2016年(平成28年) 8月10日(水)付紙面より
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第1回庄内子どもギター音楽の祭典が7日、鶴岡市中央公民館で開かれた。子どもたちが奏でる柔らかなギターの音色が聴衆を魅了した。
日本教育ギター連盟山形県本部(豊田瑞穂本部長)が演奏技術の向上と発表の機会をつくろうと初めて開催。今回は鶴岡・酒田両市のグリンギターフィールズ子どもギター教室生と保護者、鶴岡ジュニアギターアンサンブル員、鶴岡市民ギターオーケストラ会員などから約30人が出演した。
プログラムは第1部「子どもギターコンクール」、第2部「独奏・重奏・合奏の祭典」、第3部「歌とギターの祭典」の3部制で行われた。第3部では鶴岡放送児童合唱団のメンバー約20人が賛助出演し、子どもたちのギターによる伴奏で「春の日の花と輝く」「森の熊さん」などを歌った。また、同合唱団卒団生の松田美香さんが特別出演し、ギターの伴奏で「アニーローリー」を独奏。歌や演奏が披露されるたび会場には大きな拍手が響いた。
フィナーレは会場に詰め掛けた聴衆とともに東日本大震災復興ソング「花は咲く」を大合唱。繊細で美しいギターの音色とともに歌を楽しんでいた。
2016年(平成28年) 8月10日(水)付紙面より
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遊佐町の遊佐中学校(土田順一校長)の1年生103人は本年度、総合学習や社会科の時間を活用し、地域を知る学習「遊佐の良さを語ろうプロジェクト」を進めている。同プロジェクトの一環として、これまで調査してきた丸池・牛渡川、三崎公園など町の名所を生徒たちが観光ポスター化し、6日から同町のJR遊佐駅構内に掲示している。
同プロジェクトは、生徒たちから遊佐の良さを知ってもらい、郷土を愛する心を養ってもらおうと同校が企画したもので、通年で遊佐について理解を深めている。
4月下旬には、町地域おこし協力隊員の福岡要さん(埼玉県川越市出身)を招いて研修会を開催、「よそ者」の視点から遊佐について講話した。さらに生徒たちは6月上旬に行われた2泊3日の宿泊研修の際、直世地区の丸池・牛渡川、杉沢地区の「語り部の館」、吹浦地区の十六羅漢岩や三崎公園などを回って見識を深めた。
これを受け、生徒たちは5、6人ずつ20班に分かれてそれぞれ、これまで学んできたことをまとめた観光ポスター製作に挑戦する一方、町の魅力を広く観光客にPRできるよう、福岡さんらの指導でガイド研修に励んできた。
6日は、ポスター掲示を前に式典が行われ、代表生徒・教員と共に、同駅を管轄するJR羽後本荘駅の安部則秋駅長、那須栄一町教育長、福岡さんらが参加。生徒を代表して高橋莉子さん(12)が「ポスター製作などを通し、遊佐の歴史や自然について興味が出てきた。多くの観光客や駅利用者に見てもらい、遊佐のことを知ってもらえたら」と述べ、安部駅長にポスターを贈呈。一緒に連絡橋の壁面に張った。
安部駅長は「皆さんにとっても、利用客にとっても思い出になれば、JRとしてもうれしい」と。那須教育長は「来年、再来年とさらに学びを深め、遊佐の良いところをたくさん発見してほしい」と話した。
今回掲示したポスターは計10枚。残りの10枚は展示替えという形で9月中旬以降、遊佐駅に掲示する。同校によると、校内や町庁舎内にも飾る予定という。
2016年(平成28年) 8月10日(水)付紙面より
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フェルトベルクと「自然の家」 ―シュヴァルツヴァルト最高地の役割― 平 智
シュヴァルツヴァルト(黒い森)はドイツ南西部に位置する、南北に百数十キロ、東西に数十キロの山塊(さんかい)です。ドイツ有数の森林地帯の一つですが、最高地点の標高はそれほど高くありません。フライブルク(シュヴァルツヴァルトの西側の玄関都市の一つ)の南東約20キロのところにあるフェルトベルクが最高地点で、1493メートルです。鶴岡市が友好協定を締結している南シュヴァルツヴァルト自然公園のメーンオフィスはここにあります。
意外に思われるかもしれませんが、写真をご覧になってもわかるように、フェルトベルク一帯は一面の草地になっています。なぜだと思いますか? 正解は、スキー場だから。標高はそれほど高くありませんが、ドイツは寒冷国ですから、このあたり一帯は冬期間雪に覆われます。なので、フェルトベルク一帯はスキー場を中心としたリゾート地として活用されているのです。自国のみならず、フランスやスイスなどの隣国からもたくさんのスキー客が訪れるといいます。
そのため、このあたり一帯は常に草地として維持しなければならないのです。しかし、広大な森林地帯の真ん中にある場所ですから、放っておくと風で飛んできた木々の種(たね)や野生動物によって運ばれてきた種などによってしだいに森林化してしまいます。写真で草原の中にポツポツと育つ木々を確認することができるでしょう。フェルトベルクではこのような草地に侵入してくる幼い木々たちを夏の間にヒツジやヤギなどに食べさせて取り除こうとしているそうです。冬の間人間が快適なスキーを楽しむためのゲレンデ整備の一端を夏の間に家畜や野生動物が担ってくれているというのは、ちょっと意外な協力関係ですね。
さて、フェルトベルクにある南シュヴァルツヴァルト自然公園の事務局は「自然の家(ハウス・デァ・ナツゥーア)」と名づけられた大きな建物の中にあります。「自然の家」は、この地域一体の自然を一般の人たちにわかりやすく紹介する展示施設でもあります。展示物や映像資料は、このあたりの地形やその成り立ち、野生の動植物や人々の生活文化などを子供たちが楽しく理解できるように考えて作られています。しかも、ここを訪れるたびに展示物の大半がリニューアルされているのに驚かされます。リピーターを飽きさせない工夫が随所に凝らされているのです。
もう一つの写真は、「自然の家」の後ろ側のエントランスにある門柱です。ドイツ語の「ヴィルコメン」は英語の「ウェルカム」(ようこそ)。よく見ると、上の方に丸い小さな穴が開いています。そう、この門柱は野鳥の巣箱を兼ねているのです。飾りではなくて、実際にちゃんと野鳥が使っているとのことでした。
スキーリゾートのすぐ隣に「自然の家」。一見ミスマッチな感じがしますが、自然に親しみながら同時に自然への理解を深めていく、「利用しながら保全する」という南シュヴァルツヴァルト自然公園の基本コンセプトを実感できる絶妙な取り合わせなのです。
(山形大学農学部教授、専門は園芸学および人間・植物関係学)