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2020年(令和2年) 4月11日(土)付紙面より

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ドキュメンタリー映画「島にて」制作・上映へ 酒田・飛島の暮らしありのままに

 本県唯一の離島である酒田市飛島を舞台にしたドキュメンタリー映画「島にて」が制作された。新庄市出身の映画監督・大宮浩一さんらが2018年春から1年間、島に通って撮影したもので、過疎が進む寂しさを訴える高齢者や、島に移住しさまざまなアイデアで島の振興を図る若者など、島民の暮らしをありのままに映し出すことを通じ、現代社会の課題や地域社会が持つ可能性をあぶり出している。

 飛島は、1940年は約1800人が住んでいたが、55年ごろから進学熱の高まりで本土に移り住む世帯が増え、人口減少と高齢化が進んでいる。現在の人口は約140人。産業は個人創業の漁業が中心だが、近年は高齢化もあって漁獲量が減少。島全体が鳥海国定公園に指定され、豊かな自然を求めて春から夏にかけてはバードウオッチングや海水浴などの観光客も訪れるが、これも長期的には減少傾向にある。

 一方、東日本大震災で人々の価値観が大きく変化したのを機に、12年4月から緑のふるさと協力隊として若い男性一人が移り住んだのをはじめ、地域おこし協力隊や島出身者のUターンを含め、若い世代が相次いで移住。島の活性化を図る合同会社とびしまを立ち上げ、カフェやゲストハウスを整備するなど、若い感性と行動力で雇用創出と島の振興を図っている。

 映画は、大宮さんが企画・製作・監督、神奈川県出身の田中圭さんが監督をそれぞれ務め、18年春から撮影開始。飛島小中学校のたった一人の生徒である男子中学3年生(当時)、渋谷新さんの始業式をはじめ、漁師の和島十四男さん・みよ子さん夫妻のつぶやき、親から「漁師にだけはなるな」と言われたが大震災を機に島に戻ったという合同会社とびしま共同代表の本間当さんなど、さまざまな島民の日常の暮らしと、島への思いを、島の四季折々の美しい風景とともにまとめた。

 完成に当たり、NPO法人離島経済新聞社の鯨本あつこ統括編集長は「(日本の離島は)語りきれない魅力を秘めた場所」とし、飛島については移住してきた若者の動きなどを挙げ、「飛島には人がいる。だから飛島には終わりは見えない」とコメント。コミュニティデザイナーの山崎亮さんは「地域の実態をそのまま記録した映像が心地よい」とし、「明確な主人公が設定されているわけではないからこそ、鑑賞後にさまざまな感想を述べ合うことができそうだ」と多様な受け止め方があることを強調している。

 また、大宮監督は撮影終了時のコメントで、「閉じられた小さな宇宙」という理想郷としてメダカが泳ぎ回るスイレン鉢のようなものに憧れる一方、スイレン鉢はそれ自体では完結していない現実を薄々と感じていることを自覚。「いつまでもうそに憧れているわけにはいかない。小さな宇宙を撮影しようと思った」と、社会の課題をはらむ現実に切り込んでいく場所として、飛島を選んだ経緯を説明している。

 5月8日から鶴岡まちなかキネマ(鶴岡市)、フォーラム山形(山形市)で先行上映、その後、同16日からポレポレ東中野(東京都)など全国で順次、公開予定。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大の状況によっては予定が変更になる可能性もあるという。

飛島を舞台にしたドキュメンタリー映画「島にて」のチラシ
飛島を舞台にしたドキュメンタリー映画「島にて」のチラシ



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