2024年(令和6年) 6月16日(日)付紙面より
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鹿児島県出身で同県をPRする「薩摩大使」を務める松尾正夫さん(76)=鶴岡市在住=が10日、西郷隆盛(南洲)翁に関する書籍を中心にした鹿児島・薩摩関連の蔵書100冊を、鶴岡市の鶴岡二中(和田恭司校長、生徒407人)に寄贈した。同校は鹿児島市の武(たけ)中と兄弟校の盟約を結び、来年には盟約50周年の節目を迎える。和田校長は「記念の年を前に大変貴重な蔵書を頂いた。鹿児島をより深く知るために活用していきたい」と話している。
全校生徒出席による寄贈式がこの日、同校体育館で行われ、松尾さんは薩摩藩主島津家の「丸に十の字」の家紋が入った赤い陣羽織を着て来校。ステージ上で、生徒代表の渡部琉花図書委員長(3年)に贈呈書籍の一部を手渡した。
あいさつで松尾さんは、生徒たちに戊辰戦争時の薩摩藩と庄内藩、戦後の西郷隆盛と庄内の関係を説明した上で、「同級生や先生方との出会い、社会に出てさらに多くの人たちとの出会いを大事にしてほしい」と呼び掛け、最後に薩摩で若者たちに歌い継がれてきた自らを鼓舞する「薩摩兵児謡(へこうた)」を、勇まし歌声で披露。生徒たちから感謝の心を込めた大きな拍手が送られた。寄贈された書籍は生徒たちがラベリングとリスト作成を行い、図書室に「薩摩文庫」として設置した。
西郷翁と庄内藩の菅実秀(臥牛)翁との「徳の交わり」を縁に、鶴岡市と鹿児島市は1969(昭和44)年に兄弟都市の盟約を締結。鶴岡二中と武中は75年に兄弟校の盟約を結び、相互に訪問団を派遣するなど交流を続け、来年の締結50周年の節目では鶴岡二中側が武中を訪れる予定。寄贈式で渡部図書委員長は「武中との交流を通して互いの伝統や文化を学ぶことは、とても有意義なことだと思う。西郷さんと菅さんの徳の交わりの思いを大切にして、これからも交流を深めていきたい」と、松尾さんへ生徒代表のお礼を述べた。