2020年(令和2年) 3月25日(水)付紙面より
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22日午後6時20分ごろ、遊佐町吹浦の西浜海岸にイルカ1頭が打ち上げられているのを近くに住む男性が発見、家族を通じて118番通報した。酒田海上保安部は、以前に千葉県内でクジラ救出に携わったことのある巡視船「つるぎ」の前田哉航海長ら5人を陸上から現場に派遣。「追い出し作戦」を「決行」して約1時間半後、イルカは海に戻っていった。
前田航海長によると、クジラ類の座礁「ストランディング」していたのは、背びれの形からカマイルカの雄とみられ、体長は2メートル弱。現場に着いて確認したところ、波は高いものの、完全に打ち上がっていない上、ひれも動いていたことから海に戻せると判断したという。
千葉県銚子市で2011年4月、今回よりも大柄なゴンドウクジラの救出を行ったことのある前田航海長は、騒音を嫌うという習性を利用、同7時10分ごろからスコップ2本をたたいて甲高い音を出し、周囲を海保職員が囲んでイルカを沖に向かって押し出す作戦を展開した。
当初は水深が浅過ぎてなかなか波に乗れなかったイルカだったが、同7時45分ごろ、沖に向かって泳ぎだした。完全に打ち上がっていた場合を想定し、酒田海保は乾燥を防ぐためにかぶせる毛布、沖に引き戻すためのロープなども持参したという。前田航海長は「ストランディングしてから時間がたっていたようで弱っていたが、何とかなりそうだと思って作戦を行った。無事に戻すことができて何より」と話した。