2024年(令和6年) 11月6日(水)付紙面より
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観光向け2次交通が十分でない酒田市街地における新たな移動手段として登録観光地域まちづくり法人・酒田DMO(同市、荒井朋之代表理事)は、昨年7月の改正道路交通法施行で「特定小型原動機付自転車」に区分され、全国的に活用が広がる「電動キックボード」の導入を模索している。主体となって実証事業を展開しており、来年度以降の導入に向けた可能性を探っている。
地域交通の現状について酒田DMOは、市街地に観光施設が点在しているものの、駅やホテルから徒歩では距離がある上、公共交通も観光向けとしては不十分。さらにタクシー運転手不足が顕著で、観光で呼べるタクシーが足りないと分析している。
市街地における回遊性を向上させることで観光客の増加、にぎわいの創出、新たな2次交通モデルの構築を図ろうと、新たな交通手段として電動キックボートに目を付けてレンタル事業を企画。国土交通省の補助を受けて「酒田地区観光×新たなモビリティー共創実証事業」と銘打ち、県ハイヤー協会酒田支部、酒田観光物産協会、広告代理店・山形アドビューロ(山形市)、酒田市と共同で来年度以降の貸し出し開始に向けて準備を進めている。
市内で先月11日、関係者を対象にしたセミナーを開催。▽時速20キロ以下で走行▽運転免許は不要▽16歳未満は運転禁止▽ながら運転の禁止▽ヘルメット着用の努力義務―といった乗車時のルールや、加速の仕方、ウインカーの出し方など操作方法を学び、駐車場内で試乗体験した。
このセミナーを受け3日午前、同市の日和山公園でモニター試乗会を実施し男女3人が参加。交通ルールや操作方法を解説した動画を鑑賞し担当者から説明を受けた後、秋晴れの下、おしゃれなヘルメットをかぶって市街地へと繰り出した。
試乗した、情報ウェブサイト「ショーナイツウ」代表の矢作元気さん(41)=同市錦町四丁目=は「最高です」と第一声。事業の可能性について「駐車場が確保できずに開店を諦める人もいるはず。2次交通の構築だけでなく、このような課題を解決する意味でも導入してほしい」と話した。
酒田DMO事業推進グループの田中隆弘さんによると、試乗体験者の意見を踏まえて検討を重ね、来年の雪解け以降の事業スタートを目指すという。
2024年(令和6年) 11月6日(水)付紙面より
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県教育局は「ペーパーティーチャー」(臨時教員など)を募集する。「教員免許は持っているが学校で働いたことがない」「教職を離れて長い月日がたった」―といった人を対象に県内4会場で説明会を開く。庄内会場は9日、三川町の県庄内総合支庁で。各分野で人手不足がクローズアップされている中、県内の教育現場でも「先生を確保したい」という背景がある。
県教育局によると、今年度(来年4月採用)の公立学校教員選考試験の志願者数と合格者数、志願倍率の内訳は▽小学校が志願者273人に対し合格者は177人(志願倍率1・5倍)▽中学校は245人に対し86人(2・8倍)▽高校は165人に対し36人(4・6倍)。10年前(2015年度)の志願者数を見ると小学校が382人(志願倍率3・8倍)、中学校は393人(7・9倍)、高校は292人(12・2倍)で、現在と比べて大きな隔たりがあることが分かる。
全国的に医師や介護職、タクシードライバー、建設、サービス業など幅広い分野で担い手不足と高齢化が取り沙汰されているが「学校の先生」も例外ではない。教育局では定年退職した先生に声掛けし、続けてくれるよう協力を働きかけている。山形大学は先月31日、約20年ぶりに教育学部を「復活」し、小中学校の教員免許を卒業要件とする課程(入学定員120人)を設ける構想を発表した。2026年春の開設を目指し、教員養成機能を強化する。
「ペーパーティーチャー」の説明会は今年で3年目。県内4会場(庄内、村山、最上、置賜)で▽学校教育の最近の動向▽常勤講師や非常勤講師の勤務形態について▽給与・休暇といった待遇面▽講師登録から任用までの流れ―などについて詳しく説明する。各会場では終了後に個別相談の時間も設ける。昨年、庄内会場の説明会には8人が参加し、このうち2人が就いた。今年は今月初めまでに5人の申し込みがある。
県教育局の担当者は「教員免許を持っていながら『私が先生なんて』と遠慮がちに思っている人たちが結構多い。こういう人たちを掘り起こすことが狙い。本県の教育に力を貸していただければありがたい」と話している。
庄内会場の時間は午前10時から11時半。申し込みは7日まで。電子申請(QRコードから)できる。詳しい問い合わせは県教育局教職員課=電023(630)3406、または庄内教育事務所総務課=電0235(68)1985=へ。都合で説明会に参加できなくても随時相談対応している。
2024年(令和6年) 11月6日(水)付紙面より
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「全国47都道府県幸福度ランキング2024年度版」で、山形県は前回から順位を1つ下げて8位だったが、東北6県では最上位。民間シンクタンクの一般財団法人・日本総合研究所(寺島実郎会長)が、人口増加率、食料自給率、県民所得、財政健全度など85指標を比較して分析した。
寺島氏は「巨大レジャー施設などがなくても、地域おこしへの取り組み、インバウンド(訪日外国人)対策など、地方ならではの努力が幸福度につながる」と説明。さらに日本海物流での酒田港の伸び率は18・4%、全国平均の10・1%を大きく上回っていることも強調した。地域活性化への期待が持てる評価だ。
◇ ◇
