2021年(令和3年) 4月10日(土)付紙面より
ツイート
山形大農学部と庄内5市町などでつくる「地域定住農業者育成コンソーシアム」(会長・村山秀樹同学部長、事務局・同学部)の「食と農のビジネス塾」開講式が8日、鶴岡市の同学部で行われた。同学部や同市立農業経営者育成学校「SEADS(シーズ)」の学生、一般、合わせて27人が来年3月まで1年間にわたり、農業の経営や販売などについて実践的に学ぶ。
同コンソーシアムは2016年4月、同学部と鶴岡市が中心になり、自立した農業者の育成によって定住促進につなげようと設立した。現在の構成会員は同学部と庄内5市町、県庄内総合支庁、JA、金融機関、商工団体など。ビジネス塾は目玉事業の一つとして16年度から毎年開講。農業の基礎、経営、加工、販売、技術、ビジネス計画書作成の6科目について、視察や実習を含め年間42回(162時間)の講義で体系的に学ぶ。
6期目の本年度は、昨年度に続きシーズ1年次生の必修科目のほか、新たに山大農学部の正規の選択科目に位置付けられた。受講生の内訳は、シーズの第2期生、農学部の3年生、一般が各9人で、年齢は20―60代。一般は庄内一円の新規就農者や地域おこし協力隊員、社会人学生、農業関連の起業を目指す人など。
開講式にはコンソーシアムの会員や事務局を含め約50人が出席。村山学部長があいさつで「農学部の学生を含め、新たな横、縦の人のつながりをつくって」と激励。各受講生が自己紹介で「東北が好きで、大学を卒業したら定住したい」「Uターンしてきた。実家の農業を生かし新たなビジネスを展開したい」「夫の転勤で鶴岡に来て野菜のおいしさに驚いた。鶴岡の全国的な知名度は低いので、もっと高めたい」など受講の動機や抱負を述べた。
会社勤めを辞め、来年の就農に向けた準備研修として受講する土岐康平さん(33)=鶴岡市大広=は「これからの農業は技術だけでなく経営も大事だと思い受講。いろんな人とつながりを持てることにも期待している」と話した。
終了後は第1講として山大農学部の小沢亙教授が講義。担い手が減少している現状や、その対策としてコンソーシアムを立ち上げた経緯をはじめ、これまでの5期で約110人が修了し、農産物貿易やゲストハウス経営、有機野菜の産直展開、新たな加工品開発、異業種間交流など、多彩な実績を挙げていることを紹介した。