2017年(平成29年) 5月9日(火)付紙面より
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鶴岡市は本年度、同市のJR鶴岡駅前にある旧ジャスコ跡地の活用について、「まちなか居住」の促進を視野に複合型中高層集合住宅の整備の可能性を探る調査を行う。周辺工業団地の立地企業などへのアンケート結果を踏まえ、一定の需要が見込まれると判断した。地元の不動産業、建設業関係者らと連携してニーズや具体的な事業手法を調べ、実現の可能性を検討していく。
旧ジャスコ跡地はマリカ東館南側にある約3000平方メートルの土地で、現在は市開発公社が所有。ジャスコ鶴岡店が2005年3月末で閉店し、建物の解体後は更地のままとなっている。
市の顔となっている駅前地区の活性化が課題となる中、鶴岡駅前商店街振興組合は昨年1―2月、駅前の遊休不動産の活用などを目的に「鶴岡駅前にぎわい・活性化アンケート」を実施。集計結果によると、複合商業施設を求める意見が多い一方、マンションなどの居住スペースを要望する声もあり、市は駅前地区で一定のマンション需要は見込まれると判断した。
これを踏まえ市は昨年10―11月、駅前のマンション需要に関するアンケートを実施。鶴岡中央、東、西の各工業団地やバイオサイエンスパーク、駅前などの37企業と、その企業に勤務する452人から回答を得た。
企業側からは社宅として利用できる賃貸形式で、単身や夫婦のみなど小規模居室タイプを希望する声が多くあった。また、個人からは分譲価格3000万円以下、家賃10万円以下といった条件によっては駅前マンションへの入居を希望・検討するとの回答もあった。また、マンションに必要な機能として、コンビニエンスストアやATM(現金自動預払機)、飲食店、カフェなどを望む声もあった。
市は本年度、民間による複合型中高層集合住宅の整備に向け、事業の可能性を精査するための調査費用として200万円を措置。地元の不動産業や建設業関係者らと整備事業の手法や運営方式などを調査する。
市の担当者は「あくまでも民間の事業となるが、駅前地区の優良地の有効利用を探り、事業計画が成り立つかどうか見極めたい。バイオサイエンスパーク近隣では約70戸の賃貸マンションの建設が進められており、こうした動向も注視しながら方向性を検討していきたい」と話している。