2024年(令和6年) 3月8日(金)付紙面より
ツイート
酒田市平田地域の坂本地区に春の訪れを告げる神事「でごぐり百万遍念仏」が6日、地区の鎮守・坂本貴船神社で行われ、地区民が長さ約10メートルのわらでできた「念仏綱」を床にたたき付けたり体にこすり付けるなどして、豊作や身体堅固を祈願した。
「でごぐり」は「たたく」といった方言で、念仏を唱えながら念仏綱を床にたたき付けることで邪気を追い払い、豊作や身体堅固を願う。春を呼ぶ神事として集落に古くから伝わっている。
この日は午後1時ごろから10―70代の地区住民約10人が2メートルほどの綱を手に神社拝殿に集まった。集落代表の長堀麗仁(れいじん)さん(76)のあいさつに引き続き、参加者たちは車座になって座り、持ち寄った綱をつなぎ合わせて「念仏綱」にし、太鼓と鐘の音に合わせ「ナミアムダブツ」と念仏を唱えながら綱を回した。途中、綱の「ナデ」と呼ばれる部分を床にたたき付けたり、人の体に巻き付けるなどして祈願した。
30分ほどで綱はぼろぼろになり、拝殿には多くのわらくずが飛び散った。参加した南平田小5年の長堀夏鈴(かりん)さん(10)=同市山元=は「回すのは大変だったけどやっているうちに慣れてきた。一輪車の大会で優勝できるようお願いした」と話した。
祈願後、元の長さにほどかれた綱は参加者が各自持ち帰り、ササやスギの葉、ネギ、トウガラシなどを差し込んで魔よけとして庭木や玄関につるされるという。