2024年(令和6年) 11月1日(金)付紙面より
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鶴岡市教育委員会は30日、地方の文化向上に尽くした人に贈る「高山樗牛賞」の本年度受賞者に、演劇脚本を通して地域ゆかりの人物を顕彰し地方文化の啓発向上に貢献している池田肇さん(64)=鶴岡市日出一丁目=を決め、発表した。児童生徒対象の高山樗牛奨励賞には酒田東高3年の佐々木みらいさん(18)が選ばれた。授賞式は11月20日(水)に同市のグランドエル・サンで行われる。
樗牛賞は、歴史小説「滝口入道」などで知られる庄内が生んだ明治の文豪・高山樗牛(1871―1902年)の偉業を顕彰し、地方文化の向上を目的に樗牛出身地の同市教委が1958年に制定。庄内に居住し、文芸、評論、作文などで功績のあった人に贈られている。今回が67回目。
樗牛賞を受賞する池田さんは遊佐町生まれ。一般社団法人日本劇作家協会会員。劇作家、演出家として創作活動を続けている。近年は庄内地域ゆかりの人物などを題材に脚本を執筆。酒田大火の物語、櫛引出身の言語学者」齋藤秀一(ひでかつ)、横綱柏戸の物語などを脚本に起こし、地域住民や子どもたちの出演で朗読劇として上演している。表現集団「エッグ・プロジェクト」を主宰。著書に「池田はじめ戯曲集」(書肆犀刊、1996年)がある。現在は櫛引地域生涯学習振興会の事務局長を務めている。
池田さんは受賞に「脚本があっても演じてもらえる役者がいないと劇は成り立たない。地域の人々、お世話になった方々に感謝しています」と喜びを語り、「先人の方々が伝えてきたことを受け取って、次の世代につなぐ。そうしたイメージで創作活動を行ってきた。脚本家、演出家をライフワークとして、これからも続けていきたい」と話した。
奨励賞の佐々木さんは小説を中心に詩や散文、短歌など多様なジャンルで創作活動を行っている。推薦作品の小説「幸せそうなあなた」は、自身が入院した際の実体験をもとにした。高校生の主人公が直面する初めての入院生活の様子などを丁寧な情景描写でつづり、何気ない会話を通して巧みな人物描写があり、主人公の心情の動きや様子が分かりやすく伝わる作品となっている。