2024年(令和6年) 6月11日(火)付紙面より
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松山能の羽州庄内松山城薪(たきぎ)能が8日夜、酒田市松山歴史公園特設舞台で上演された。かがり火が醸し出す幻想的な雰囲気の中、能、狂言が演じられ、訪れた人の目を楽しませた。
松山能(県指定無形民俗文化財)は、江戸勤番の松山藩士が観世流の能楽を習得し持ち帰ったのが起源。約360年の歴史があり、明治維新以後は地元の演能団体「松諷社(しょうふうしゃ)」(榎本和介会長)が受け継いでいる。「薪能」は「花の能」と銘打ち、歴史公園竣工(しゅんこう)を記念し1982年から開いている。屋外での開催は6年ぶり。
43回目となった今年は、能楽ファン220人余が鑑賞。狂言「附子」で開幕し、空があかね色に染まった午後6時半ごろ、舞台周囲に火が入れられ、舞台を幻想的に照らした。引き続き能「船弁慶」が演じられ、静御前の優美な舞や、義経らの前に平知盛の怨霊が現れる展開に、観客たちは引き込まれるように見入っていた。