2021年(令和3年) 7月17日(土)付紙面より
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酒田市中町二丁目の老舗デパート「マリーン5清水屋」が15日、前身の清水屋デパートから71年に及んだその歴史に幕を下ろした。中心市街地の象徴・ランドマークとしてそびえ、市民に親しまれてきた清水屋。午後6時の閉店時には大勢の市民らが1階エントランスホールに詰め掛け、「ありがとう」「さようなら」という歓声が響き渡り、中には涙ぐむ人の姿も見られた。
清水屋は、1925(大正14)年創業の衣料品店が起こりで、50(昭和25)年に清水屋デパートとして開店。市中心部が焦土と化した酒田大火(1976年)から2年後の78(同53)年、中町二丁目に大火復興事業で完成した酒田セントラルビル(マリーン5)のキーテナントとして入居した。
94(平成6)年、東北地方で百貨店事業を展開していた中合(福島市)と合併し中合清水屋店となったが、中合は2012(同24)年2月に営業を終了。同社と事業部分譲渡契約を結んだマリーン5清水屋は同年3月にリニューアルオープン、酒田セントラルビル社長だった故成澤五一氏(今年5月23日に死去)が社長に就任した。
社長就任に当たって成澤氏は「百貨店の原点に立ち返り、百貨店の原理を追求することにより『新しい百貨店』を構築したい」と述べるなど意欲的に店舗運営を進めてきたが、郊外型ショッピングモールとの競合が激化して業績不振に陥り、さらに小売業界を取り巻く環境が年々厳しさを増し、損失を計上するなど近年は赤字体質が続いた。
昨年来の新型コロナウイルス感染症が追い打ちをかけた形となり、成澤氏の死去後は取締役会を数回開き、新たな経営体制と今後の経営の在り方を検討。負債を抱えている上、資金繰りなどで先行きが見通せないことから、経営再建を断念した。帝国データバンク山形支店によると、負債は9億5000万円に上り今後、自己破産を申請するという。
営業最終日の15日は午前10時半の開店と同時に、別れを惜しむかのように大勢の市民らが訪れ、店内を回って従業員と会話しながら品定め。店外では「記念に」と写真に収める姿も多く見られた。午後6時の閉店時には従業員が正面玄関前に立ち並んで見送り。セレモニーなどはなく、最後の買い物客が店外に出ると、静かに扉が閉められた。同7時すぎにエントランスホール内にパーテーションが立てられ、さらに営業終了を知らせる張り紙が店頭に掲示された。
常に中心市街地の中核を担ってきた清水屋の閉店に、店外で写真を撮っていた女性客は「長年にわたってお世話になった。なくなるのは本当に寂しい」と。最後の買い物を終えた女性客も「生まれた時から常に清水屋がそばにあった。なくなったという実感がまだ湧いてこない。市街地の活気がさらに失われるようだ」と話した。
2021年(令和3年) 7月17日(土)付紙面より
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遊佐町の西浜、釜磯両海水浴場が16日オープン。西浜海水浴場で同日午前、神事が行われ、関係者がシーズン中の無事故を祈願した。
新型コロナウイルス感染症のリスクこそあるものの、監視員のいない中での水の事故の危険性などを考慮しながら町は昨夏に続き、今夏も町内3カ所の海水浴場をいずれも開設することを決めた。十里塚海水浴場は17日(土)にオープン。
青空が広がり、海よりの心地よい風が吹く絶好の海水浴日和となる中、神事には関係者約40人が参列。祝詞奏上に続いて池田与四也副町長、土門治明町議会議長らが神前に玉串をささげシーズン中の安全を祈った。池田副町長は「山に、海に、大勢の行楽客が町を訪れる夏が到来した。新型コロナ対策など万全を期し、真心のこもったおもてなしに努めていきたい。力添えを」とあいさつ。地元の太鼓団体「鳥海太鼓保存会」メンバーによる太鼓演奏で開設に花を添えた。
3カ所とも開設は8月22日(日)まで。西浜には今夏、浜茶屋も設置。釜磯と十里塚には随時、キッチンカーが訪問して飲食物を提供する。
一方、酒田市で今夏、唯一となる飛島(小松浜)海水浴場も16日オープン。開設は8月19日(木)まで。