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「サヤインゲン」歯触りよい初夏の味覚

酒田市の東北公益文科大キャンパス南側にある齋藤恵子さん=飯森山=のハウスに足を踏み入れると、鮮やかな緑色が目に飛び込んできた。齋藤さんが産直施設「いちご畑」に出荷しているサヤインゲンは、広さ4.6アールほどのこのハウスで栽培されている。インゲンは、太陽の光をたっぷりと吸い込んだ緑色の葉に覆われていた。

「長さが14、15cmになったところで収穫します。今年はどの作物でもそうですが、インゲンも遅れています。例年は4月下旬に収穫できるのに連休明けになってしまいました」と話す。

「初夏の味」のサヤインゲンは緑色の葉に覆われている

サヤインゲンは2月下旬に種をまき、3月上旬に定植する。高さ50cmほどに達したところで葉が生い茂り、白い花が咲く。それから1~2週間後にサヤが出てくる。とにかく葉が多い。ところどころに支柱が見える。「ボリュームがあるので支えてやらないと倒れてしまうんです」。齋藤さんは液体肥料をこまめにやるなど愛情を注いで育てている。

サヤインゲンを味わうには食感の良さが欠かせない。「きゅっ、きゅっという歯ごたえがいいので、料理する際は火を入れすぎないようにしてほしい。ごま和えがオーソドックスな食べ方ですが、天ぷらや肉じゃがに入れてもおいしい。唐揚げ粉にまぶして揚げると下味が付くのでおつまみに合います。弁当にも最適です」。こう話す齋藤さんだが、「ファミレスなどで出てくるハンバーグに2、3本、色づけに添えられているのを見ると悲しくなります。もっと食べてほしい」と顔を曇らせる。

サヤインゲンはメキシコが原産。日本には明の僧侶が江戸時代の初めに持ち込んだとされる。年に3回以上収穫できることにちなみ、「三度豆」とも呼ばれる。ベーコンや肉とのいため物など幅広い調理法がある。

新鮮なサヤインゲンの選別法は「ほぞの部分の色がきれいかどうかがポイントです」と解説する。日持ちがいいと思われがちだが、豆類は枝豆に限らず鮮度が落ちやすいのが特徴。すぐにゆでるのも品質保持のコツだ。

いちご畑では6月末まで店頭に並び、100g入り1袋が100円前後で販売される。齋藤さんのサヤインゲンは「サーベル」という「曲がり」があまり出ない品種だが、それでも出荷できないものは出てくる。いちご畑では「規格外」として低価格で販売している。今月中旬のピーク時には収穫作業が追いつかず、アルバイトを雇う。「曲がり」は連日、齋藤家の食卓に上るが、「毎日食べても飽きない」という。

齋藤さんに摘み取ったばかりのサヤインゲンをいただいた。帰宅後、ゆでてごま和えにしてみたら、独特の苦みと新鮮だからこそ味わえる甘み、しゃきっという歯触りが口の中に広がった。まさしく「初夏の訪れ」を感じさせる味だった。

サヤインゲンの出荷は6月末まで続く。齋藤さんのハウスの主役はその後、メロンへと切り替わる。

全農庄内本部のおすすめレシピ

サヤインゲンの肉巻き

○材料(5~6本分)

牛ロース肉または豚ロース肉200グラム、サヤインゲン、ニンジン、好みでゴボウなど。調味料(しょうゆ大さじ1、酒大さじ1、砂糖小さじ2、塩少々、ショウガ少々)

○作り方

  1. サヤインゲンはヘタの部分を切り、長さをそろえる。ニンジンは長さをインゲンに合わせて5ミリ角のスティックに切る。好みでゴボウも同様に。
  2. 1をゆがいて下ごしらえしてさまし、肉で巻いて食べやすい大きさに整える。
  3. 油をひいてフライパンを熱し2を入れて強火で焼く。少し焦げ目がついたら調味料を入れて味を調える。表面が色づいたらふたをして20~30秒ほど中火で中まで熱を通す(野菜は火が通っているのであたたまるだけでOK)。粉吹きいもやホールコーンを刻みキャベツと添えるといっそうおいしく召し上がれます。

2006年5月13日付紙面掲載

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