2021年(令和3年) 7月24日(土)付紙面より
ツイート
新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが伸び悩む酒田市内の事業所を応援しようと、県立酒田西高(小松幸樹校長)の2、3年生が21、22の両日、校内で開催された文化祭「西高祭」に合わせ、「酒田の魅力PR大作戦」を繰り広げた。文化祭に「付き物」の模擬店の代替として市内の飲食関係事業所から品物を仕入れ、生徒たち自ら販売したもので、生徒だけでなく、来校した父母らも次々と求めていた。
隔年開催の上、コロナ禍もあり、文化祭は3年ぶり。経験した生徒がいないという状況下、生徒会執行部=伊藤翼生徒会長(17)、文化祭実行委員会=齋藤るうな委員長(17)=は「現在の西高生だけがつくることができる西高祭を」と、新型コロナ感染予防のため調理を伴う模擬店ができないというハンディを逆手に取って、その新型コロナで疲弊する市内事業所を支援しようと、「―大作戦」を企画した。
市産業振興まちづくりセンター「サンロク」の仲介で、▽お米の菓子工房 コメル▽ブランジェリーキムラヤ▽オランダせんべいFACTORY▽カフェeジェラート モアレ▽宮田食品▽壺やきいも専門店そらいも▽プティポアン▽麺屋酒田―の8事業所と、2、3年計8クラスをマッチング。生徒たちは事業所に出向いて交渉し、文化祭での販売を取りつけた後、テスト明けの今月上旬から事業所・販売品のPR動画・ポスター制作を行った。
文化祭初日は開会行事に続き、各クラスが制作したPR動画を上映。食品ロス、当日の密集・密接を防ぐため、実行委員会が購入の意向を聞き現金授受は終了済み。2日目は午前中から自ら「売り子」になって商品の引き換えを行った。溶けてしまうジェラート以外は自宅へのテークアウトとなったが、生徒たちは模擬店の雰囲気を味わった。
伊藤生徒会長は「PR動画・ポスターとも特長をうまく表現しており、クオリティーが高い。PRにつながったのでは。多くの制限がある中だったが、地域を知る良い機会になって企画して良かった。これからも酒田の活性化を考えていきたい」と。今年の文化祭のテーマは「青春×一瞬―僕らのすばらしい日々は奪えない」。齋藤委員長は「まずは文化祭を開催できたことに感謝。コロナ禍で思い描いたような高校生活、青春を送ることはできなかったが、これからも一瞬一瞬を大切に楽しく生きていきたい」と話した。
2021年(令和3年) 7月24日(土)付紙面より
ツイート
庄内浜で捕れる鯛(たい)をだしに使った麺料理を提供する「庄内浜の鯛だし麺」キャンペーンの発表会が22日、鶴岡市由良二丁目の「海テラスゆら・磯の風」で開かれた。庄内一円や内陸など、昨年より7店多い32店舗が参加し、24日から10月末までラーメンやパスタなど各店オリジナルの麺料理を提供、庄内浜の魅力をアピールしていく。
日本財団(本部・東京都)が全国展開している「海と日本プロジェクト」で、魚食を通じて海の問題を考える「天然印 庄内浜テロワール」の一環。鶴岡市由良地域協議会「ゆらまちっく戦略会議」を中心とする「海と食の地域モデルin庄内浜実行委員会」が昨年度、トトタベローネ庄内浜として取り組んだものを名称変更した。同様の魚食に関する取り組みは本年度、本県と北海道、青森県、富山県、静岡県、鹿児島県の6道県で展開されている。
庄内浜の鯛だし麺は、▽スープのだしに庄内産の天然鯛を使用▽鯛の色・ピンクを取り入れる▽海藻をトッピングに加える―の3条件を満たす麺料理の提供を通じ、庄内浜への関心を高め、地元の漁業振興や海洋ごみ問題の改善などにつなげていく狙い。昨年は10―12月にラーメン店を中心に25店舗が参加。今年はラーメン店や中華料理店、洋食店、旅館など32店舗(うち庄内26店舗、内陸5店舗、東京1店舗)がラーメン(温、冷)やパスタ、麦切りなど、より幅広いメニューを提供する。
22日の発表会では、実行委員長でゆらまちっく戦略会議会長の齋藤勝三さん(56)=同市由良二丁目=が「庄内浜は入り江が少なく、冬場は高波で養殖に適さないため、捕れるのは全て天然もの。約130種を季節ごとの調理法でおいしく食べ、海と人が一緒に庄内浜の食文化をつくってきた」と歴史を紹介。一方、ライフスタイルの変化で地魚を食べなくなり、海への関心も薄れ、漁師は減り、海洋ごみ問題も深刻化している実態を指摘し、「食文化を通じ、美しい海を次世代へ」と呼び掛けた。
その後、関係者や一般客が「らーめんみさと」(由良三丁目)で提供する「冷鯛(つめたい)塩らーめん」を試食。山形市みはらしの丘の公務員、伊東充洋さん(37)は「鯛のだしが利いてとてもおいしい。魚介系だしのラーメンは好きなので、また食べたい」と話した。
鯛だし麺の提供店とメニューは庄内浜テロワールの専用サイト=http://terroir-shonaihama.jp=で紹介している。