2015年(平成27年) 10月17日(土)付紙面より
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鶴岡市の加茂水産高校(佐藤淳校長、生徒142人)で15日、スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)の中間報告会が開催された。日本近海にも相当の埋蔵量が眠るとされる「メタンハイドレート」の研究や、同校近くの海岸に新しい藻場を造成する取り組みなど、生徒たちが学び、実践しているさまざまな研究成果が発表された。
SPHは、高度な知識、技能を身に付け、社会の第一線で活躍できる専門的職業人の育成を目的に、文部科学省が昨年度から進めている事業。本年度は全国51校から応募があり、10校が採択された。水産高校としては昨年の静岡県立焼津水産高に続いて2校目で、県内では昨年度の酒田光陵高情報科に続いて2校目。
加茂水産高が取り組む研究テーマは「海を活(い)かす・守る・興す人づくり」。窒素氷を利用した地域と漁業の活性化、新しい水産加工品の開発、市立加茂水族館や幼稚園、小中学校との連携、実習船鳥海丸を活用した漁法・漁具の改良、メタンハイドレートの研究、漁獲物の未利用資源の活用などを通し、地域社会に貢献できる人材育成を目指している。
中間報告会は全校生徒と教職員、地元学識者、有識者で構成するSPHの運営指導委員、県、市関係者など合わせて170人余りが出席した。
初めに研修報告が行われ、2年海洋資源科、3年海洋技術科の代表者が4例を報告した。このうち3年生2人が課題研究としてのメタンハイドレート研修を発表。明治大ガスハイドレート研究所(東京都千代田区)や、海底探索ロボットを開発している千葉県の企業を訪れた経緯を解説し、「日本海にも相当の埋蔵量が期待されるメタンハイドレートの探索にロボットを使えないか。今後の検討材料になる」と話した。
続いて2例の研究中間報告が行われ、このうち水産生物部は「新しい藻場造成法の研究」と題して発表。海藻を付着させた石を近くの海に投入して藻場造成を図ったが、冬の荒波で巻き上げられる課題に対し、「プラスチックバンドに海藻を付着させ、鎖を組み合わせて海に投入した。この方式を『Kamoモデル』と称し、藻場造成に役立つ可能性を探りたい」と解説した。