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2022年(令和4年) 12月13日(火)付紙面より

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新たなシルク産業形成・発展を 鶴岡でサミット 講演や事例報告で学ぶ

 全国各地で蚕やシルクなどに関心を持ち、各分野で活躍している個人・団体が技術交流を図るシルクサミット2022in鶴岡が10日、鶴岡市覚岸寺の市先端研究産業支援センターで開かれた。「サムライゆかりのシルク?ここから先を紡ぎだす?」をテーマに、講演や活動事例報告などを通して情報や意見の交換を行った。

 同サミットは農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)など主催。蚕糸技術の普及と継承、社会ニーズに根ざした蚕やシルクの用途拡大と関連産業の発展、新たなシルク産業の形成・発展などを目的に、全国のシルク産地持ち回りで開催されている。今回の開催地・鶴岡では実行委員会(会長・清野力鶴岡織物工業協同組合理事長)を組織した。

 全国各地の企業や団体、研究者など100人余りが出席。初めに松ケ岡開墾場(鶴岡市羽黒町松ケ岡)副理事長の山田陽介さんが「士族の開墾?松ケ岡、絹の歴史のはじまり?」と題し講演。

 山田さんは幕末の戊辰戦争で幕府方についた庄内藩が降伏開城後、西郷南洲(隆盛)翁の寛大な処置を受けた逸話を紹介するとともに「庄内藩老中の菅実秀から原野開墾の相談を受けた西郷は大いに賛同、激励したという。1872(明治5)年8月、藩士約3000人が311ヘクタールを58日間で開墾。翌年は200ヘクタールを開墾し桑苗を植栽したほか間作として茶の種をまいた。75?77年にかけて10棟の蚕室を建設し、養蚕や製糸、真綿製造を開始した」と解説した。続いて鶴岡シルク(鶴岡市羽黒町松ケ岡)の大和匡輔社長が「過去を学び未来に繋ぐ?kibisoのブランディングによるシルクの可能性?」と題し、2007年に立ち上げたブランド『kibiso』について「蚕が繭を作る最初に出すのが『きびそ』。太さがまちまちでゴワゴワしており、織物に適さないとされていたが、抗アレルギーや抗酸化作用を持つなど人の肌に優しい素材」と説明。さらに「絹は4000年続いてきた人にとって一番優しい素材。それを子どもたちにつなぎ、新たな可能性を研究してもらいたい。織物に例えるなら縦糸は歴史、横糸はその時代のものづくり。どちらが欠けても織物はできない。歴史や伝統を守るだけでなく、新たな横糸を入れることがイノベーション創出につながる」と呼び掛けた。

 その後の活動事例報告では、鶴岡市木野俣地区で養蚕業の再興に取り組む福栄養蚕振興会について、指導員を務める菅原久継さんがシルクパウダーや桑パウダーを入れた手打ちうどんなどを、地元住民で立ち上げた農家レストランで提供する地域振興の取り組みを語った。

講演や活動事例報告などを通し、蚕やシルクに関する情報や意見を交換した
講演や活動事例報告などを通し、蚕やシルクに関する情報や意見を交換した



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