2018年(平成30年) 1月20日(土)付紙面より
ツイート
鶴岡市出身で京都紋章工芸協同組合理事長を務める紋上絵師(もんうわえし)、地主成利さん(62)=京都市中京区在住=が19日、同組合が創立70周年を記念し発行した工作ブック「平安紋鑑もんきりあそび」200冊を市教育委員会に寄贈。同日は母校の朝暘第二小学校で3年生を対象に紋切り遊びのワークショップを行い、日本の伝統的な家紋の歴史や遊びを紹介した。
地主さんは鶴岡二中出身。中学校卒業後、6年にわたり市内の紋章工芸店で修業。22歳の時に京都に移り、94年に経済産業大臣が認定する伝統工芸士へ。京都紋章工芸協同組合副理事長などを歴任。着物に家紋を描く紋上絵師として活躍中で、2015年の大河ドラマ「花燃ゆ」で衣装の家紋を担当するなどした。
「平安紋鑑もんきりあそび」は、1936年に作成された約4000種の家紋を集めた見本帳「平安紋鑑」を基に、昨年の創立70周年記念として折り紙で切って遊べる工作ブックとして発行。約60種の紋を紹介し、折り紙を折ってはさみなどで切って遊ぶ紋切り遊びの型紙と折り紙などがセットとなっている。
日本の伝統的な紋章について興味を持ってもらいたいと、地主さんが郷里の小中学校への寄贈を申し出。この日は贈呈を前に朝二小でワークショップを行い、3年生57人が参加。地主さんは「家紋は中国から伝わり、1000年以上の歴史がある」などと紹介し、折り紙の基本の折り方を指導。折った折り紙に型紙を置いて線をなぞり、子どもたちがはさみを入れ広げてみると、五角形の「結び桔梗」に。子どもたちは夢中になって「雪花」や「かに」といった紋切りに挑戦していた。
後藤風香さん(9)は「どんな形になるのか想像がつかなかったけれど、楽しい。家でもやってみたい」と話し、地主さんは「家という認識が薄れ家紋が忘れられつつある中で、紋切り遊びをきっかけに家紋に興味を持ってもらえたら。子どもたちが折り紙を切って、広げた時に見せる笑顔を見てやって良かったと思った」と話していた。
ワークショップ終了後、その場で地主さんが加藤忍教育長に目録を贈呈した。市教委では市内の小中学校全校に配布することにしている。
2018年(平成30年) 1月20日(土)付紙面より
ツイート
鶴岡市斎地区ゆかりの「雪の降るまちを」にちなんだ音楽イベント「鶴岡音楽祭」(2月4日)に向けて、斎小学校(碓氷勉校長、児童110人)の6年生たちがミュージックベルの練習に励んでいる。息を合わせて奏でるのは、作曲者が馬そりで鶴岡駅から斎地区へ向かう道中の情景を基に紡いだ冬の名曲「雪の降るまちを」。児童11人によるステージは音楽祭のオープニングを飾る。
作曲者の中田喜直氏(1923―2000年)は、鶴岡で音楽普及に取り組んでいた菅原喜兵衛氏(1903―98年)との親交をきっかけに斎学園歌を作曲し、この学園歌発表会のため、51年に鶴岡を訪問した。
鶴岡駅から菅原氏の家まで向かう途中に眺めた雪の夜は、同年、自身が音楽を担当していたラジオドラマ「えり子とともに」の挿入歌として世に出ることになる。歌は尺埋めのため、ドラマ原作者の内村直也氏による作詩に、中田氏が作曲してわずか1日で作られた。人気を博し、後にレコードにもなった。
音楽祭は1985年から毎年開催。毎回多彩なゲストを招待する中で、99年からは毎年斎小のミュージックベル隊がオープニングを務めている。
今年斎小では6年生が11人と、同校のミュージックベル隊としては最少人数で、1人当たり2―3個のベルを担当。地域愛や協力心を育みながら昨年11月から週2、3回練習している。本番では一人も欠けられないため健康管理を最優先にしている。
19日の練習では入場の演出から確認。厳かに音色を響かせながら入場して曲の出だしへとつなぎ、悲しげな調べから次第に明るさを増して展開していく曲調を一層際立たせた。
小西惇平君(11)と菅原柚君(12)は「全国でも有名な曲。発想の地の地元を誇らしく思う。斎の雪の風景は曲のイメージとぴったりで、中田先生が見た風景と変わらずに今も残っているはず。今年ならではのアレンジもあるので、楽しんでもらいたい」などと話していた。
音楽祭は荘銀タクト鶴岡で午後1時半開演。前売り券(大人1000円、高校生以下500円)を市役所本庁舎や各地域庁舎、市内の楽器店などで取り扱っている。
音楽祭の問い合わせは、鶴岡市観光物産課内の「雪の降るまちを」鶴岡冬まつり実行委員会事務局=電0235(25)2111=へ。