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荘内日報ニュース


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2020年(令和2年) 7月5日(日)付紙面より

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庄内産小麦に手応えを感じ 庄内スマートテロワール活動推進――

 庄内産の小麦が3日、鶴岡市羽黒地域の麦畑で刈り取られた。地産地消を目指す「庄内スマートテロワール」の活動を進める山形大農学部の呼び掛けに応じるように庄内農業高の教師・生徒、酒田のラーメン店、鶴岡のパン店のオーナーらが集まり収穫を体験。生産農家とともに庄内産小麦の増産と定着、ブランド化を誓い合った。

 羽黒町川代の旧牧草地に稲作用の刈り入れ機が“ダダダダッ”と音を立てながら、県奨励品種「ゆきちから」を軽快に刈り取っていく。

 月山高原牧場にも程近い場所だが約1・5ヘクタールの広々とした麦畑は北海道十勝を思わせるような広々とした空間。生産農家・叶野幸喜さん(40)、石井光明さん(41)らが山大農学部・中坪あゆみ助教らと連携を取りながら、麦作を始めて3年目。昨年9月下旬に種を植え、冬を越し9カ月。実りの日を迎えた。稲作の田植えを終えて一段落して、麦の収穫を迎えられるだけに作業がかち合わず、刈り入れも稲作のコンバインをそのまま転用できる。「それに麦のわらが、いい肥料となって、土を生き返らせてくれる」と叶野さん。同じ畑で夏は赤カブを栽培する予定で、秋は再度小麦の種植えがあり、無駄のない畑の利用ができる。

 麦の栽培は稲作からの転作をはじめ、目立ち始めた耕作放棄地を生き返らせる試みでもあり、将来的には現在の約10倍の40ヘクタール・収穫量100トンを目標に挙げている。ゆきちからは岩手で多く作られているが、今後、庄内産をうたうブランド小麦の立ち上げなどもプランにある。

 将来的には飼料米と比較しても、費用対効果などは甲乙つけがたく、稲作用機械をそのまま転用できるメリットもあり「庄内産小麦は夢と希望を持てるもの」と中坪助教は手応えを感じている。

 収穫に参加した庄農生は鈴木翔星さん、五十嵐純人さん、石塚大海さんでいずれも食料生産科3年。齋藤浩紀教諭の指導を受けながら、刈り入れも経験。「こんな大きな場所で小麦を作っていたなんて、すごくいい体験になった。農家の皆さんに説明を受け、農業に魅力を持てた」と納得の表情だった。

 地産地消に関しては地元飲食業界も注目を寄せ、この日は花鳥風月(酒田市)の佐藤勇太代表(37)も収穫に参加。昨年産の小麦を「庄内産小麦全粒粉配合」と前面に出した「酒田ラーメン」2玉入り(税別199円)を来週から酒田市内・ト一屋などで売り出す。「地元のラーメンに地元の小麦を本格的に利用することで、庄内産をより発信していきたい」と力を込めた。今年収穫されたものは年末12月からの市場流通を見込んでいる。庄内産小麦の展望は広がる。

 ○…鶴岡市「地ぱんgood」の大岡俊志オーナーシェフ(38)も参加。「庄内産小麦で食パン、フランスパンを作りたい」と意欲的だ。鶴岡まちなかキネマの閉館で隣接した店は閉じ、今年9月に旧国道7号線沿いの東新斎町に新たに開店させる。かっぱ寿司の近くになる新店内では石臼で小麦をひく自家製粉も披露したいそう。兵庫県出身の大岡さんは「鶴岡にじっくり腰を落ち着けて“パンづくりに励め”ということだと思う。頑張ります」と自らに言い聞かせていた。

刈り入れ直前の麦畑に入った関係者。地産地消に向け、順調な歩みだ
刈り入れ直前の麦畑に入った関係者。地産地消に向け、順調な歩みだ

稲の刈り入れ機をそのまま転用できる
稲の刈り入れ機をそのまま転用できる



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