら、それぞれ高齢者、働いている人(若い人)、来訪者(観光客)の3つの視点で「良いところ」「悪いところ」をチェックした。
参加者たちは要所で、「天神祭は町内にある鶴岡天満宮の祭りなのに、あまり知られていない。もっとアピールしたい」「(障子が破れていたり)管理されていない空き家が多い。観光面ではとてもマイナス」「寺社の大きな木は環境として素晴らしいが、カラスの集団のねぐらにならないか心配」など気付いたことを話し、付せんにメモした。
その後は、市第二学区コミュニティ防災センターに集まり、メモを書いた付せんを地図に張りながら「まちの財産」や課題を整理していった。
市建築課では「1、2年かけ、住民はどんな町にしたいかという方向性を鮮明にしたい。その後、その方向性に基づき、空き家のある一角など小さい単位で、『ここを道路にしたら便利になるのでは』『この空き家を活用して何かできないか』など具体的な事業に、住民主体で取り組んでいけたら」と見据えている。