今回紹介するのも夏野菜。なつ菜という名前からしてそれと分かるだろう。三川町の物産館マイデルでなつ菜を販売している菅原ふみ子さん=横山=を訪ねる前に予習しておこうと、インターネットでいろいろ検索したがヒットしない。変だなと思い、県庄内総合支庁農業技術に問い合わせてみて驚いた。なつ菜というのは地方名。不断草(フダンソウ)というのが正式名だった。
「昔は夏菜とも書きました。今はハウスでも栽培するので一年中出ています。下ゆでして冷蔵庫に入れておけばすぐに使えます。重宝な野菜なんですよ」。菅原さんが笑顔で話す。
菅原さんとなつ菜とのつきあいは長い。「くせがあって、嫁いできたころは好きではなかった。でも毎日のように食べされられるうちに大好きになってしまって」と笑う。
栽培を任されてからは種を守り続けてきた。「マイデルでは茎が青とか赤のなつ菜を出している人もいます。でも、私のは何十年もうちで取ってきた種です」と胸を張る。
なつ菜の料理はゆでてしょうゆで食べるというぐらいしか思いつかない。どんな料理を教えてもらえるのだろうと期待していると、「うちの朝の定番は卵とじです。週に3回は作ります」と聞いてびっくり。なつ菜と卵とじはミスマッチに思えるが、口に入れると、甘じょっぱいたれと卵がなつ菜にからんでとてもおいしい。朝ご飯もいいが、晩酌のお供にしたいぐらいだ。
次にゆでたなつ菜をごまだれとショウガだれでいただく。さっぱりしていて、食が細くなる夏向きの味。「マヨネーズやドレッシングなど、好きな味で召し上がってください。ハムを巻いてもいいですよ」。バリエーションは多そうだ。
ジャガイモとのみそ汁も菅原さんのおすすめ。「みそ汁が好きと言って買いに来たおじいちゃんがいました。年配の人が好む味ですね。下ゆでしたものをパッと散らしてください」。
なつ菜は、鉄分やカロテン、カルシウムが豊富で、栄養価の面からも好ましい野菜だ。「だから病院食にも使われるんだと思います。新しい方がもちろんおいしいけど、山の野菜より日持ちもします」。
帰社後、いただいたなつ菜を女性社員におすそ分けした。翌日、感想を聞くと「思ったよりくせがなくて、茎が甘かった。卵とじもすごくおいしかった」と絶賛した。年配者にとどまらず、広い年代に受け入れられる野菜だと思う。
「無農薬でおいしい物を食べてほしい」と話す菅原さんのなつ菜は1袋250グラム入って100円。三川町横山のマイデル=電0235(68)2500=で販売している。10月までは露地物、その後はハウス栽培に切り替わる。
なつ菜250グラム、卵3個、調味料(砂糖小さじ1、酒小さじ1、 塩小さじ1、だししょうゆ大さじ2)、サラダ油大さじ2
2008年7月5日付紙面掲載