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2024年(令和6年) 5月18日(土)付紙面より

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コンテナ内航航路は北前船再来

 酒田港と国内3港を結ぶ「内航フィーダー航路」が開設された。現在、韓国と中国を結ぶ外航定期コンテナ船が週2便運航されているが、加えて博多(福岡市)、門司(北九州市)、新潟(新潟市)を結ぶコンテナ船が週1便寄港することになり、今月10日第1船が入港した。フィーダー航路は主要港を結ぶ基幹航路に対する支線的役割を担うものだが、酒田港の機能強化に大きく貢献する。

 酒田港は室町時代の終わり(1573年)には、日本海海運での商業港の拠点になっていたとされる。寛文12(1672)年、河村瑞賢が西廻り航路を開くと一気に存在性が高まって米の積み出し港に。北前船交易では関西の塩、木綿、文化、北海道の海産物などの中継港になった。

◇      ◇

 フィーダー航路は支線的役割を担うが、第1船で入港したコンテナ船は749総トン、最大積載能力は199TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個相当)あり、陸上との輸送量とは比べものにならない。トラック運転手の時間外労働時間に上限を設けた「物流の2024年問題」解決策につながるだけでなく、物流の陸上輸送から海運による安定輸送が可能になる。また、脱炭素の効果も期待できる。

 北前船の西廻り航路が開かれて一気に存在感を高めた酒田港は、特に米の積み出し量が多く、享保9(1724)年には58万6239俵に加え、幕府の御用米30万俵の計88万俵余が運ばれた。米でなく、最上川舟運によって県内陸部から紅花などが関西に運ばれ、逆に京文化が入ってきた。北前船は日本海側の港を点々と寄港しながら荷積みと荷降ろしをしながら航海する“移動卸売市場”的な役目を果たしていた。フィーダー航路と共通する点もある。

 外交航路に加えて内航航路が就航し、酒田港の物流機能が高まった。今後の課題は利用拡大を推し進めることでの産業の振興。県は市などと組織する“プロスパーポートさかた”ポートセールス協議会で利用に向けた新たな助成制度を検討し、港の活性化を後押しするという。

◇      ◇

 酒田港は国土交通省から「海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾(基地港湾)」に指定されたばかり。庄内沖では既に遊佐町沖が洋上風力発電の「促進区域」になって事業者公募が始まっており、酒田市沖も「有望な区域」になって、今後法定協議会が設置される予定だ。

 基地港湾によって洋上風力発電用の巨大風車などを組み立てて積み出す拠点港になる。コンテナ内航航路就航と併せて、新しい産業の創出が期待でき、雇用の場を確保することになれば、人口減少を止めることへの期待も開けるのではないか。酒田港の相乗的なメリットを企業に周知して利用拡大を図る。若い人が地元に定着してこそ地域経済が元気になる。

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