2024年(令和6年) 5月15日(水)付紙面より
ツイート
酒井家庄内入部400年を記念し、鶴岡市の荘内神社(石原純一宮司)が東北芸術工科大(山形市)の学生に依頼して制作した能「翁(おきな)」の大絵馬のお披露目会が11日、同神社で行われた。縦90センチ、横180センチの畳1畳分の大きさのスギ材の木目を生かして描いた色鮮やかな絵馬に、集まった関係者から歓声と拍手が湧き起った。
2022年の入部400年記念として同年6月、鶴岡市の荘銀タクト鶴岡で、人間国宝など当代一流の能楽師を迎えた宝生流能楽公演が庄内能楽館(酒田市)主催で開かれた。本公演に先立ち同神社で、宝生流20代宗家の宝生和英(かずふさ)さん、狂言方和泉流の野村萬斎さんらが、天下泰平・五穀豊穣(ほうじょう)などを祈る「翁」の祝賀能を奉納した。
荘内神社には、明治時代に同市内で演じられた「翁」を題材に1886(明治19)年に制作された大絵馬が奉納されており、今回、入部400年記念の祝賀能を「令和の大絵馬」として長く後世に伝えようと、同神社が昨年6月、芸工大美術科日本画コースの学生12人に制作を依頼した。
お披露目会には、旧庄内藩主酒井家18代当主の酒井忠久さん・天美さん夫妻ら関係者約30人が参列。同神社拝殿で神事の奉納奉告祭が行われ、約140年前の「明治の大絵馬」とともに、完成したばかりの「令和の大絵馬」が披露された。新たな大絵馬の裏側には、祝賀能に関係した能楽師や制作に携わった学生の名前、スギ材を提供した同市の製材会社・大和などが記された。芸工大4年の竹原雅さん(24)は「貴重な経験をさせていただき、とても光栄で感謝している。庄内藩酒井家の400年の歴史や伝統を感じ取ってもらえたらうれしい」と話した。
奉告祭の後、地元の鶴岡五雲会と庄内謡曲愛好会が「絵馬」「羽衣」の演目を奉納した。明治と令和の2つの大絵馬は今後、同神社宝物殿で一般公開する予定。