文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

「トレビス」ほんのり苦い大人の味

前回のトマトベリーに続き、珍しい野菜が登場する。ヨーロッパ原産でサラダに彩りを添えるのに最適な赤紫色のトレビスだ。鶴岡市の百万石の里「しゃきっと」で販売している五十嵐和泉さん=千石町=を訪ねた。

「レストランのサラダに入っているのを見つけ、何だろうと思ったんです。後日、種関係の本を読んでいてこれかと思いました」。それを機に栽培を始め、5年目になる。

トレビスとの出会いは「驚き」の連続だった。「初めて収穫した時、外側に付いている緑色の葉を食べ、あまりの苦さにびっくりしました。内側の赤いところが食用。あく抜きをしていないトチの実を食べた時のようなショックでした」と苦笑しながら振り返る。

緑色の葉を付けたままのトレビス(右)と夏野菜と組み合わせた料理

しゃきっとで販売してみようと思い、価格をいくらに設定するか悩み、市内のスーパーをのぞいてみた。棚に置いてあったアメリカ産トレビスの値段は1個400円。とても産直施設で売れる価格ではない。「1個単位では無理」と判断。「使いやすいようにほぐして一定量を袋に入れる」方向に軌道修正した。

トレビスの現物を見せてもらった。ふと頭に浮かんだ野菜がある。「赤キャベツに間違えられるようです」と言われ、やはりそうかと納得した。手に取ると赤キャベツよりも軽い。レタスを思わせる手触りだ。「ヨーロッパ生まれのチコリの仲間らしいですよ」。

この赤色を生かすのはサラダだろうかと思っていると、料理を運んできた母親の啓子さんが「生ハムをくるんでもいいし、普通のサラダや冷やし中華の具材、サラダめんにしてもいいですよ」と教えてくれた。

「ちょっと苦みがありますよ」という五十嵐さんの言葉に耳を傾けながら試食した。サラダにはズッキーニやキュウリ、トマトといった夏野菜が入っている。しゃきしゃきしておいしい。確かにほのかな苦みはあるが、ほかの野菜とマッチしていて気にならない。

ごまだれが入ったサラダめん用の具材はキュウリ、青ジソ、錦糸卵とよく合う。清涼感も味わうことができる。今度は焼き豚などを加えた野菜たっぷりの冷やし中華も食べてみたい。赤紫のトレビスの彩りが見た目、味のアクセントになっている。

「トレビスは料理の主役にはなれません。たくさん売れる野菜ではないけど、私は好きなので栽培しています。スパゲティの最後に混ぜてもいいですよ」。カリウムやカロテン、ビタミンCとなどを豊富に含んでいるのもうれしい。

「レタスと同じで金っ気を嫌うので、包丁は使わず、手でちぎってください」。これもおいしく食べるポイントのようだ。「苦みが敬遠され、子供は食べません」と五十嵐さんが話すトレビスは大人が楽しむ野菜かもしれない。

乾燥に強く、今年は例年以上に品質がいいそうだ。露地物は1袋100円で今月末まで、鶴岡市覚岸寺のしゃきっと=電0235(29)9963=のほか、産直館のぞみ店でも販売している。12月にはハウス物が出る。

五十嵐さんのおすすめレシピ

トレビスと夏野菜のサラダ

○材料

トレビス60グラム、ズッキーニ1個、キュウリ2本、タマネギ のスライス適量、トマト1個、お好みのドレッシング

○作り方

  1. タマネギをスライスして水にさらし、水を切る。
  2. キュウリをスライスしてトレビスは手でちぎる。
  3. ズッキーニは食べやすい大きさに切り、フライパンに油を引き、さっと火を通す。
  4. トマトを湯むきして切る。材料を混ぜて、好みのドレッシングで食べる。

2008年7月19日付紙面掲載

トップページへ前のページへもどる
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field