文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2023年(令和5年) 3月5日(日)付紙面より

ツイート

文化庁「100年フード」庄内3件認定 「笹巻」(鶴岡市)「酒田のラーメン」「むきそば」(酒田市) 伝統受け継ぎ未来へ発信 ロゴマーク使用で地域食文化PR効果増に期待

 文化庁は3日、地域に根付いた食文化を国内外に広く発信する「100年フード」に、本県の5件を含む70件を認定したと発表した。庄内地域からは、鶴岡市の「笹巻」、いずれも酒田市の「酒田のラーメン」「むきそば」の3件が選ばれた。

 同庁は昨年度から、日本の多様な食文化の継承・振興への機運を醸成するため、それぞれの地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を、100年続く食文化「100年フード」と名付け、ともに継承していくことを目指す取り組みを推進。▽伝統―江戸時代から続く郷土の料理▽近代―明治・大正に生み出された食文化▽未来―目指せ 100年!―の3部門でそれぞれ認定しており、「笹巻」「むきそば」は伝統部門、「酒田のラーメン」は未来部門でそれぞれ認定を受けた。

 「むきそば」はソバの実をむいてゆで、それにだしをかけて食べる酒田の郷土料理。もともと、上方(関西地方の寺院で食されていた精進料理で江戸時代、遠隔交易の中心だった北前船で酒田に伝わった。近年はむきそばとだしがセットになった缶詰やレトルトもあり、酒田の土産品として高い人気を誇る。

 「酒田のラーメン」は1926(大正15)年に中国人が伝えた「支那そば」が源流とされ、煮干しやコンブ、トビウオの焼き干しなどでだしを取った、あっさりとしながらもこくのあるしょうゆ味が特長。スープとよくなじみ、伸びにくい自家製麺も要素の一つとなっている。

 「笹巻」は餅米を笹の葉で包み煮たもの。鶴岡市では餅米を灰汁(あく)に浸してから調理するため、黄色くゼリー状の独特な風味を持ち、日持ちするのが特長。

 2件の認定を受けた酒田市では3日、丸山至市長はじめ関係者が記者会見。むきそば製造を手掛ける梅田食品製造本舗(大宮町一丁目)の梅田光隆社長(65)は「むきそばは地味な食品だが、数ある物品から認定を受けることができて感謝。国内産原料にこだわって製造している。これを機に販路の拡大に努めたい」、酒田のラーメンを考える会の齋藤直会長(52)=満月社長=は「この地で世代を超えて愛されている酒田のラーメンは間もなく100周年を迎える。次の100年に向けて全力で取り組んでいきたい」とそれぞれ話した。

 「笹巻」を申請した鶴岡市の皆川治市長は「認定を通して、鶴岡の笹巻の特徴や価値を発信し、文化の継承に取り組んでいく」とコメントした。

 県内からはこのほか、「山形芋煮」「蔵王温泉ジンギスカン」が選ばれた。酒田市交流観光課によると、認定によって「100年フード」のロゴマークが使用でき、公式ウェブサイトで広く情報発信されることからPR効果の増大が期待できるという。

「100年フード」の認定を受けて記念写真に納まる(左から)石垣洋平市麺類食堂組合長、齋藤会長、丸山市長、梅田社長=酒田市役所
「100年フード」の認定を受けて記念写真に納まる(左から)石垣洋平市麺類食堂組合長、齋藤会長、丸山市長、梅田社長=酒田市役所


2023年(令和5年) 3月5日(日)付紙面より

ツイート

「ありがとう」63年の歴史に幕 本年度末閉校鶴岡准看護学院 “最後の卒業式”19人が学びや巣立つ

 本年度末で閉校する鶴岡准看護学院(学院長・福原晶子鶴岡地区医師会長)の“最後の卒業式”が3日、鶴岡市馬場町の同学院で行われた。18歳から40代の卒業生19人が学びやを巣立ち、創設して63年の歴史に幕を閉じた。

 鶴岡准看護学院は1959(昭和34)年4月に創設した。定員は1クラス25人。初代学院長には柴田周吉鶴岡市西田川郡医師会長が就任した。入学者のすべてが中卒で、当時、女子の高校進学率は約39%だった。