47都道府県幸福度ランキングの目的は、単なる順位付けではなく、その地域の政策課題や、その効果を把握することで、地域の魅力発信につなげることが狙い。県単位で対比できる客観的な指標を抽出して評価した。自分が住んでいる地域に対する暮らしの幸福度は、人それぞれの価値観で異なるが、同調査は地域で幸福感を持って生きることへの指標になる。調査は県単位での評価だが、庄内として捉えても当てはまる事柄が多いと思われる。
幅広い年代層の、地方移住に対する関心が高まっている。地方移住を支援するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」(東京)によれば、23年の移住相談件数(面談・電話・セミナー参加)は5万9276件、前年比6964件(13・3%)増え、過去最多になったという。山形県も6月に「やまがた移住・交流フェア」を東京で開き、各市町村が参加して魅力をPRしている。
ふるさと回帰支援センターに、移住希望地についての窓口相談件数が多かった地域は1位静岡県、2位群馬県、3位栃木県、4位長野県、5位宮城県。公表された20位以内に山形県は含まれていない。上位ランキングの多くは東京から100キロ圏内に隣接している。交通・文化・子育て環境などへの意識が働いているためだろうかと、首都圏への偏りを感じる。
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東京での「やまがた移住・交流フェア」での庄内5市町のセールスポイントは、鶴岡市が自分らしい暮らしを実現できる街、酒田市はご当地ラーメン総選挙日本一の港町、遊佐町は大切にしている何かを見つけられる町、三川町は県内で唯一山のない町、庄内町は風と共に生きる町。どれもそれぞれれの特徴を前面に出している。
住みよさ、移住したい地域などについて、寺島氏は「ディズニーやUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のような楽しい施設がないことで幸福度が低い事にはならない」と語っている。地方ならではの特色あるものを生み出して上位にランク付けされている県もある。地方創生の地元の工夫も求められるようだ。
2024年(令和6年) 11月6日(水)付紙面より
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荘内日報社主催の「第48回囲碁二段位獲得戦」(日本棋院鶴岡、酒田両支部主管)が2日、鶴岡市大宝寺町の日本棋院鶴岡支部囲碁サロン鶴岡で行われ、同市坂野下の初段・菅原直志さん(69)が優勝し、二段位を獲得した。菅原さんには後日、日本棋院二段の免状が贈られる。
獲得戦には両支部から選ばれた8人のうち1人が棄権し、7人が出場。持ち時間35分、6目半コミ出しのルールでトーナメント戦を繰り広げた。開会式で荘内日報社の橋本政之社長が「四冠で世界一にもなった東北ゆかりの一力遼さんの活躍で囲碁界も盛り上がっている。獲得戦は緊張することと思うが、熱い戦いを期待する」と激励した。
1回戦は長谷川健悟さん(76)=鶴岡市海老島、1級=と高橋孫一さん(75)=酒田市宮之浦一丁目、初段、冨樫修さん(74)=鶴岡市東原町、初段=と川越弘一さん(93)=酒田市北今町、初段、菅原さんと齋藤仁志さん(74)=酒田市一番町、初段=が対戦し、高橋さん、冨樫さん、菅原さんが勝ち上がった。
準決勝第1局は高橋さんと冨樫さんが対戦し、冨樫さんが終盤に逆転して競り勝った。同第2局は鈴木慶次さん(83)=鶴岡市新形町、初段=と菅原さんが対戦し、優勢だった菅原さんが鈴木さんの時間切れで勝利した。
冨樫さんと菅原さんの鶴岡勢同士の対戦となった決勝は、序盤の攻め合いで白・菅原さんが大石を取り、終盤に黒・冨樫さんが粘りを見せて攻めたものの、菅原さんがしのいで逃げ切った。
橋本社長から表彰状を贈られた菅原さんは「二段位戦には過去2回出場してどちらも準優勝。今回は相手の石をつながせないよう攻めを意識して戦った。それが良かったと思う。優勝できてうれしい」と話した。
準決勝と決勝の計3局の棋譜は後日、荘内日報に掲載する予定。
▽1回戦
高 橋 中押し 長谷川
冨 樫 17目半 川 越
菅 原 7目半 齋 藤
▽準決勝
冨 樫 2目半 高 橋
菅 原 時間切れ 鈴 木
▽決勝
菅 原 11目半 冨 樫
2024年(令和6年) 11月6日(水)付紙面より
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最上川水系水質汚濁対策連絡協議会(会長・林雄一郎国土交通省東北地方整備局河川部長)の油流出事故を想定した訓練が10月31日、庄内町の清川河川公園で行われ、関係者が有事の際の対応を確認した。
同協議会は水質汚濁対策に対する関係機関の連絡調整などを目的に1972年3月に設立。国、県、県警、最上川水系の32市町村、東北電力など計約40団体で組織している。訓練は毎年この時期に県内各地の持ち回りで実施している。
この日は関係機関から計103人が参加。NPO法人「自然エネルギー・環境協会」(本部・岡山県)の担当者が「油流出事故は側溝、水路、河川など状況によって対応が変わってくる」などと指導し、小型水槽を使って水中での油の拡散状況などを説明。その後、参加者は状況別に「発生時の初期対応」「側溝での油回収」「水路」「河川」など、手順を確認しながら訓練を繰り広げた。
東北地方整備局のまとめによると、最上川水系の水質汚濁事故発生件数は、東北12水系の中で最も多い。2021年は通報数124件(うち水路や河川に流出が確認されたのは59件)22年は141件(同36件)、23年は85件(同27件)。今年は9月末現在で73件の通報があるという。原因物質はほとんどが油類で、ホームタンクからの小分け中に流出した操作ミスや設備の老朽化による油漏れが多くを占めており、今後灯油の利用が増えることから注意を呼び掛けている。