2021年(令和3年) 11月12日(金)付紙面より
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山形大(玉手英利学長)は8日、農学部の渡部徹教授らが東北大や北海道大などとの共同研究で、都市下水中の新型コロナウイルス調査から新規感染陽性者数を予測する実験を公開で開始したと発表した。登録者を対象に、仙台市の向こう1週間の陽性者数の予測を電子メールで配信する。
研究は東北大大学院工学研究科の佐野大輔教授らの研究グループと山形大の渡部教授、北海道大、仙台市、建設コンサルタントの日水コン(東京都)の共同によるもの。
東北大、山形大、仙台市、日水コンは2017年度から「下水中ノロウイルス濃度情報発信サイト」を共同運営し、仙台市の都市下水中のノロウイルスの濃度を調べ、一定の基準濃度を超えた場合は「感染症流行警報メール」を登録者に配信し、感染予防につなげている。既に、下水中のノロウイルス濃度と患者数が連動することを確認している。
今回は、過去1年以上にわたる仙台市内の新型コロナウイルス感染陽性報告者数と、市内下水処理場に流れてくる下水中の新型コロナウイルス調査結果を基に、人間の脳神経の働きを模した機械学習(ニューラルネットワーク)によって、向こう1週間の感染者数を推定する予測モデルを構築。同サイトを活用して週1回、登録者に予測値をメール配信する。
配信は8日からスタートした。初回の配信は「11月8―14日の仙台市内の新規感染者数予測値は2人」。予測値の精度を見極める目安となるよう前週(11月1―7日)の予測値「15人」と、実際の感染陽性者数「5人」も併せて掲載している。
山形大の渡部教授は、窒素やカリなどが豊富な下水を使った飼料米栽培やアユの養殖など資源循環の研究で注目を集めており、今回は主にサイト運営に携わっている。
メール配信の登録は、下水中ノロウイルス濃度情報サイト=https://novinsewage.com/=から。