 学院生は2年間の課程で学科と実習を重ね、准看護師の受験資格が得られる。これまで1557人が卒業した。

 式には卒業生と父母、学院関係者合わせて約40人が出席。福原学院長が一人一人に卒業証書を手渡し「皆さんはコロナ禍で学院行事が中止となったり実習が短縮されるなどの制約を受けてきたが、努力を重ねこの日を迎えられた。医療は日々、進歩している。常に学びの心を持ち続け医療現場で活躍することを心から願っている」と式辞した。

 卒業生を代表して丸山縁(ゆかり)さん(42)=三川町横山=が「19人それぞれ自分一人の力ではたどり着けなかったと思う。現場実習では『ありがとう』『これからも頑張って』と声を掛けてくれた患者さんのことが忘れられない。閉校する寂しさはあるが、最後の卒業生としてナイチンゲールの精神を忘れず看護の道を歩みたい」と決意を述べた。県医師会の中目千之会長がリモートで卒業生にはなむけの言葉を贈った。

 式を終えた佐藤梨音(りおん)さん(20)=鶴岡市砂田町=は「新潟の専門学校に進み、さらに看護の専門知識を学ぶ。将来、地域医療を支える一人として貢献できるよう努力を重ねたい」と話した。

 最後の卒業生19人はこの春から庄内の各病院や医院に勤務するほか、県外の専門学校に進学する。

卒業生と福原学院長ら関係者が集まって記念撮影。最後を笑顔で締めくくった
卒業生と福原学院長ら関係者が集まって記念撮影。最後を笑顔で締めくくった

「2年間、ありがとうございました―」。恩師に別れを告げる卒業生
「2年間、ありがとうございました―」。恩師に別れを告げる卒業生


2023年(令和5年) 3月5日(日)付紙面より

ツイート

後任所長に荒川氏 慶應先端研 冨田氏は3月末で退任

 慶應義塾大先端生命科学研究所(鶴岡市)は3日、3月末で退任する冨田勝所長(65)の後任に、所長補佐の荒川和晴教授(43)が就任すると発表した。荒川氏は2001年の先端研設立時からのメンバーで、冨田氏に師事した生え抜きの“冨田チルドレン”の一人。同日の記者会見で「先端研を立ち上げ発展させた冨田さんの存在は大きい。でも一代で終わりにしては意味がない。鶴岡に生まれた先端研をこの地に根差し、世界でも魅力的な先端生命科学のメッカとして発展させていきたい」と2代目所長としての決意を述べた。

 荒川氏は東京生まれ。02年9月に慶應大環境情報学部卒、06年3月に同大大学院政策・メディア研究科博士課程修了。20年4月から先端研所長補佐、22年4月から同研究科と環境情報学部の教授。システム生物学が専門で、過酷な環境に耐える微小生物クマムシのメカニズム解明につながる研究に参加。先端研発バイオベンチャー「スパイバー」などとの共同研究では、クモ糸の強(きょう)靭(じん)さを実現するメカニズムの解明にも携わっている。

 記者会見で荒川氏は、数年前に飲み会の席で冨田所長に「冨田さんが退任した後は、私が引き受けます」と宣言していたと明かし、「責任とともにやりがいを感じている。小さな箱にとどまらず、楽しみながらチャレンジを続けることを継続したい。基礎研究と人材育成にしっかりと取り組み、その質も幅も深めていく」と意気込みを語った。

 冨田氏は所長としての22年間を振り返り「当時の富塚陽一市長からは『世界が振り向く研究をしてください』の一言だけ言われた。目先の損得ではなく、日本のサイエンスや教育、地方創生の在り方を変える、花よりも根を養う精神でやってきた」と述べ、後任の荒川氏を「先端研の生え抜きで研究内容や志、使命感を共有する心強い人材」と紹介した。

 その上で「鶴岡・庄内には庄内藩校致道館の教育理念が根底にある。与えられたものをこなす優等生ではなく、教科書に書いていないことを答えるような人を育む歴史的、伝統的な教育文化、土壌がある。出羽三山をはじめとする精神文化も含め、日本の将来はここ庄内に凝縮していると感じている」と述べた。

 冨田氏は退任後も先端研発ベンチャーなどで構成する一般社団法人「鶴岡サイエンスパーク」の代表理事を引き続き務める。会見では「自分や世界にとって役立つことを考えてやっていきたい。もうひと暴れしますよ」と笑顔で語った。

3月末で退任する冨田慶應先端研所長(左)と、後任の荒川教授=3日、鶴岡市先端研究産業支援センター
3月末で退任する冨田慶應先端研所長(左)と、後任の荒川教授=3日、鶴岡市先端研究産業支援センター


2023年(令和5年) 3月5日(日)付紙面より

ツイート

震災忘れず 南三陸町とのつながり大切に 余目中生 慰霊メッセージ収録 「記憶引き継ぐ気持ち込めた」 3月11日に庄内町放送

 発生から12年目を迎える東日本大震災を前に、庄内町の余目中学校(佐藤義徳校長)の生徒が3日、庄内町役場で、発生日と前日に防災行政無線で放送される震災で亡くなった方への慰霊を呼び掛けるメッセージを収録した。担当した同校生徒会議長の渡部琴美さん(15)=同町常万、3年=は「震災の記憶を引き継いでいけるよう気持ちを込めた」などと話した。

 同町は1999(平成11)年、旧立川町と現在の南三陸町を構成する旧歌津町が友好町の盟約を締結。震災時は庄内町からもいち早く炊き出し班を南三陸町に派遣し、被災者に温かいおにぎりを届けるなど支援。南三陸町側からはお礼として新鮮なワカメが届けられるなど、合併後の現在に至るまで交流を続けている。

 同校でも、昨年9月の修学旅行では南三陸町を訪問。3年生が学校で育てたミニトマトを送るなど交流している。メッセージ収録もこうした活動の一環で2017年から毎年行われており、今年で7回目。

 この日は渡部さんがリハーサル後に緊張した面持ちで本番収録。復興支援ソング「花は咲く」に合わせて、「震災を忘れず交流活動を通して南三陸町とのつながりを大切にしていきたい」などとはっきりとした口調で語り掛けた。

 収録後、渡部さんは「南三陸町の中学生の被災時の活動などを学び、もし災害が身近で起きた時には自分ができることを探して活動していきたい」と話した。

 収録されたメッセージは、今月10日午後6時45分、同11日午前7時45分の2回、庄内町内のコミュニティセンターなどに設置された防災行政無線のスピーカーから同町全域に向けて放送される。

収録に臨む渡部さん
収録に臨む渡部さん


2023年(令和5年) 3月5日(日)付紙面より

ツイート

ATM引き出し 30万円に制限 特殊詐欺被害抑止へ対策 県警と協力新たに9機関

 ATMでの特殊詐欺被害を抑えようと県警察本部と県内の金融機関は3日、70歳以上の高齢者を対象にATMで1日に引き出せる限度額を4月から引き下げると発表した。きらやか銀行と東北労働金庫県本部が先行実施しており、新たに9機関が30万円に制限する。

 県警によると、2022年に県内で確認された特殊詐欺の被害件数は47件(前年同期比26件増)で、被害金額は1億1504万円(同4315万円増)。このうちATMでの現金引き出しを伴う被害は22件(同18件増)、被害金額は4415万円(同3987万円増)と増加している。被害額を最小限に抑えようと県警が金融機関に引き下げを求めた。

 昨年2月には、各機関が足並みをそろえてATMでの振り込みを制限する対象年齢を70歳以上から65歳以上に引き下げたところ、還付金詐欺被害が前年の10件から3件に減るなどの効果が見られた。

 山形市内のホテルで開かれた記者会見で県銀行協会の大石徹常務理事は「一斉に対策することで被害を抑えたい。利用者に不便をかけるが、ご協力をお願いしたい」と話した。

 各金融機関の引き出し制限の開始日は次の通り。

 ▽4月17日=北都信用組合、山形中央信用組合、山形第一信用組合▽4月20日=山形信用金庫、米沢信用金庫、鶴岡信用金庫、新庄信用金庫▽7月予定=山形銀行、荘内銀行

ATMでの引き出し限度額を引き下げる各金融機関の関係者と県警の担当者=3日、山形国際ホテル
ATMでの引き出し限度額を引き下げる各金融機関の関係者と県警の担当者=3日、山形国際ホテル



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field